「PLATFORM2010 寺田真由美/若林砂絵子」 練馬区立美術館

練馬区立美術館練馬区貫井1-36-16
「PLATFORM2010 寺田真由美-不在の部屋/若林砂絵子-平面の空間」
4/24-5/30



練馬区立美術館で開催中の「PLATFORM2010 寺田真由美-不在の部屋/若林砂絵子-平面の空間」展へ行ってきました。

まず本展の概要です。

「PLATFORM2010」は、今年からはじまる現代美術を継続的に紹介するシリーズ。ジャンルに拘ることなく幅広い視野で、現代美術の動向の一端を取り上げます。(練馬区立美術館ニュースから転載。)

上記の通り、本年から始まった現代美術の新シリーズとのことで、今回は主に写真表現を手がける寺田真由美(1958~)と、惜しくも一昨年に急逝された画家の若林砂絵子(1972-2008)の二名が紹介されていました。ようは両者による二人展と捉えて相違ありません。

続いて各作家の略歴です。

寺田真由美
1958年 東京都生まれ
1978年 草月流入門
1989年 筑波大学大学院修士課程芸術研究科修了
現在 ニューヨークで制作活動を続ける。

若林砂絵子
1972年 東京都生まれ
1998年 多摩美術大学大学院美術研究科修了
2000年 渡仏。以降、絵画や版画などの作品を手がける
2008年 急逝



ともかく目当てだったのは、昨年、ベイスギャラリーや日本橋高島屋の個展の記憶も新しい寺田真由美でした。出品は全30点と決して多くありませんが、比較的初期の作から最新作までを追いかけると、例えば近作では窓に景色が登場するなど、その微妙に変化する作風を知ることが出来て興味深いものがあります。彼女の作品はミニチュアの室内空間をモノクロ写真で撮影したものですが、何れも実と虚の間を揺れ動いて幻想的な景色を作り出していました。またもう一つ思いがけなかったのは、おそらく撮影で使われたミニチュアが一点出品されていたことです。さながら作品の種明かしを見る気分で楽しめました。



一方の若林のブースでは色鮮やかないわゆる抽象画が展開されています。せめぎあう面や形、そして時に回転するかのように彷徨う線は、それこそ三次元的な奥行きをもって緩やかに運動していました。また最後に並び合う三点は未完の作品でしょうか。形は崩れるように揺らぎ、その色もかすれるように消えています。どこか寂し気な様相をたたえていました。

「明るい部屋の中で―寺田真由美作品集/寺田真由美/求龍堂」

なお出品リストはありませんでしたが、A4版サイズの冊子風の図録が各作家毎に800円で販売されていました。またこれらはセットで購入すると割引価格となりますが、分冊で購入することも可能です。これは嬉しい配慮でした。(ちなみに寺田の本格的な図版としては上に挙げた求龍堂の作品集がずば抜けています。)



また計20点弱と小規模ですが、併催中の「版画コレクション 柄澤齊と菊池伶司」も心に残る展示です。特に菊池は07年の佐倉のカオスモスでも鮮烈な印象を与えられましたが、指を象ったようなフィンガーと呼ばれる特異なモチーフは今回も目に焼き付きました。

5月末日まで開催されています。
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