かぶれの世界(新)

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アベチャン、頼むぜ

2013-03-09 23:31:23 | 社会・経済

 一昨日の午後は義弟と昼飯を食いお茶を飲みながら政治談議にふけった。田舎にいる間ほとんど議論することがないテーマで思わず力が入った。昨年は彼が住む大阪氏市長の橋下氏をどう評価するかの議論だった。今回は安倍政権が対象だ。我々の興味をもつテーマは普段批判するテレビの発想と変わらないが、実は二人ともリーマンショックで手ひどい損失を被り安倍政権が成立して以来損を取り戻した背景がある。恩義がある。どう議論したって安倍首相はこれまでのところ上手くやっているというのが二人の結論となった。こんなに話が合うのは珍しい。

 だが、二人とも安倍首相が衆院選までに打ち出した政策は疑わしいと本音では思っていた。何時か新政権が作り出した市場の高揚感が失速する日が来ると恐れを持っていた。我々の最大の関心は何時まで続くか、換言すると売り時はいつか、その前兆は何か、であった。言い換えると完全に信用できないのだ。我々の間ではアベノミクス云々より、親しみを込めて「アベチャン、頼むぜ」だ。

 だが、安倍首相の出足は極めて上手くやっている。海外メディアが一斉に指摘した右翼的性格を抑え、既得権益に切り込み痛みを伴う構造改革も手をつける気配がない。もっぱら万人が痛みを感じることない経済政策でサービスに努めている。その分着実に財政赤字を増やしているのだが。手堅い閣僚の任命で食言や失言でマスコミの攻撃を受けその対応に追われることもない。

 前回の失敗を教訓にして実に上手くやっている。その上、今回は外部環境の良さが彼を味方している。米国経済は回復基調が鮮明になり新興国も持ち直して来て、世界経済動向に敏感に反応する日本企業の収益が改善、更に円安が後押しした。量的緩和で金余りの海外投資家は安倍政権下の日本企業を買いと見て投資を増やし、日本の投資家にも火をつけた。気がつくとリーマンショック前の状態に戻った。

 一方で多くの専門家が指摘するように、三本目の矢である構造改革・規制緩和については依然として不透明だ。構造改革のきっかけにTPPを利用する作戦は悪く無いが、交渉参加に反対する声は根強い。TPP参加表明した安倍政権が参院選に勝つためには都市の票だけでは足りない。1票の格差が5倍もある参院では地方の支持が必須だからだ。しかし彼が逡巡すると海外投資家は日本市場から逃げて行くだろう。当然のことながら彼らに忠誠心など全くない。

 次に心配なのは金利上昇だ。原発の稼動が制限されエネルギー輸入に頼るようにも拘らず円安が進行すると、経常赤字が更に悪化するのは避けられない。それを見て海外投資家が日本に投資続けるためには高い金利を求め、一方国内調達では不足する事態が少しでも予測されると事態は一気に悪化する。800兆円の借金を抱えた国の財政が破綻の道を歩む。安倍政権の金融政策は時限処置でなければならない、だがいつ何が出口か誰も怖くて聞けない恐ろしさがある。

 新政権成立後100日間は批判しない期間(grace period)というが、日本では主要メディアでも些事をあげつらい短命政権作りに貢献してきた。失敗の教訓をフルに生かした安全運転の安倍新政権に対し国民は高く支持し、揚げ足取りの機会を狙うマスコミにつけ込む隙を与えてない。後ろ向きの対応に無駄な時間を使う悪循環を避けるのは極めて重要だ。だが、安全運転をいつまでも続ける事は出来ない。個人的には売り時を探りながら、祈る気持ちで見守っている。■

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