安倍首相の後継は菅官房長官で決まりと報じられているが、バイデン元副大統領が優勢と伝えられていた米国大統領選はここに来てトランプ大統領が盛り返しているという。識者が心配しているのが、両候補のどちらになっても負けを認めず混乱が起こる事態だ。米国は三流国になったのだろうか。
米国大統領選の選挙日が11月、残り1カ月余りになってきた。伝えられるニュースは聞くに堪えない。再選を狙うトランプ大統領の発言や醜聞はとても現職大統領とは思えない酷いものだ。なのに依然としてまだ無視できない堅い支持率を保っているのか不思議でならない。
主要な支持母体のキリスト教福音派は揺るない岩盤支持だと言われている。キリスト教徒があんな嘘にまみれた下品で醜悪な発言をする男を何故支持するんだろうと思う。敬虔で信心深いキリスト教徒がそんなことでいいのか、キリスト教全体の信頼を失うと思わないのだろうか。
子供の頃から自由民主主義の世界のリーダーとして米国に憧れの気持ちを持ってきた私には信じられないことだ。政治の世界がそんな理想だけで語れないのは良く分かっている。それが建前で実行が伴わなくとも、米国のリーダーは自由民主主義のあるべき理想論を語らなければならない。
子供じみたこと言うんじゃない、もう人生残り数年のジーサンがそんな世間知らずとは、人は言うだろう。私が米国政治に興味を持ち始めたケネディ大統領時代からクリントン、ブッシュなど歴代大統領下で理想とはかけ離れた事件が何度も起こったが、こんな恥知らずな大統領は記憶にない。
何故、米国民はトランプみたいな酷い男を大統領に選んだのか。人は誰でも間違いはある、だけどトランプがダメな事は分かっているはずだ。一度は間違えても米国民はトランプを再選することはないと思っていた。今頃になって、ダメなのはトラン個人じゃなくて米国民かもと思い始めた。
薄々感じていたが、ここに来てかなり真剣にそんな風に感じるようになった。長らく米国企業と付き合い、90年代半ばから米国に住んだ時に感じた米国とはもう違う。「俺の知っているアメリカじゃない、一体どこへ行ったんだ?」という思いだ。
私の知ってるアメリカは90年代までの両海岸に住む人たちで、今も彼らの多くはトランプが嫌いだ。だが、南部や中西部など内陸部の人達との付き合いは殆どなかった。トランプの岩盤支持者から宗教的背景を除くと90年代に始まったグローバリゼーションから取り残された中流階級や労働者だ。
グローバリゼーションは安価な労働力を求めアジアに向かいサプライチェーンの変化から始まった。変化の速度を圧倒的に加速したのはITだった。大きな社会のうねりは米国一国の変化ではなかった。IT企業が一人勝ちし、富は上流階級と中国に集中し、中流階級は細っていった。
この視点から見るとトランプのやり方は酷いが、政策自体は必ずしも滅茶苦茶ではないと言うことだ。グローバリゼーションから取り残された人達にとって、唯一面倒を見てくれる大統領がトランプだった。トランプは大嫌いだが、ことはそれほど簡単ではなさそうだ。■
米国大統領選の選挙日が11月、残り1カ月余りになってきた。伝えられるニュースは聞くに堪えない。再選を狙うトランプ大統領の発言や醜聞はとても現職大統領とは思えない酷いものだ。なのに依然としてまだ無視できない堅い支持率を保っているのか不思議でならない。
主要な支持母体のキリスト教福音派は揺るない岩盤支持だと言われている。キリスト教徒があんな嘘にまみれた下品で醜悪な発言をする男を何故支持するんだろうと思う。敬虔で信心深いキリスト教徒がそんなことでいいのか、キリスト教全体の信頼を失うと思わないのだろうか。
子供の頃から自由民主主義の世界のリーダーとして米国に憧れの気持ちを持ってきた私には信じられないことだ。政治の世界がそんな理想だけで語れないのは良く分かっている。それが建前で実行が伴わなくとも、米国のリーダーは自由民主主義のあるべき理想論を語らなければならない。
子供じみたこと言うんじゃない、もう人生残り数年のジーサンがそんな世間知らずとは、人は言うだろう。私が米国政治に興味を持ち始めたケネディ大統領時代からクリントン、ブッシュなど歴代大統領下で理想とはかけ離れた事件が何度も起こったが、こんな恥知らずな大統領は記憶にない。
何故、米国民はトランプみたいな酷い男を大統領に選んだのか。人は誰でも間違いはある、だけどトランプがダメな事は分かっているはずだ。一度は間違えても米国民はトランプを再選することはないと思っていた。今頃になって、ダメなのはトラン個人じゃなくて米国民かもと思い始めた。
薄々感じていたが、ここに来てかなり真剣にそんな風に感じるようになった。長らく米国企業と付き合い、90年代半ばから米国に住んだ時に感じた米国とはもう違う。「俺の知っているアメリカじゃない、一体どこへ行ったんだ?」という思いだ。
私の知ってるアメリカは90年代までの両海岸に住む人たちで、今も彼らの多くはトランプが嫌いだ。だが、南部や中西部など内陸部の人達との付き合いは殆どなかった。トランプの岩盤支持者から宗教的背景を除くと90年代に始まったグローバリゼーションから取り残された中流階級や労働者だ。
グローバリゼーションは安価な労働力を求めアジアに向かいサプライチェーンの変化から始まった。変化の速度を圧倒的に加速したのはITだった。大きな社会のうねりは米国一国の変化ではなかった。IT企業が一人勝ちし、富は上流階級と中国に集中し、中流階級は細っていった。
この視点から見るとトランプのやり方は酷いが、政策自体は必ずしも滅茶苦茶ではないと言うことだ。グローバリゼーションから取り残された人達にとって、唯一面倒を見てくれる大統領がトランプだった。トランプは大嫌いだが、ことはそれほど簡単ではなさそうだ。■