「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」 板橋区立美術館

板橋区立美術館板橋区赤塚5-34-27
「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」
4/3-5/9



新収蔵品を含め、板橋区立美術館の江戸絵画コレクションを展観します。開催中の「館蔵品展 お江戸の絵画は大賑わい」へ行ってきました。

(お座敷コーナー)

館蔵品展というと、昨年の30周年展の記憶も新しいところですが、今回もまた新収蔵品を交え、同美術館のご自慢の江戸絵画がずらりと勢揃いしています。(出品リスト)ガラスケースなしはもちろん、作品剥き出しはおろか、ウォークイン形式の畳部屋の上に作品を並べる驚異の「お座敷コーナー」など、楽しい仕掛けも用意されていました。

英一蝶「不動図」

新収蔵品は、計4点登場していますが、特に昨秋の回顧展の感動も蘇る英一蝶の「不動図」が出ていたのは嬉しいところです。ちなみに館長氏のネーミングも冴える、お馴染みの板橋オリジナルのタイトルは「ちょっと修行中」でした。不動は濡れてしまわないように薪を外して滝に打たれています。何とも微笑ましい様子でした。

鈴木其一「漁夫図」

ちょうど根津美術館の「燕子花展」にて其一の畢竟の大作、「夏秋渓流図屏風」も展示されていますが、ここ板橋の其一も色彩の鮮やかさではそれに負けるものではありません。「漁夫図」における海の力強い色遣い、またその細やかで艶やかな線描には目を奪われます。ちなみに本作は板橋名で「魚採りは楽しいぞ」でした。こういうタイトルを見ると、作品もより身近に感じられるのではないでしょうか。

狩野探信「秋草群虫図」

元々、コレクションでは定評もありますが、南蘋派の作品がいくつも出ているのも見逃せないポイントです。この狩野探信の「秋草群虫図」(板橋名:みんなみんな生きている)は、かの若冲を彷彿させるものがないでしょうか。東山御物としても有名な東博所蔵の伝趙昌の「竹虫図」に倣って、湾曲する竹の周囲に蝶が何匹もひらひらと舞っています。こうした言わばあまり名の知らない絵師の名品を揃えるのも、板橋の得意とするところかもしれません。まさに目利きの美術館です。

河鍋暁斎「龍虎図屏風」

お座敷コーナーにある暁斎の「龍虎図屏風」の迫力には息をのんでしまいます。こうしたやや珍しい暁斎の金屏風を目と鼻の先で見られる機会など、間違いなくこの美術館の他にあり得ません。また板橋名の本作は「ドラゴン・タイガー最終決戦」でした。気合が入っています。


(この座布団の上に座って拝見出来るわけです。)

館蔵品展ということで有り難いことに写真の撮影が可能でした。お気に入りの江戸絵画をカメラにおさめて楽しむのも良いのではないでしょうか。



なお次回展、「日本の美術運動」も要注目です。これは日本近代絵画を美術運動の観点からグルーピングするコアな展示ですが、その講演会のラインナップが豪華でした。是非、聞きに行きたいと思います。

講演会:「日本の美術運動を考える」

「大正期新興美術運動の終焉~1926年を考える」
日時:5月29日(土)14:00~15:30
講師:五十殿利治氏(筑波大学大学院教授)

「日本の美術運動にとって「外圧」とは何か」
日時:6月5日(土)14:00~15:30
講師:椹木野衣氏(美術評論家・多摩美術大学教授)

「ポップ・ハプニング~60、70年代疾走する反芸術」
日時:6月20日(日)14:00~15:30
講師:秋山祐徳太子氏(芸術家)

※於:板橋区立美術館講義室 聴講無料 先着100名(午後1時開場)



「お江戸の絵画は大賑わい」は5月9日まで開催されています。
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