監修が今泉忠明、絵は下間文恵・徳永明子・かわむらふゆみ『おもしろい!進化の不思議 ざんねんないきもの事典』(2018年7月20日高橋書店発行)を読んだ。
表紙裏にはこうある。
ざんねんはいきものとは 一生けんめいなのに、 どこかざんねんな いきものたちのことである。
人間が発見した生き物はだいたい400万種くらいといわれているが、どんどん増えている。ここでは、「どうしてそうなったの!?」とつっこみたくなる122種をとりあげている。
第一章 ちょぴり進化のお話
第二章 さんねんな体
第三章 ざんねんな生き方
第四章 ざんねんな能力
小学生の男の子が好きな「パラパラ劇場」も3つ、ページの左下にある。
ダチョウは脳みそが目玉より小さい
ホッキョクグマの毛がぬけると、肌は黒い
スズメバチの成虫は幼虫から食べ物をもらう
雨の日が続くとミツユビナマケモノは餓死する
食事も、木の葉を一日一枚か二枚食べる程度。内臓も省エネなので消化に数週間かかる。雨が続いて気温が下がると内臓が働かず、おなかいっぱいのまま餓死することもある。
ウサギは自分のうんこを肛門から直に食べる
食べる用のうんこはねっとりしていて黒豆に似ている。
アリジゴクはいくら食べてもうんこをしない
成虫になるとたまっていたうんこを出しきり、身軽になってから空へ飛び立ち、ウスバカゲロウになる。
ウシは1日に180リットルのよだれを出す
(オーストラリアの温室効果ガス削減のネックが牛のゲップだと聞いたことがある)
私の評価としては、★★★★★(五つ星:読むべき)(最大は五つ星)
子供向けと侮らず、一見の価値あり。
小学生なみに純真な私には、ウケた。大人風に言うと、「進化とは、ランダムに起こる突然異変の結果が自然淘汰されて、優れたものが選択されていく」のだが、自然淘汰は大雑把で、人間から見るとかっこ悪く残念な特性も残されることがあるということなのだろう。
タイトルの「ざんねんな」がヒットの女神になったと思う。
今泉忠明(いまいずみ・ただあき)
1944年東京都生まれ。東京水産大学(現東京海洋大学)卒業。国立科学博物館で哺乳類の分類学・生態学を学ぶ。文部省の国際生物学事業計画(IBP)調査、環境庁(現環境省)のイリオモテヤマネコの生態調査などに参加する。トウホクノウサギやニホンカワウソの生態、富士山の動物相、トガリネズミをはじめとする小型哺乳類の生態、行動などを調査している。上野動物園の動物解説員を経て、「ねこの博物館」(静岡県伊東市)館長