今年の夏もツールドフランスが始まった。初日は昨年より大幅に短距離(11.8マイル)のタイムトライアルで始まり、前人未到の7連覇を目指す米国のランス・アームストロングが2秒差で2位につける好調なスタートを切ったようである。今年は直前の予想は芳しくなかったが、又もや対抗馬のウルリッヒを追い越して1分以上の差をつけ衝撃を与えたと報じている。アームストロングが勝って以来、米国では自転車競技の露出度が高まった。残念ながら日本の地上波では中継されないと思うが、先日、昨年の録画を見て改めて自転車競技の面白さを思い出したので紹介する。
先月29日朝方、CATVで昨年のツールドフランス第19ステージの録画が流され、ランス・アームストロングが圧倒的な強さで6連覇を事実上決めたシーンを見た。翌日の第20ステージでパリの凱旋門まで走りツールドフランスが終わるが、パリダカと同じように最終日の順位は変わらないことになっている。彼が初優勝した頃はガンを克服したサクセス・ストーリとしてフランスで好意的に報道されていた。今では余りにも強く過去のフランスの偉大で愛されている選手の記録を次々に打ち破っていくので、最近は勝ちにこだわり過ぎる等と重箱の隅を突いて必ずしも好意的とは思えない記事が報じられている。
テレビで見る絵からでも彼の強さはダントツで、他の選手に絵が切り替わった瞬間力強さや速度が違うことが一目でわかる。第19ステージは総合成績の低い順に1分おきに次々にスタートし個人の能力が問われるタイムトライアルだった。アームストロングが前を走る総合2位の選手を追い越しそうになった。追い越すというのは相当の実力差とかアクシデントがないと起こらない。実力的にただ一人対抗すると見られるドイツのウルリッヒはアームストロングさえいなかったら何度も優勝出来ただろうと言われるが、一度も総合優勝できず(多分)引立て役になっていた。大相撲の柏戸みたいな役回りだ。アームストロングは今年を限りに引退すると報じられている。
ツールドフランスの魅力はピレネーやアルプスの山岳地帯と田園地帯を抜けていく美しいコースを世界一流の自転車選手が高速で疾走していくことであろう。沿道には熱狂的なファンが取り囲み接触事故もたまに起きる。その数日前に1000m以上の山を5回も越えなければならない距離約250キロメートルにもなる昨年の17ステージ後半の録画も見た。自転車競技は後につけると20%程度風力を減らすことが出来るといわれており、先頭を走り続けると一挙に消耗する。しかし一発勝負でその日限りのステージ優勝を狙う選手が一山毎に勇敢に次から次へとアタックをかけ、力尽き吸収され脱落していく。一方有力チームの脇役が献身的にエースの前に立ち集団のペースをつくり、最後に力尽きて落ちていく。ところが17ステージでは脇役のランディスが奇跡的に最後まで勝負し、しかも250kmの最後の1mでアームストロングが勝つという、正にドラマが起こった。録画なのに興奮した。そのランディスは今年移籍してライバルになる。
今年の第1ステージのベスト10を見ると米国4人、カザフ、ハンガリー、スイス、ドイツ、ロシア、スペインが各一人とお家元のフランスやイタリーが一人もいない。昨年もそうだった。日本では人気がないが自転車競技は世界中の選手が参加して競う完全にグローバル化したスポーツなのである。ツールドフランスが世界最高峰の自転車レースの位置を保てるのもこのオープン性による。大相撲もそういう日が来れば逆説的には成功したといえるのかもしれない。自転車競技に余り馴染がない人はアームストロングの恋人が日本でも人気のある歌手シェリル・クローだといえば多少興味が湧くかも。■
先月29日朝方、CATVで昨年のツールドフランス第19ステージの録画が流され、ランス・アームストロングが圧倒的な強さで6連覇を事実上決めたシーンを見た。翌日の第20ステージでパリの凱旋門まで走りツールドフランスが終わるが、パリダカと同じように最終日の順位は変わらないことになっている。彼が初優勝した頃はガンを克服したサクセス・ストーリとしてフランスで好意的に報道されていた。今では余りにも強く過去のフランスの偉大で愛されている選手の記録を次々に打ち破っていくので、最近は勝ちにこだわり過ぎる等と重箱の隅を突いて必ずしも好意的とは思えない記事が報じられている。
テレビで見る絵からでも彼の強さはダントツで、他の選手に絵が切り替わった瞬間力強さや速度が違うことが一目でわかる。第19ステージは総合成績の低い順に1分おきに次々にスタートし個人の能力が問われるタイムトライアルだった。アームストロングが前を走る総合2位の選手を追い越しそうになった。追い越すというのは相当の実力差とかアクシデントがないと起こらない。実力的にただ一人対抗すると見られるドイツのウルリッヒはアームストロングさえいなかったら何度も優勝出来ただろうと言われるが、一度も総合優勝できず(多分)引立て役になっていた。大相撲の柏戸みたいな役回りだ。アームストロングは今年を限りに引退すると報じられている。
ツールドフランスの魅力はピレネーやアルプスの山岳地帯と田園地帯を抜けていく美しいコースを世界一流の自転車選手が高速で疾走していくことであろう。沿道には熱狂的なファンが取り囲み接触事故もたまに起きる。その数日前に1000m以上の山を5回も越えなければならない距離約250キロメートルにもなる昨年の17ステージ後半の録画も見た。自転車競技は後につけると20%程度風力を減らすことが出来るといわれており、先頭を走り続けると一挙に消耗する。しかし一発勝負でその日限りのステージ優勝を狙う選手が一山毎に勇敢に次から次へとアタックをかけ、力尽き吸収され脱落していく。一方有力チームの脇役が献身的にエースの前に立ち集団のペースをつくり、最後に力尽きて落ちていく。ところが17ステージでは脇役のランディスが奇跡的に最後まで勝負し、しかも250kmの最後の1mでアームストロングが勝つという、正にドラマが起こった。録画なのに興奮した。そのランディスは今年移籍してライバルになる。
今年の第1ステージのベスト10を見ると米国4人、カザフ、ハンガリー、スイス、ドイツ、ロシア、スペインが各一人とお家元のフランスやイタリーが一人もいない。昨年もそうだった。日本では人気がないが自転車競技は世界中の選手が参加して競う完全にグローバル化したスポーツなのである。ツールドフランスが世界最高峰の自転車レースの位置を保てるのもこのオープン性による。大相撲もそういう日が来れば逆説的には成功したといえるのかもしれない。自転車競技に余り馴染がない人はアームストロングの恋人が日本でも人気のある歌手シェリル・クローだといえば多少興味が湧くかも。■