昨日の午後東京に戻った。実家の近くのバス停から松山に向い、バスを乗り継いで空港に行った。予め時刻表を調べてバス停に行ったが、10分経ってもバスは来ない。15分経って心配になりバス会社に電話したが、運行状況に異常はないとの返事。20分近くになって再度電話して問い合わせ中にバスが見えた。
下を走る長距離バスが時刻表通りに来ると期待しないほうが良い。それは想定の範囲内なのだが、事故とか工事中で大渋滞になりバスが走れなくなるとフライトに間に合わなくなる。20分遅れで来たバスは、その後は順調に目的地まで私を運んでくれた。
いつもだと1ヶ月前には帰京する日を決めて格安航空券を買うのだが、今回はガン騒動があって生検の結果を受けて日取りを決めたのは、フライトの2週間前だった。いつも利用するANAのサイトで調べると、羽田までチケットは定額の3.7万円しか残ってなかった。
足元を見られたと怒って高速バスの利用を考えたが、家族は私の身体を心配してバスはやめたほうがいいという。旅慣れた義妹が金券ショップに当ってみろと勧めてくれた。ネットで調べるとANAは2.5万円程度、JALだと1.4万円強のチケットが売り出されていた。この先はネットの売買ではなく電話での応対でクレジット購入、後日チケットレスの引き取り番号がメールで通知された。
いわばこれが現在のANAとJALの評価だと思った。この金券の価格差が市場の評価である。つまりJALにはこのフライトの在庫(空席)が相当数ある、それが金券市場に流れる。案の定、搭乗して席に着くと半数位の席が埋まっている程度だった。私が座った前方窓側の席の隣は二つとも空いていた。
乗ってみると、いつも利用するANAに比べて機内サービスは変わらなかった。コーヒーは無料だったし、CAは中々可愛いと思った。数えてみなかったので正確ではないが、CAの数はANAより少なかったも知れない。お客の数が少なければそれでもいいと思う。
読みかけの本に飽きてふと窓の外を見ると、富士山のシルエットが夕焼けの空にくっきりと見えた。後方を見ると日本アルプスの連山が雲海に浮かんで見えた。黄金の太陽が西の空に沈んでいく景色は素晴しかった。下を見ると伊豆半島らしき上空を飛んで東京湾に向っているようだった。
この頃になって機内ショッピングの案内をして周る美人CAを見て思いつき、明日のパーティに娘夫婦と息子の嫁にプレゼントを買った。彼女を独占してあれやこれや迷ってマフラーとネックレスを2式買うと決めた頃には着陸態勢に入ったので支払いは着陸後になった。
乗客が全て降りた後いざクレジットで支払いしようとすると、リミットオーバーで支払いが拒否された。もしかして初めて利用した金券ショップから情報が流れたかと、悪い予感がした。それではと別のカードを試したが同じ結果だった。CAは現金はないかとやさしく迫る。
財布を調べると2万円しかない。田舎の生活用に準備していたお金が少し残っていたのを思い出し、バッグの底を探すと封筒を見つけた。それで何とか支払いを済ませ、手元に少なくとも電車に乗れるだけのお釣りが残った。みっともないと思わなかったのは年のせいだろうか。
支払いが終ってタラップを降りるともう他の乗客は見当たらない。バスを待つ間寒風を避けようとタラップに戻ろうとしたが、次のフライトの準備があるのでと彼女に追い出された。もう客じゃないし。その間に付き添ってくれた地上員に聞くと、搭乗率は昨年は倒産騒ぎで酷かったが今はかなり回復してきたという。
今のフライトも目安となる60%はいかなかったみたいだと伝えると、彼は今朝の往きのフライトはほぼ満席だったという。確かに私の利用したフライトは1日で一番空いていて安く購入したのを忘れていた。JALは平均搭乗率60%を回復したのだろうか。その心配は不要かもしれない。
昨日の日本経済新聞によるとJALは法的整理を経て債務を圧縮、不採算路線の整理も進みANAとの収益力の再逆転が明白になってきているのだそうだ。私のような乗客にとって見ればJALが元気を取り戻し、しっかり競争して両社が利便性が改善していくのはウェルカムだ。
京急から南武線に乗り変え自宅に着いたのは7時前。息子は食事をしないで待っててくれた。東京での日常が戻った。都会生活Redux ■