かぶれの世界(新)

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人口減少社会と車

2007-06-08 22:48:47 | 社会・経済

1ヶ月前に家内の車を運転に慣れない私の不注意で家の門にぶつけた。思いの他ダメージが大きく車の値打ちより修理費のほうが高いと聞き慌てたが、幸い保険金相当の中古車に買い換えることが出来た。走行距離が50,000km以上だがエアバックやABS付きで、前のオーナーが色々なオプションを残していたワゴンRだ。

ディーラーの説明によると98年の法改正をきっかけに最近の軽自動車は普通車と変わらないからこの程度ならお買い得だと言われ納得した。バッテリーなどの部品はかつての軽仕様より寿命が伸び、オートバックスで買えるような一般部品を使い修理も簡単になったという。

それだけが理由ではないが、昨年国内市場で売り上げが伸びたのは軽クラスだけと先月中ごろ読んだ記事を思い出した。史上最高の2兆円を越す利益を叩き出したトヨタといえども日本市場では売り上げを4%減らしたという。他のメーカーも同じ様な結果らしい。

その後色々調べてみると、普通車の販売が停滞する中「軽」が記録的な売り上げを上げたのは、一時的なトレンドではなく日本市場が変わりつつある証左だと思うようになった。安価で燃費効率が良いだけでなく、法改正はデザインの余裕度を高め想像力を刺激して魅力的な車種が次から次へと生まれた。安全性も改善された。「軽」の魅力が高まったのは言うまでもない。

しかし、この「軽人気」は人口減少と日本社会の意識変化による長期的な傾向ではないかと私は思うようになった。もともと田舎にいくと圧倒的に黄色ナンバーの車が多かった。価格は手頃で狭い田舎道でも楽に走れる。一方、都市部では中年女性が代表的な軽のドライバーだった。 

上記の軽自動車の増加は昨年全国的なトレンドになったようだ。その理由は日本社会の変質だと思われる。団塊の世代は老齢化し、団塊ジュニアは独立すると3人以上が車に乗る機会が減った。同居した場合でもセカンドカーとして軽が好まれ、遠出しない時は先ず軽が利用される。

カーオウナーにとってステータスシンボルだった車は、近年単なる「移動の道具」に意識が変化したことも指摘されている。石油価格の高騰と環境意識の高まりに呼応して、小さくて燃費の良い車がカッコイイという認識が世界的に広がりつつある。

これは日本が人口減少・老齢化社会に向う時、必然的に起こる現象と思われる。国内市場の停滞は当然のこととし、グローバル化しない限り成長は望めないことは前期絶好調の自動車メーカーの決算が証明した。日本企業の宿命とも言うべき状況だ。

しかし、このトレンドは日本独自というより、日本が世界に先駆けていると見るべきだ。日本のカーユーザーは自然と社会変化に自らを調整し合わせているように思う。人口減少社会の縮小する市場に相応しい生き方というと大袈裟だが、取り合えず車の選択を変えたということだろう。

その選択は車だけではない。たびたび取り上げられる格差問題についてこの延長線上で類推すると、成功しているグローバル企業の成果と報酬がつりあわないというより、国内市場は縮小していると考え生き方を考え直して見るべきだと思うがどうだろう。■

コメント
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