「アニッシュ・カプーア」 SCAI THE BATHHOUSE

SCAI THE BATHHOUSE台東区谷中6-1-23
「アニッシュ・カプーア」
4/27-6/19



SCAI THE BATHHOUSEで開催中の「アニッシュ・カプーア」展へ行ってきました。

作家、アニッシュ・カプーアのプロフィールについては同画廊のWEBサイトをご参照下さい。

アニッシュ・カプーア Anish KAPOOR

最近では「G-tokyo 2010」の他、一昨年の「ターナー賞の歩み」展(森美術館)などにも出展がありました。

今回、日本の漆職人とのコラボで制作されたという石の彫刻なども登場していましたが、やはり印象に深いのは、画廊スペースの中央部、無数のステンレス片が円を描くように組み合わさって出来たミラー状のオブジェ、「Untitled」(2009年)でした。元々、カプーアの円形の作品は、鏡を用いずともイメージの変形、またはその場を無限に引き延ばすような空間への作為を持ち味としていますが、本作もその散りばめられたステンレスの破片が移り込むイメージを粉々に砕き、あたかも万華鏡の世界を破壊していくような独特の世界を形成しています。作品の前に立ち、また下から覗き込み、さらには右へ左へと行き来していくと、その解体されてゆく像の不思議な感覚を味わうことが出来ました。

ところでこの展示を見た後、私がツイッターで「カプーアの鏡の新作、写り込んだイメージが粉々に砕け散る感じで面白い。ただしばらく見てると酔う。」とつぶやいたところ、@MorilynManroeさんから「距離によって全然違ったものが見えてきますよね...G-Tokyoの時もそうでしたが、カプーアの作品の視覚の歪め方には暴力的なところがあると思いました。」という返信をいただきました。全くそれに同感です。まさしくイメージを噛み砕くような、その暴力性が非常に強く現れている作品だと言えるのかもしれません。

6月19日まで開催されています。

*画像はUntitled、2009年、ステンレス、300 x 300 x 41 cm、撮影:Dave Morgan, Courtesy the artist and Lisson Gallery
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