東野圭吾著『あの頃ぼくらはアホでした』集英社文庫ひ15-2、1998年5月集英社発行、を読んだ。
東野圭吾が大阪で過ごした小学生から大学生までの失敗談をつづった自伝的なエッセイ集で著者のエッセイ第1弾。
元怪獣少年で映画監督になりたかった東野さんと、新生「ガメラ」の金子修介監督との付属の対談は、怪獣映画の話が延々。
初出:1995年3月、集英社から単行本として刊行
私の評価としては、★★★(三つ星:お好みで)(最大は五つ星)
流行したものにすぐ飛びつき、とんでもないことばかりやり、女の子、いやアノコトで頭がいっぱいになる若さ丸出しの彼らの愛すべきアホさ加減満載だ。なにしろ万引きまでやらかすのだから。東野さんのファンであっても、まず、女性にはウケないだろうし、多くの男性も呆れるだろう。しかし、これほど極端ではなかっただろうが、「そうそう」と懐かしさでしみじみとなるところも多い。
読む人よりも、書く人のほうが楽しんでいるような本だ。
東野圭吾の履歴&既読本リスト
高校1年のときのデートで彼女を遊園地に誘った。入場してジェットコースターに乗ったら、もう電車賃しか残っていなかった。予期せぬことに、彼女に「レストランで何かたべよう」と言われて、ガーンとなり、自分の持ち金を白状し、彼女におごってもらった。以後、彼女は大阪の男女のデートらしいといえば言えるのだが「今日はいくら持っているの?」とデート前に聞いてくるようになった。
(私も、北海道直送毛ガニの看板に惹かれて付き合っていた女性と入ったのは良いが、お勘定のところで金が足りなくなり、彼女に払ってもらったことがある。ちらっと見た財布にはお札が一杯だった。)
東野さんは似非(えせ)理系人間だという。大阪府立大学の電気工学科の2年になって専門科目が増えてから顔が引きつり始めた。例えば、マクスウェルの方程式などの電磁気学はチンプンカンプンだった。
(私も唯一落とした単位が電磁気学だ。可しかもらえないことがわかって、もう一度しっかり理解しようとわざと落としたのだ。東野さんとは異なり私は、最後の方で出てくるマクスウェルの方程式を知ってから電磁気学の全体が見えたような気がした。なにしろこの方程式は電磁気学の基礎方程式なのだから。)