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天邪鬼な原爆反対論(評)

2023-05-20 20:04:42 | 国際・政治
G7広島サミットは予想したよりも順調に進んでいるように感じる。主要7カ国(G7)の首脳会議を広島で開催すると決まった時から、目の前のウクライナ戦争とか経済安保等の主要テーマは当然として、トータルのメッセージは核軍縮もしくは核廃絶であることは明らかだった。

テレビ等で見た広島市民の反応が思ったより落ち着いていたのは私には意外だった。もっと声高に核廃絶を叫んでG7トップや世界に訴えるデモで広島市内が騒然となるのではと私は心配した。日米の政府から市民レベルまで戦争の傷が癒され理解が進んだことが理性的な反応に貢献したと思う。

今回のG7サミットは、ロシアのウクライナ侵攻と核攻撃の脅迫、北朝鮮や中国の核開発の恐怖が世界に認知された背景が、タイミング的に広島出身の岸田首相のG7会議議長がはまり役になったのだと思う。多分、今世論調査をすれば岸田首相の支持率は急増しているだろう。

しかし、当初オンライン出席が報じられたバイデン大統領の躊躇の一つが、多くの米国民が太平洋戦争を早く終わらせ被害を最小にする為の原爆投下だったと肯定的に考えているからだ。私は現実的な考えとしてありうると考える。一方、日本の情勢判断は戦争を始める前から誤っていた。

天邪鬼な私は原爆投下は戦争を終わらせる為に正しい判断だった、更には日本人のトータルの被害も結果的に減らした可能性がありうると考える。被害に遭った広島長崎市民が他の日本人を救ったともいえる。歴史を振り返るとそういう皮肉な関係は戦争でたびたび起こったはずだ。

今回のG7首脳会議の主要テーマがウクライナ戦争をどう終わらせるかだ。G7は軍事的な支援を増やし過ぎたら、ロシアは判断を変えて核を使う恐れがあるので躊躇している。つまり、逆説的にはロシアにとってみると核爆弾が戦争を失敗しないための抑止力になっているのだ。

今、原爆反対と訴える対象はロシアであり北朝鮮なのだ。更には原爆製造を急増させているとみられる中国なのだ。彼等に対する有効な抑止力は今のところ原爆しかないと私は考える。「目には目を、原爆には原爆を」しかない。他に何かあったら是非教えて貰いたい。

それが前提では直ぐに効き目はなくとも、市民のサミットに対する反応は間違ってはないと思う。だが、今度はウクライナの立場に立てばどうだろうか。彼らはロシアが侵攻してきた時に欧米諸国は声を揃えてゼレンスキー大統領の亡命を勧めた。だが、ウクライナが立ち上がりロシア軍と戦い3日耐え忍んでから世界は支援し始めた。最終段階としてロシアが原爆を使ったらどうするのか。

一旦戦争が始まったら核爆弾が「正しいか正しくないか」の論理はもはや成り立たないと今回つくづく感じた。「勝つか負けるか」は「正しいか正しくないか」の論より上位の論理であり、抑止の有効性を越えると考える。プーチンにとっては正義の論理は勝つ為でなければ意味がない。G7サミットは将来の抑止の為だと考える。

私のような極端な考えはマスコミ報道には見られない。それどころか、今も原爆をどんどん増やしている中国や北朝鮮を非難する記事も見かけない。一体どう考えているのだろうか。私の天邪鬼な考えを修正してくれないのだろうか。■
コメント
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