コロナが明けて定着したかに見えたジョブ型雇用は、最近の報道を見る限り言葉だけ先走りしている印象がある。ネット情報を検索するとジョブ型雇用とは下記のよう雇用形態と定義される。
「企業が必要とする職務や業務内容に適したスキルや経験を持つ人材を採用する雇用制度です。 あらかじめ職務・勤務地・労働時間などの条件を明示し、雇用契約を結びます。 異動や転勤、昇進や降格は基本的になく、専門性を活かして効果的に働くことが評価される」
私が90年代半ばに米国の工場責任者に赴任した時、そこは品質管理と棚卸削減が最優先事項だったが私は全くの素人だった。役に立たない私を見て、社長は工場運営について名の知れた米国人専門家を私の上司として雇った。新上司は私の部下に生産管理の経験を積んだ部長を雇い、彼がやり手の若い生産ラインの管理者を他の会社から誘って工場の人材を補強して行った。
その時に使われたのがジョブディスクリプション(職務記述書)だった。私は米国に渡る前にそんなものがあるとは知らなかった。だが、心配は不要だった。私の出番はなかった。米国人上司が部長を雇ってくれた。部長の職務記述は上司が作り、部長が生産ライン管理者の職務記述書を作ったはずだ。職務記述書は私を素通りしたのだと思う。私は部下の部長を守り仕事をさせただけだ。
一方、私が赴任して来る迄工場で働いていた人達は、新しく雇った管理者の指示を受けて働き、工場運営は瞬く間に改善して行った。正直、驚いた。昔から働いていたマネージャは辞めて行った。それについて誰からもクレームを受けたことはない。当時の日本の職場ではあり得ないことだった。だが、これは米国のシステムだから起こりうることだと割り切った。
新聞報道によると「2023年春に大学を卒業したした人の就職率は97.3%で、コロナ以前と変わらず売り手市場の傾向」という。この報道に接して私は日本でジョブ型雇用はそう簡単に定着しないだろうと思った。米国の工場で働いた時に日本のような新卒の採用はなかった。新卒の職務記述書などない、仕事が出来るかどうかだった。
私の働いた工場に限らず業務の必要に応じて対応可能な能力を持つ人材を雇うのが建前だった。ところが日本で上記のように一斉に新卒採用し「よーいドン」で働くシステムで、突然他所から雇われた専門家が自分の上司になって働くのは難しい。唯一思いつくのは、新しい部署を作り社内外から職務記述書に基づく人材として働くこと。日本企業の弱かったIT関係の部門はそれしかないかも。■
「企業が必要とする職務や業務内容に適したスキルや経験を持つ人材を採用する雇用制度です。 あらかじめ職務・勤務地・労働時間などの条件を明示し、雇用契約を結びます。 異動や転勤、昇進や降格は基本的になく、専門性を活かして効果的に働くことが評価される」
私が90年代半ばに米国の工場責任者に赴任した時、そこは品質管理と棚卸削減が最優先事項だったが私は全くの素人だった。役に立たない私を見て、社長は工場運営について名の知れた米国人専門家を私の上司として雇った。新上司は私の部下に生産管理の経験を積んだ部長を雇い、彼がやり手の若い生産ラインの管理者を他の会社から誘って工場の人材を補強して行った。
その時に使われたのがジョブディスクリプション(職務記述書)だった。私は米国に渡る前にそんなものがあるとは知らなかった。だが、心配は不要だった。私の出番はなかった。米国人上司が部長を雇ってくれた。部長の職務記述は上司が作り、部長が生産ライン管理者の職務記述書を作ったはずだ。職務記述書は私を素通りしたのだと思う。私は部下の部長を守り仕事をさせただけだ。
一方、私が赴任して来る迄工場で働いていた人達は、新しく雇った管理者の指示を受けて働き、工場運営は瞬く間に改善して行った。正直、驚いた。昔から働いていたマネージャは辞めて行った。それについて誰からもクレームを受けたことはない。当時の日本の職場ではあり得ないことだった。だが、これは米国のシステムだから起こりうることだと割り切った。
新聞報道によると「2023年春に大学を卒業したした人の就職率は97.3%で、コロナ以前と変わらず売り手市場の傾向」という。この報道に接して私は日本でジョブ型雇用はそう簡単に定着しないだろうと思った。米国の工場で働いた時に日本のような新卒の採用はなかった。新卒の職務記述書などない、仕事が出来るかどうかだった。
私の働いた工場に限らず業務の必要に応じて対応可能な能力を持つ人材を雇うのが建前だった。ところが日本で上記のように一斉に新卒採用し「よーいドン」で働くシステムで、突然他所から雇われた専門家が自分の上司になって働くのは難しい。唯一思いつくのは、新しい部署を作り社内外から職務記述書に基づく人材として働くこと。日本企業の弱かったIT関係の部門はそれしかないかも。■