hiyamizu's blog

読書記録をメインに、散歩など退職者の日常生活記録、たまの旅行記など

東急吉祥寺店の丸福珈琲店でランチ

2024年05月08日 | 食べ物

買物で東急吉祥寺店をブラブラしてくたびれた。

これから帰宅して昼飯の支度をするのが面倒になり、弁当などを買って帰っても、結局、サラダなど作ったり、後片付けしたりするのがかったるくなった、私が!

そこで、3階にある「丸福珈琲店」で簡単にランチした。

 

 

この店、どうみてもコテコテの大阪の店で、ついつい敬遠していた。

今、ホームページを見てみると、やはり大阪に珈琲専門店『丸福珈琲店』を昭和九年に創業とある。老舗だ。

この際、妥協するかと、初めて入店。

 

相方は「サンドセット」。意外とボリュームがあり、私に2つ程お下がりが。

 

私は「丸福カリーセット」。味は普通に美味しい。サラダのドレッシングの味が、何なんだか思いだせず、もどかしい。

 

カレーをすくっていくと、「29」らしき文字が顔を出した。29って?

 

Mr.MARUFUKU(丸に2(フ)9(ク))でした。

 

反対側には「丸福」のマークが。

PALM GRAPHICS”は、「サーフィンからインスパイアされた気持ちやメッセージをサーフアートとして展開するKoji Toyodaのデザイン」らしい。

 

私はコーヒー。深絞りぎみで、オールドファッションだとの偏見があって、私はもっと軽い方がいいかな。

 

相方は紅茶を頼んだのに、ミルクコーヒーが来た。

研修中の名札を付けて、わざわざ注文をメモしていたのに、大阪人でない(差別?)我々は文句も言わず。

 

お値段、二人で3千円足らずで、帰って昼寝するだけだし、いいんじゃない。

 

 

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凪良ゆう『星を編む』を読む

2024年05月07日 | 読書2

凪良ゆう著『星を編む』(2023年11月6日講談社発行)を読んだ。

 

講談社BOOB倶楽部の内容紹介

☆2023年本屋大賞受賞作 シリーズ最新作☆
第20回本屋大賞受賞作『汝、星のごとく』続編

花火のように煌めいて、
届かぬ星を見上げて、
海のように見守って、
いつでもそこには愛があった。

ああ、そうか。
わたしたちは幸せだった
のかもしれないね。

『汝、星のごとく』で語りきれなかった愛の物語
「春に翔ぶ」--瀬戸内の島で出会った櫂と暁海。二人を支える教師・北原が秘めた過去。彼が病院で話しかけられた教え子の菜々が抱えていた問題とは?
「星を編む」--才能という名の星を輝かせるために、魂を燃やす編集者たちの物語。漫画原作者・作家となった櫂を担当した編集者二人が繋いだもの。
「波を渡る」--花火のように煌めく時間を経て、愛の果てにも暁海の人生は続いていく。『汝、星のごとく』の先に描かれる、繋がる未来と新たな愛の形。

 

前作「汝、星のごとく」では、
瀬戸内の小さな島で、高校生の櫂と暁海(あきみ)は出会う。櫂は投稿サイトで久住尚人と知り合い、編集者の植木に導かれて漫画作成の力をつけていく。
やがて二人は島と東京に別れ、そらぞれが別のパートナーと付合い、それでも……。

そんな櫂と暁海の、30歳を超えるまでの姿を描くのが前作だ。

 

 

「春に翔ぶ」

北原草介: 26歳~。大学院を辞めて高校教師になっていたが、幼子・結(ゆう)を引き取って育てるために、死んだ母の実家のある瀬戸内の島へ移る。限りなく善人の父親は入院中。

明日見菜々:明日見総合病院の一人娘。北原の生徒の高校1年。両親には秘密で、敦と付合っている。体調不良。

片山:スノーボード・ハープパイプの世界クラスの選手。

 

「星を編む」

青埜:漫画原作者・小説家。作画の久住尚人とのコンビで漫画がヒットしたが、尚人のスキャンダルで絶版。その後、病死。

植木:柊(しゅう)光社の漫画編集長。櫂の残したプロットノートを元に、5年前に引退した小野寺さとるに作画させて漫画完結編の出版を企画。家庭を顧みない仕事ぶりで妻には見放され気味。

二階堂絵里:薫風館の編集者。櫂の買い残した小説の出版を企画。超多忙を支えてくれている夫・裕一は子供が欲しい。

 

「波を渡る」

北原草介も52歳になり、育ててきた結がノアと結婚する。明日見菜々と北原、暁海と櫂、その関係の上に築かれた北見と暁海の関係が、落ち着いた、よかげなものに思えた。

わたし(暁海)にとって櫂は煌めく火花だった、そして北原先生は海だった。……
いつかわたしの命が尽きるときがきても、この海に還るのならば怖くない。燃え尽きて、煌めきながら海へと還っていく幾千の光の行く先を、わたしは見つめ続ける。

と終わる。

 

 

初出:「小説現代」2022年10月号~2023年11月号

 

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

前作「汝、星のごとく」を読んでから本作を読むと、各人の人生の流れがわかり、面白いだろう。逆に、今作から読み始めると、深みがなくなり、不審を持って読み進めることになる。たとえば暁海がいきなり何か重要な人物として登場してきて、説明がないので落ち着かない。

大河小説を分割した二つの物語にしたようなもの。

 

「星を編む」での生きがいをもって仕事に邁進する二階堂絵里が面白かったのに、理解して支える夫・裕一は結局のところ子供がいない結婚は考えられなかったというのは、なんともいやはや。

 

 

凪良(なぎら)ゆうの略歴と既読本リスト

 

 

男社会で戦闘的に戦う二階堂絵里は語る。「頭を下げることも度量の大きさのひとつって受け止めてもらえる男の人とちがって、女は頭を下げたら舐められるの。それからずっと下に見られる。」

 

夕星:ゆうつづ。古くはゆうづつ。西の空に上がる宵の明星

 

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千早茜『透明な夜の香り』を読む

2024年05月05日 | 読書2

 

千早茜著『透明な夜の香り』(集英社文庫ち66、2023年4月25日集英社発行)を読む

 

裏表紙にはこうある。

元・書店員の一香は、古い洋館の家事手伝いのアルバイトを始める。そこでは調香師の小川朔が、幼馴染の探偵・新城とともに、客の望む「香り」を作っていた。どんな香りでも作り出せる朔のもとには、風変わりな依頼が次々と届けられる。一香は、人並み外れた嗅覚を持つ朔が、それゆえに深い孤独を抱えていることに気が付き──。香りにまつわる新たな知覚の扉が開く、ドラマティックな長編小説。

 

35歳の若宮一香(いちか)は、兄が自死し、自分は何もできなかったことから心に傷を抱え、書店のバイトに行けなくなった。半年もすると貯金も残り少なくなり、家政婦募集に応募し、調香師小川朔(さく)と、営業担当で探偵の新城、そして菜園を世話する源さんという老人のいる屋敷に通うことになる。

一香の汗の匂いから家に閉じこもっていたことを当ててしまう朔は優しいのだが得体がしれない男だった。

20代後半の美しい藤崎さんは亡くなった夫を忘れないために夫の体臭を調合して欲しいと依頼に来た。彼女が帰ると、朔は「嘘は臭う」と呟く。

 

朔さんはいつだって頼まれた香りを作ることに悩まない。それを本当に手に取るかどうかは依頼人の選択にゆだねる、たとえ、その先に破滅しか見えなくとも。(p236)

 

香りは脳の海馬に直接届いて、永遠に記憶される。けれど、その永遠には誰も気がつかない。そのひきだしとなる香りに再び出会うまでは。(p238)

 

小川洋子の「解説――香りに運ばれ、言葉の届かない場所へ」が素晴らしい。こう始まる。

ページをめくるたび、文字の奥から微かな香りが立ち上ってくる。もともと言葉とは遠いばしょにあるはずの、姿を持たない、香り、と名付けられた空気の揺らめきが、文字を追う視覚よりもずっと繊細に伝わってくる。言葉の意味を越えて、臭覚が際立つという稀有な体験をさせてくれる小説である。

 

 

初出は、「小説すばる」2018年7月号~2019年2月号

2020年4月集英社より単行本で刊行(「朔の香り」を改題)。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

香りという文章化し難いテーマに挑んだこと、朔という底知れない、いや逆に単純すぎるのかもしれない性格を作り出したこと、などなど、著者のオリジナリティには敬意を表したい。

 

森の奥の古めかしい洋館に住み、客の望む香りをいとも簡単に作り出す天才調香師の朔、自己がなく透明であるかに見える一香。まか不思議な雰囲気を作り出していて、物語に引きずり込まれてしまう。

 

風変りな香り作りを朔に依頼に訪れる客の秘密は少々単純に思えた。一話ごとに朔と一香の過去が剝がされていく展開はよくある構成だが、巧みな文章術で色濃い雰囲気を作り上げている。しかも、読みやすい。

 

 

千早茜の略歴と既読本リスト

 

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築地玉寿司吉祥寺店でランチ

2024年05月04日 | 食べ物

 

ヨドバシカメラの裏に2014年、10階建ての「ブランシュ」が建ち、2015年3月に銀座アスターが、10月に築地玉寿司吉祥寺店が1階に開店した。開店記念の安売りに興奮して、11月に3回も通ってしまった。以来、今日までご無沙汰していた。

 

一人前、2100円以下と安い。

 

私は「お昼のにぎり」で、相方は「おすすめにぎり」

 

まず、二人に茶碗蒸しとサラダがくる。

 

私の「お昼のにぎり」

写真で見ると、いいじゃないと思われるだろうが、一貫が可愛い。コロナを経て、かなり縮んでしまったようだ。まあ頑張って生き延びてくれたことに感謝しなければ。少しずついろいろな物を食べたいと言う流行に対応したと信じよう。

 

 

相方の「おすすめにぎり」も可愛くて、食べやすいこと。

 

値段相当とも言え、結構でした。手軽に済ませたいときにはいいじゃない。

 

 

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米澤穂信『可燃物』を読む

2024年05月03日 | 読書2

 

米澤穂信著『可燃物』(2023年7月25日文藝春秋発行)を読んだ。

 

「文藝春秋BOOKS」

米澤穂積、初の警察ミステリー。

2023年ミステリーランキング3冠達成!
(「このミステリーがすごい!」「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」)

5編の連作短篇集。

 

「崖の下」 雪山での遭難×見つからない凶器

群馬県警利根警察署に入った遭難の一報。現場となったスキー場に捜査員が赴くと、崖下に頸動脈を刺され失血死した後東の遺体があった。5人グループのうち、犯人は一緒に遭難していた水野とほぼ特定できるが、凶器が見つからない。深夜の山中の崖の下、二人の周りの雪は踏み荒らされておらず、凶器を処分することは不可能だった。病院に運び込まれた水野は両手など複数個所を骨折し、右前腕は開放骨折していて、合併症の危険があった。彼は何を使って〝刺殺〟したのか?

 

「ねむけ」 交通事故×不自然に一致する目撃情報

ワゴン車が、軽自動車と交通事故を起こした。事件現場は、深夜の交差点。聞き込みの結果、ワゴン車の運転手が信号無視をしたという目撃情報が。ワゴン車の運転手は強盗殺人の容疑濃厚者の田熊。危険運転致傷罪で逮捕して強盗容疑の取り調べをする絶好のチャンスだ。ワゴン車の方が信号無視だという4名証言が不自然に一致しているが、4名に共通点はない。

 

「命の恩」 バラバラ遺体×ずさんな犯行

榛名山麓の湿地帯にかけられた木道〈きすげ回廊〉で右上腕が発見され、すぐに各所でばらばらな遺体が発見された。単に遺体を隠すためなら、遊歩道から見える位置に右上腕を捨てるはずはない。また、なぜ犯人は死体を切り刻んだのか? 

 

「可燃物」 連続放火事件×読めない動機

太田市の住宅街のゴミ集積所で連続火災が発生した。放火事件として県警の葛班が捜査に当たったが、容疑者を絞り込めないうちに、犯行がぴたりと止まってしまう。なぜ収集日の前日に出された可燃ゴミだけを狙ったのか? 犯行の動機は? なぜ放火は止まったのか? 犯人の姿が像を結ばず捜査は行き詰まるかに見えたが、……。

 

「本物か」 立てこもり事件×かみ合わない証言

郊外のファミリーレストランで、立てこもり事件が発生。立てこもり犯は傷害前科一犯の志多らしい。店内から避難した客と店員に事情聴取するが、証言がどこかかみ合わない……。

 

 

主人公は葛(かつら)警部。群馬県警本部捜査第一課。余計なことはもちろん、確信が持てない段階の情報も喋らない。単独行動しがちで、上司から疎まれる。部下にもよい上司とは思われていない。しかし、捜査実績はすばらしい。

 

 

私の評価としては、★★★★☆(四つ星:お勧め、 最大は五つ星)

 

手慣れた筆致でわかりやすく、安心して楽しましてくれるベテランの味。

 

丁寧に記述を重ねる長編と違って、短篇なので、仕掛け、意外性に多少強引なところがある。

 

鋭い推理力はもちろん、ズバズバ言って反感を買い、常に捜査優先で冷静、手柄にこだわらない葛刑事が魅力的。

 

 

米澤穂信(よねざわ・ほのぶ)の略歴と既読本リスト

 

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井の頭公園の奥の細道

2024年05月02日 | 散歩

 

井の頭公園の北側の木々の間を通る散歩道(奥の細道?)をご紹介

 

今回は吉祥寺駅から井の頭公園駅や三鷹台駅へ抜ける歩き方を紹介

 

「井の頭通り」と、東急吉祥寺店前からの「吉祥寺通り」の交差点から出発

写真は交差点の北東から南西を眺めている

 

下の地図で①の地点。(下の地図は、公園内の看板の案内図を元図にして、英語表記などを消去しています)

 

吉祥寺通りを南に行って、公園入口を入り、紅茶の「ムレナスティー東京」を左に見て、坂を下る。

左右に道が分かれるが、左側の崖側の道を行く。(地図の②)

 

さらに木々に囲まれた道を行く(地図の③)

 

ゴミの集積場所を左に見て、正面に七井橋が見える(地図の④)

 

左に進むと、その先に「七井橋通り」からの正面入口が見える(地図⑤)

 

ちょっとだけ寄り道して七井橋から井之頭池を眺める(地図⑥)。
4月29日祝日「昭和の日」10時半、ボートが一杯

 

元に戻って「野外ステージ」の前を進む(地図⑦)

 

左手に「緑の小道」への入口階段がある(地図⑧)

 

「緑の小道」を進むと、右下に子供たちの遊具が並ぶ(地図⑨)

 

この道は木々が生い茂って夏でも涼しげで、足元は木の葉が積もって弾力があり歩きやすい(地図⑩)

 

右下に土日祝日だけの手作り品販売の「井の頭公園アートマーケッツ」が並んでいる(地図⑪)

 

弁天通りからの入口に突き当たる(地図⑫)

 

そのままひょうたん橋を右手に見て、写真先右手の水門橋へ(地図⑬)。正面の建物は民家。

 

上の写真の右手に逸れて、水門橋の「神田川源流」へ(地図⑭)。
看板には「ここが神田川の源流です 神田川は善福寺川、妙正寺川と合流して隅田川に注いています」

 

「よりきり橋」のたもとを過ぎて、井の頭線のガードをくぐる(地図⑮)

 

振り返ると右手に井の頭線のガード、左手上に「井の頭公園駅」(地図⑯)

 

ゴールデンウイークで、安上がりの休日策として川遊び(地図⑰)
魚はほぼいないし、小さな、小さな貝が取れることがあるだけ(実証済み)

 

昔の子供もつい真剣に(地図⑱)

 

夕やけ橋を右手に見て、神田川沿いをしばらく前に進と、「三鷹台駅」へ至る(地図⑲)

 

以上、①の交差点から、「三鷹台駅」まで、Google Mapでわき目も降らずに歩くと、24分、1.8㎞のコースでした。

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柚月裕子『風に立つ』を読む

2024年05月01日 | 読書2

 

柚月裕子著『風に立つ』(2024年1月10日中央公論新社発行)を読んだ。

 

中央公論新社の電子版の内容紹介

問題を起こし家裁に送られてきた少年を一定期間預かる制度――補導委託の引受を突然申し出た父・孝雄。南部鉄器の職人としては一目置いているが、仕事一筋で決して良い親とは言えなかった父の思いもよらない行動に戸惑う悟。納得いかぬまま迎え入れることになった少年と工房で共に働き、同じ屋根の下で暮らすうちに、悟の心にも少しずつ変化が訪れて……。家族だからこそ、届かない想いと語られない過去がある。岩手・盛岡を舞台に、揺れ動く心の機微を掬いとる、著者会心の新たな代表作!

 

盛岡市にある小さな南部鉄器工房『清嘉』営む小原孝雄は、無口で職人気質の親方であるのに、突然非行少年を一定期間預かる「補導委託」を引き受けたと言う。これまで自分の子供の世話もろくにしなかった身勝手な人間なのにと、息子の38歳の悟は反発する。

孝雄の工房には、還暦近い健司やバイトの八重樫、そして市内の居酒屋に嫁いだ妹の由美もときどき手伝いに訪れる。工房の皆は、あけすけだが、こだわりなく、優しく、預かった16歳の少年庄司春斗に接するのだが、春斗は何か屈折を抱えて、心を閉ざしたままだった。

 

春斗は、弁護士の父・達也と、母・緑と心がすれ違っていることが歴然としてしまう。そんな春斗が、伝統行事のチャグチャグ馬コに興味を持ち、動物と触れ合い、少年らしさを取り戻していく。

 

初出:「読売新聞」夕刊2022年4月15日~2023年4月15日

 

私の評価としては、★★★☆☆(三つ星:お好みで、最大は五つ星)

 

すらすらと読め、面白くないわけではないが、話の筋は平凡。

悟は、父孝雄の職人としての腕には敬意を持っているが、無口で、優しい言葉一つもかけることなく、母にも自分にも構うことがほとんどない父親を冷たい人間と思っていた。その父が突然問題をおこした少年の更生に力を貸そうと言うので驚き、反発する。この展開から、しかし……と、過去に……なることが予想できてしまう。

 

この親子の中に、少年春斗が投げ込まれ、問題を起こすことで、悟の心に……と、期待とおりに進む。不器用な男同士の父息子にはありそうな話だが、一緒に暮らし、仕事も一緒なら、その心の中は気づきそうなものだ。

 

貧しい時代に這い上がった春斗の父が子供の安定を望み、春斗が金を十分稼げなくてもやりたい仕事に進みたいというのも、よくある話で、それ以上でない。

 

 

柚月裕子の略歴&既読本リスト

 

 

 

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