かぶれの世界(新)

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中国の民主化事情

2005-07-01 12:44:15 | 国際・政治
日中関係が悪化し、米中関係が微妙に推移している背景には中国が共産党一党独裁のもと言論や私有財産が抑圧されている国であり、いわゆる自由な国とは異なるルールで物事を判断し行動する国であるという認識がある。反日デモの後中国政府は過激なWebサイトを閉鎖させたり、マイクロソフトにインターネット検閲のソフトウエア開発といったニュースが報じられているが、今までの世界の報道をレビューすると民主化の流れも着実に進んでいるようである。

その一つが、このブログでも何度か紹介した農民の反乱をメディアが報じるようになったことである。先月11日の河北省定州市で発電所建設に反対する農民と暴力団の対決は間をおかず北京のメディアが報じた。農民の地方政府への反発は全国的に起こっており、開発を推進する地方政府が起こす環境問題や土地収用に絡むトラブルがその原因となっている。メディアは100%共産党の代弁者であり間をおかず報道したということは明確な内部方針があるということである。党中央が環境悪化に危機感を持ち地方政府の乱開発を抑制し中央のコントロールを強める手段の一環として記事を書かせたのであり、民主化推進が目的でない。しかし例え官製であっても環境アセスメントを進める結果として農民の権利意識を高め、地方政治プロセスの透明化を高める効果がでているようである。

一方、都市部では海外からの進出企業の元で働く従業員が、日々の厳しい競争の中で顧客の満足を勝ち得る合理的なビジネスプロセスを徹底して追求するよう訓練され意識変革が起こっている。又、大量に再生産され続けている中産階級の富に対する貪欲さ(世界有数である)は基本的に資本主義的自由、いわゆる市場原理主義に基づく発想を求めている。ロシアの石油富豪が陥ったように法に基づく判断より政府がいつ変心するかの方が大事なこの国で、人々はまだ用心しながら意思表示しているが、基本的にこの流れは変えられなくなっているように思える。理由は何であれ全体的に中国での人権意識の高まりは例を見ない速さで進んでいる。

極論すると中国は近い将来共産党に逆らわない限り何でもやっていい社会になりそうである。共産党は生き残るため嘗ての行動基準であった教義などいつでも捨てて国家安定の道を選ぶはずである。法に基づかない政治的裁量が続くとしても。全体として民主主義とはいえなくとも自由主義の方向に行くと私は思う。中国がどこに向かうのかは世界の一大関心事であり、唯一のスーパーパワーである米国の不安の種である。直下の問題として、中国政府の意を受け中国銀行が資金調達するいわば国営石油会社CNOOCの米国UNOCAL買収は果たして資本主義のルールに則ったものかと言う疑問(不安)がある。この後も次々と同種の中国政府が後押しする買収案件が出てくるのは間違いない。中国政府は単なる経済行為として扱うよう求め、米国は最終的には冷静にWTOルールの基づき相互主義(経済的民主主義の方向)を要求していくことになるだろう。■


コメント
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