世紀の大発見とたたえられたSTAP細胞の主要研究者の小保方博士が、一転して所属する理化学研究所の調査委員会に不正があったと認定したと報じられた。発見を証明する基本情報として博士論文の画像を使い回したのは「捏造」と決めつけ、研究不正と認定する最大の根拠となったと報じられている。これに対して小保方博士は単純ミスであり承服できないと反論した。
最初にメディアが取り上げた時、若い女性研究者をまるでアイドルのように扱うマスコミに怒りを感じた。ネイチャー誌に論文が発表されて以来持ち上げ、疑惑が生じると一転してこき下ろすマスコミにうんざりだった。しかも発見内容など何の知識もない連中が知ったかぶりの論評を加える。だが今回の一連の報道を見て私も事態は極めて深刻だと思った。
私が電気技師だった若い頃に電子回路の実験を担当した時、職場の先輩から実験データがおかしいと思っても勝手に修正してはいけない、それには必ず理由がある。「データは神聖なり」だと。学生時代に民間会社の中央研究所でガリウムヒ素の発光特性を調べた時も、担当の所員から同じことを言われた。私にとってはイロハのイだった。
世論調査や市場調査のように分野は違っても、先ずデータを受け止め理解するところから始めるべきというのが私の理解だ。だから一連のニュースを聞いた時、正直言うと「あれ、小保方さんおかしいな」と思った。研究者の世界でデータ捏造とか改竄という言葉が簡単に出てくるはずがないと。そのうち遡って博士論文までコピペが指摘される報道をみて、驚きうんざりした。
十年前に工学系の修士論文を書いた息子によると、どの大学でも卒論や修士論文はコピペが常識、多分博士論文もという。嘆かわしい事態だ。小保方さんも最近の傾向に麻痺していたのだろうか。私は研究目的に合致しているテーマで原典を明示して引用するのは寧ろ研究者の見識を示すと思うが、断りなく引用するのは恥じるべき行為だと思う。
それににしても、理化学研究所の調査委員会が彼女一人を悪者にして発表したのには違和感がある。誰一人として彼女を守ろうとしないのは不思議だ。マスコミには理化学研究所の組織防衛だという見方があるようだ。そうかもしれない。真実は当事者のみ知る。ともあれ私ならあんな可愛い女性研究者を守る為なら何でもするのだが。又、ひんしゅくを買いそうだ。■