◆ちゃんとしゃべれ!治納由気(はるなゆき)◆

変な日本語、敬語もどき、崩れていく日本語、そして、正しい日本語とハムスター。

「惜しげない称賛が」って?

2007-06-06 09:40:22 | 気になる言葉、具体例
                  惜しいところでゴングぅ~
 「勝者には惜しげない称賛が与えられる」ですが、これ、おかしいですか、おかしくないですか。「惜しげ」は、惜しいと思う様子、惜しいと思う心、惜しがるさま、という意味の名詞で、「惜しげもなく与える」という言い方をします。名詞+「ない」、「焦り」→「焦りない」とは言いませんね、「悲しみ」→「悲しみない」とは言いませんね、いきなり「ない」と続くことはありません。
 形容詞「惜しい」から派生した形容動詞「惜しげ」であるととらえると、「ない」がくっついて否定形のようになっていることがありえない、間違いということになります。形容詞「悲しい」から派生した形容動詞「悲しげ」、「悲しげな表情」「悲しげな声」というように言いますが、「悲しげない」とは言いませんね。否定するなら「悲しげでない」です。そうすると、「惜しげでない称賛が」という形になりますが、何か変ですね~。
 ところで、「骨惜しみ」という言葉がありますね、怠けること、という意味の名詞です。それから、手元の辞書には記載されていませんが、一般的に、「惜しみない」「惜しみなく」という言い方はしますね。検索してみたら、「惜しみない拍手」「惜しみない賛辞」「惜しみない愛情」とか、新約聖書のコリント人への第二の手紙にある「惜しみなく施し」とか、いろいろ出てきました。確かに、私も抵抗感なく使っています。ちなみに、辞書に載っている「惜しむらくは」はもともと誤用なのだそうです。ふーむ。
コメント
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