「式年遷宮記念 神宮美術館所蔵 伊勢神宮に捧ぐ近・現代の美」 日本橋高島屋

高島屋東京店8階 ホール(中央区日本橋2-4-1
「式年遷宮記念 神宮美術館所蔵 伊勢神宮に捧ぐ近・現代の美」
5/19-5/31



平成25年の式年遷宮を前に、神宮美術館所蔵の日本画、洋画、書などを紹介します。日本橋高島屋で開催中の「式年遷宮記念 神宮美術館所蔵 伊勢神宮に捧ぐ近・現代の美」へ行ってきました。

神宮美術館については同館のWEBサイトもご参照下さい。ちなみに同館は前回の式年遷宮を記念して平成5年に建てられました。

神宮の博物館

続いて出品作家の一部です。古くは昭和初期より神宮へ作品を奉納した芸術家たちの名前が挙っていました。

前田青邨、坂本繁二郎、安井曾太郎、須田国太郎、熊谷守一、横山大観、東山魁夷、杉山寧、稗田一穂、絹谷幸二、堂本尚郎、牛島憲之、奥谷博、伊藤清永、庄司栄吉、村上三島、隅谷正峯、原清、村山明、橋本堅太郎、中村晋也

なお展示は基本的に一作家、各一点の展示でした。

大山忠作「朝日に匂う」

それでは以下、簡単に印象に残った作品を並べてみます。

前田青邨「神宮式年遷宮図」(昭和28年)
展示冒頭に登場する二面の大作。鬱蒼とした伊勢の森の中を神職に携わる者たちが歩く。靄にかすむような湿り気のある画肌の質感が絶妙。凛とした空気感が伝わってきた。

熊谷守一「鯉」(昭和25年)
可愛らしい鯉が泳ぐ様子を斜め上からの構図にて捉える。お馴染みの色鮮やかな守一カラー、朱色が目に滲みた。

鏑木清方「五十鈴川」(昭和25年頃)
五十鈴川の岸に佇む一人の女性を描く。どこか物悲しい様子をしているのはどういったわけなのか。清方らしい情緒性に溢れた一枚だ。

東山魁夷「霜葉」(平成5年)
ぼっかりと地面に空いた穴に落葉が積もっている。うっすらと雪のように白み、また凍り付いたような葉の感触が美しかった。

堂本尚郎「五十鈴川」(平成20年)
密かに会場で最も興味深かった作品。五十鈴川の水面を捉えているが、その姿は堂本の得意とする曲線、円の連環のみで表されている。かの川をこうした抽象表現で描いた作品も他にないのではなかろうか。

牛島憲之「夕凪」(昭和63年)
うっすらとオレンジ色に染まった海の上には小島がぽっかりと浮かんでいる。伊勢の海の景色なのかもしれない。パステルを用いたようなタッチがとても温かかった。

中村晋也「隼人之舞」(平成21年)
数点出ていた彫塑の一つ。前屈みになりながら片手で扇子を振り上げる舞人の姿がブロンズで象られている。威厳を感じた。

なお今回は出品リストが用意されていました。(但し図録はありません。)

高山辰雄「春秋」

ところで本展とは直接関係ありませんが、毎度、高島屋の展覧会で行われていた夜間(午後6時以降)の半額割引は終了した模様です。これは残念でした。

大場松魚「平文箱」

ちなみに所蔵美術品を神宮以外でまとまって展示することは今回が初めてだそうです。私自身は思っていたよりも遥かにあっさりと見終えてしまいましたが、その意味では貴重な展観とも言えるのかもしれません。

5月31日まで開催されています。
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