日本サッカー協会の川淵会長が23日の朝日新聞の「私の視点」の欄に、最近のJリーグのゲーム内容やマナーの悪さについて次のように警鐘を鳴らしていた。先のU17アジア大会でJリーグの悪いプレーをマネする選手がいた。川淵氏は02年W杯決勝で主審を務めたコリーナ氏の発言を引用して中田英寿を手本にしろという。即ち、「イタリアの主審は中田に敬意を持ってみている。汚いプレーはしないし、わざと倒れたりもしない。審判にも文句をいわない。」
私もサッカー選手のマナーの悪さを最近国際大会で指摘されたニュースが気になっていた。トップレベルの悪いお手本は将来をになう若い選手に容易に伝染する。サッカーだけではなく、現在行われているプロ野球の日本シリーズでは判定をめぐって49分も試合が中断した。丁度同じ頃、メジャーリーグで同じように判定が覆る事態が起こり、監督は抗議したが短時間で試合は再開した。中田に加えてイチローと松井をお手本に付け加えたい。判定に不満があっても超然としてやるべきことをやる姿勢は正に子供達の模範である。
国際大会でユースチームのマナーが悪いと言う評価を受けたのは、私が指差されたようなある種の恥ずかしさを感じる。スポーツのマナーはその国の民度の反映でもあるからだ。小さなことだがボールデッド後時間稼ぎの必要が無い時でも、相手ボールが足下にあるのに知らん顔する日本選手が実に多い。 トップに立つプロの選手だけでなく、プロリーグを運営する経営者の質まで問われていると心すべきである。だからこそ川淵会長は危機感を感じて警鐘を鳴らしたのだと思う。
もう一つ付け加えたいのは、日本の選手に相手チームに対する尊敬の念が足りないと思われることがある。得点した時の選手の喜びを素直に表現して何が悪いのかと言う意見もあろうが、高校野球の代表される派手なガッツポーズは時にやりすぎと感じる。昔の高校野球ではそうではなかったのだが、何時の時からかそうなった。今やどのスポーツも同じだ。片方には無念な思いを噛み締めている相手がいることを忘れてはいけない。私から見ると中田やイチロー、松井の抑えた喜びの表現は「一流の証拠、自信の表れ」であり、「クール」と感じる若い人もいるはずである。 全員無表情だと気持ち悪いが、今は余りにも安っぽい。