かぶれの世界(新)

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ガンセンター検査入院記(3)

2011-12-03 21:03:23 | 健康・病気

血尿との戦い

残りの入院期間は血尿との戦いだった。水分をドンドンとって1.5時間おきに小便し、血液の混入状況を調べる。2度目の排尿が終ったところで看護婦が来て、下腹部を超音波スキャン、尿がどの程度残っているか調べた。「100mlは残っている」と看護婦に予測してみせたが、意外にも21mlだった。

先月専門医で測った時は80mlだった。残尿50mlが前立腺肥大症か判定する指標と聞いていたので、もう治ったということだろうか。どうも良く分からない。いずれにしろ、血尿の状況は悪化も改善もなかった。毎回300mlの排尿で、その日は計3リットル近くの小便をした。

血尿が出る期間は個人差がかなりあるらしい。看護婦の説明を十分理解してなかったようだ。私は小便を数回すれば徐々に血液の混入が減り翌日退院できると思っていた。検査後翌日には退院し、翌々日には市役所で不動産の手続きをする予定等があった。血尿改善が退院の条件だと思い込んでいた。実際は検査の痕が化膿せず、平熱に戻っていることが条件だったようだ。

持ち込む本を間違った

それ以外には全くやることが無い。こうなることを予想して2冊「スロー・イズ・ビューティフル」(辻信一)と「検証戦争責任」(読売新聞)を持ち込んだが、どちらにも読書欲が沸かなかった。仕方なく「スロー・・・」を読み始めたら、何とか時間潰しにはなった。ある程度集中しないと著者の主張を理解しなければならない本はチョット辛かった。多分小説の類が良かったと思う。

抗がん剤治療を受けている患者が「今日は長い1日だった」と言うのを聞こえた。私はそれからの夜が長かった。午後の残りの時間は排尿・食事・読書、9時に消灯になると排尿と寝ることだけ。普段12時を過ぎて寝る私には時計が全く進まないと感じた。年をとると時計が早く進むと言うが、やる事がないと時計が進まない。他の患者のいびきや咳がうるさい。個室にすべきだった。

眠れないのに我慢できなくなってベッドから抜け出した。詰め所の看護婦に一言「眠れないよ」と断わって、階下の売店に行った。まだ10時半だった。周りの照明が落ちて売店だけが浮き上がって見えた。お客は一人もいなかった。売り子の助けで低カロリー(60kcal)のオニオンスープを飲んだ。売店の食料品は全てカロリー表示して欲しいなと彼女に言った。

眠りを奪った環境変化

病室のある5階に戻ったが目は冴えるばかり。部屋に直ぐ戻らず、暫く夜勤の若い看護婦と雑談した。看護婦は3交代制で働いているらしい。彼女は引き継ぎ時間を含め午後4時から翌朝の1時までの勤務だそうだ。14人構成のチームが2つあり3交代で回すというが、システムとシフトの関係は別のようだった。

受けを狙った小話をする気力もなく、暫くして部屋に戻ってベッドにもぐりこんだがやはり眠れない。全館暖房なので起きていたときは余り気にならなかったが、部屋の温度が高くて眠れない。ジャージを脱ぎ下着だけになったが、今度は手足をフトンの外に出すと冷たい。悶々と寝返りを繰り返しているうちに、廊下の灯りが点き部屋が少し明るくなり人声が聞こえるようになった。

そのうち窓の外が明るくなり始めもう朝だと思ったら眠った。名前を呼ばれて少し寝たことに気が付いた。体温を測ると6度4分の平熱、「退院決定だ!」と言うと看護婦はそう思いますといって微笑んだ。「室温が高くて眠れなかった、温度設定はどうなっているのか」と聞くと、彼女は首をかしげ近くに温度計を見つけ28度だと応えた。いまだ暖房せずに寝るので実家とは温度差15度以上だから体が慣れなかったようだ。

IT化された患者管理

そのうち台車に端末を載せた若い看護婦が、例の抗がん剤治療を受けている老人の体調を調べに部屋に来た。帰る途中呼び止めて聞くと、端末は標準のパソコンに専用アプリを載せているという。患者のデータは無線で飛ばしてセンターに送られるようだ。

患者のIDは入院時に手首に巻かれたテープ上のバーコードを読み取れば取り違えは防げるし、カルテから会計まで一括管理できるはずだ。聞き取りも問診も全てパソコンに入力していた。初診時の情報を打ち出したカルテを見ながら、担当医は私に問診した。カルテの電子化は看護婦の活動とも連動しているようだった。だが、IT化は病院内だけで病院間では共有できてないと思う。その辺が我国の病院システムの限界だと思った。

今年の春にNECからHPのパソコンに切り替えたそうだ。「多分HPの方が安いんでしょう」と彼女は屈託なく言った。母が治療を受けた市立病院やリハビリ専門の病院に比べ、このガンセンターは先端医療機器が沢山あるようだ。このようなハイテック医療機器からの雑音がパソコンを誤動作させるかもと思い、聞くと彼女は顔をしかめて時々フリーズするので困るという。

エピローグ

朝食後、巡回で正式に退院が決まった。次回は1週間後に結果を知らせるから外来に来いといわれた。着替えて待っている間に看護婦が会計に連絡し、医療費の計算をするから暫く待てといわれたが随分待った。朝の退院ラッシュだ。会計が終ったのは9時半ばで、次のバスは10時しかなくその先の連絡も悪く、実家に戻ったのは1時を過ぎていた。

実家でお茶を沸かし途中で買った弁当を、テレビを見ながらぱくついた。実家に一人いると病院も悪くないと思った。医師にこの1週間酒を飲むなと念押しされ、その日の夜は酒抜きだったが眠れた。翌日は朝のゴミだしから始まり、農業委員会で貸借関係の新規登録、その後国土調査の閲覧本の確認を予定通り済ませることが出来た。やっぱり退院出来て良かった。

昨日の夜やっと尿がピンク色まで薄くなったが、先ほど小便時に黒いカサブタが流れ出て又も尿が濃くなった。体調は至極良いのだが、早く普通の小便に戻りたい。(終り)■

コメント (3)
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