かぶれの世界(新)

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スポーツ愛国主義に決別

2016-03-09 14:05:55 | スポーツ
サッカー女子日本代表がリオ五輪の出場権を逃した。5年前にW杯で初優勝し女子サッカー代表チームは国民栄誉賞を受賞、立役者の澤穂希がバロンドールを受賞するというサッカーファンにとって夢みたいな奇跡を成し遂げた。私が生きてる間に男子サッカーが同じ奇跡を起こすことはないだろう。大震災で未曽有の国難にあった日本中が湧きかえり勇気を与えた歴史に残る快挙だった。

奇跡の優勝を遂げた瞬間から当時のテレビ等マスコミの扱いは一変した。昨年日本代表が大活躍したラグビーが注目され、テレビ報道が一桁増えて俄ファンが急増したのと同じだった。なでしこジャパンの活躍による精神的な貢献は素晴らしかった。一方、サッカーファンを自称する私には女子サッカーのゲーム自体は迫力がなく物足りなかった。何でテレビは生中継するのか、視聴者は本当にサッカーファンなのかと思ったものだ。

もちろんテレビが熱心に扱うのは沢山の視聴者がいるからだろう。そのスポーツが面白いとか好きだというより、我々日本を代表するチームや選手が他国のチームをやっつけるのを見たいのだ。換言すると勝たなければテレビ中継を見ても意味が無いし、勝てば人気が出てファンになる謂わば「スポーツ愛国主義」だと思う。

マスコミによってはスポーツそのものの楽しみより、愛国的な報道に重点を置いた報道をする。その代表的な報道の例がTBSのニュース番組「サンデーモーニング」だと私は思う。政治・社会のテーマは辛めの政権批判報道をするが、スポーツコーナーに移ると愛国主義的な報道姿勢に劇的に切り替わる。そのスポーツを良く知らなくても勝ち負けにはこだわる。

番組では日本選手が活躍して勝つと褒めちぎり、負けるとボロボロに貶す。一体その大会で誰が勝ち誰が負けたのか、日本人選手の勝敗以外何が起こったのかさっぱりわからない。外国人選手がどんなに素晴らしいプレーしても無視、日本人選手以外に報じられるのは外国人選手が派手な失敗をした時だけだ。

このニュース番組のスポーツコーナーは、スポーツ世界で何が起こっているかは伝えないし、スポーツの良さ・楽しさを伝える何物もない。他のマスコミ報道もこれ程極端ではないが概して愛国主義的傾向が強い。彼等の報道姿勢はスポーツを愛しているようには感じない。これに対し私はスポーツ愛国主義をやめ純粋なスポーツ愛好者になることを勧めたい。

マスコミ報道はこれからなでしこジャパン敗戦の責任探しが始まる。監督や主力選手は非難を受けることになるだろう。だが、この5年間の日本女子サッカーは歴史に記憶される特別の時代だった。これが更に5年10年と続くこと自体奇跡だ。逆に低迷する時代が長く続くかもしれない。それ程偉大な時代だったと思うべきだ。

女子サッカーは今迄の様にテレビでちやほやされなくなるだろう。だが、世界一になった選手や監督は胸を張って欲しい。今は批判されるだろうが、世界一を成し遂げた選手や監督は特別な人達で長く記憶に留められるだろう。この先世界的な選手が現れ指導者と幸運に恵まれない限り、誰も彼女達の成果を超える結果を出せないからだ。■
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