かぶれの世界(新)

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秩父線廃止と存続の論理

2013-03-24 17:55:17 | ニュース

 米投資ファンドのサーベラスが西武HDに突きつけたリストラ策の一つが西武秩父線の廃線で、対象となった地元秩父市や隣接する飯能市等を揺るがしている。サーベラスは西武HDの筆頭株主であり、TOBをかけて出資比率を高め更に発言力を高めようとしていると報じられた。

 秩父線と池袋線が一体運用され、過疎化が進む秩父市と東京都池袋を結ぶ唯一の鉄道だ。私企業が赤字だといって安易に廃線にするのは公共の利益に反する、秩父市や飯能市、横瀬町などの沿線の自治体は揃って強く反発しているという。

 私も所沢から池袋線・西武秩父線・秩父鉄道で三峰口に行きバスで登山口に向かい、三峰神社経由で雲取山に登ったことがある。30年以上前のことだから良く覚えて無いが、都心を走る電車に比べ玩具みたいな色の車両で、正丸峠を抜けるトンネルがやけに長かった記憶がある。

 投資ファンドが企業の公的性格を切り捨てる資本の論理に基づく判断で弱者が困惑しているというスタンスで報じられた。横瀬町の広報担当は町内を走る唯一の鉄道路線でなくなれば大変と言い、過疎化が進む山間部を走り高齢者や生の利用客が多いと報じられた。実はここに問題が潜んでいる。裏返せば「高齢者と生しか電車に乗らない」と言っているようなものだ。

 私は自治体や住民が困ったというのはその通りだと思うが、それは住民が車に乗って電車に乗らなくなった結果であり、自治体が重要なインフラを守らなかったからだと思う。彼らが選択した結果だ。今回も廃線が話題になった時、もっと鉄道を利用し存続に貢献するという声は聞こえなかった。赤字でもやれという地域で起業したい企業家など誰もいない、いつかペンペン草が生える。

 言い換えると負担は嫌だが受益は絶対必要という最近の傾向と同じ延長線上にあると感じる。最も端的な例は医療費負担とか社会保険関連の受益と負担など、最大規模の国家レベルの受益要求・負担拒否といってよい。自助精神が病んでいる。こんな事はいつかは成り立たなくなる。

 弱者だけでなくそこに住む人達全員が自治体を守る為の受益者負担の意識変革が必要と私は信じる。公的性格の機能を自治体・住民・企業が一体となって路線存続のために知恵を絞り解を見つける、なんていうのは世間知らずの夢物語なのだろうか。■

コメント
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