かぶれの世界(新)

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危機を育て大きくする欧州

2013-03-26 22:23:49 | 国際・政治

 ギリシャの次はキプロス危機が新たな火種になってEU危機に発展した。先週末の世界の20市場のうち19市場が大幅に値を下げたと報じられた(日本経済新聞3/24)。今度も危機の構図はそうは違わない。南欧の無責任な国が野放図にお金を使いやっていけなくなりEUに助けを求め、ドイツを始め北の金持ち国がけじめをつけよと迫られ国民が反発し、危機が世界に拡大した。

 ユーロ圏全体の0.2-3%規模の小国にやる金をケチって危機を拡大させたとはあきれる。一方で大半のお金を出すドイツの気持ちも判らないではない。夏に選挙を控えメルケル首相はキプロス国民に責任の一端を担えと後に引かなかった。どの国のリーダーも選挙が怖い。我国が同じ状況に置かれたらマスコミがどう伝えて国民がどう反応するか、私に疑問がないわけではない。欧州のやり方もひとつの実験かもしれない。

 この欧州の対応にファイナンシャルタイムズ(FT)は、「この3年間EUは問題を危機に、危機を崩壊に転換する素晴らしい仕組だと証明した」と強烈に皮肉った。ニューズウィーク誌は「銀行システムの根幹をなす社会的な信用をボロボロにするのに大成功」という発言を引用し、キプロス程度の小国を救済する小金で、世界経済を賭けたと非難している。

 キプロス救済と日米のバブル破裂がどれほどのものか同じ数字で比べることは出来ないが、キプロス救済を巡って新聞や経済誌が報じた数字を拾い上げて以下に示す。キプロスの経済規模は米粒程度だ。だが、サブプライム焦げ付きが表面化し始めた2006年頃はリーマンショックに発展するとは誰も予測しなかった。一旦危機が表面化した時の米国と比べるとEUは遅すぎる。

キプロスの経済規模: ユーロ圏の0.2%、ギリシャの1/10
キプロスの金融業規模: GDPの8
ギリシャの後押しでEU加盟、ものづくりから金融立国に転換
 主要顧客: 預金の1/3がロシアからの資金
    4割を露英中東欧富裕層、一部に資金洗浄の疑い
    6割をギリシャ国債に投資し危機、200億ドルが必要
EUは100億ユーロ支援と、その条件として同国第2位銀行の清算と銀行預金課税を要求

(参考)過去の異常な状況における日米金融業
邦銀の企業向け貸し出しと社債: バブル期にGDPの100+
              (2008/3にGDPの87%)
米銀の企業向け銀行貸出と社債: 2002年頃GDPの60-80
              リーマン直前100+(推測)
投資銀行のレバレッジ:2007リーマンショックの直前 
          メリルリンチ27.8倍、GS28.2
          リーマンB31.7倍、  MS32.8

 キプロス議会はEUの救済条件として、銀行預金課税を一旦拒否したが少額預金を保護することで合意して土壇場で決着した。だが、その後オランダの大臣の発言「この異例な対応(国民が金融機関の損を負担する)が他国にも適用する」云々が伝えられ、市場が動揺して世界の市場が乱高下した。勿論、私の資産も影響を受けた。頼むよ、メルちゃん。■

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