一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

藤井王将、盤石の防衛

2025-03-10 23:29:45 | 男性棋戦
この8日、9日に、ALSOK杯第74期王将戦第5局が、群馬県深谷市で行われた(主催:日本将棋連盟、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)。
深谷駅は東京駅丸の内口の駅舎にそっくりである。それは、東京駅のレンガは、ここ深谷のレンガが使われていたことによる。深谷駅は一見の価値があると思う。
さて王将戦はここまで、藤井聡太王将3勝、永瀬拓矢九段1勝。永瀬九段は前局カド番をしのいだが、崖っぷちの状況は変わっていない。
ただ第4局と第5局の間に、永瀬九段は藤井名人への挑戦を決めた。これは殊のほか大きく、私が同じ立場だったら、「王将戦はまあいいか」と諦めてしまうところ。しかし永瀬九段にそんな気持ちは微塵もなく、一局でも多く藤井王将に教わりたい、というところだろう。
対局開始。先番の永瀬九段が飛車先の歩を突く。対して藤井王将が角道を開けた。私はその場面を見ておらず、仮に見たとしても「そんな手もあるかな」くらいの感想だったと思うのだが、将棋界はたいへんな騒ぎだったようだ。なにせ、藤井王将の公式戦後手番258局目にして、初手に角道を開けたのは初めてだったからだ。
立会人の藤井猛九段は声を上げそうになったらしいが、それ以上にびっくりしたのは永瀬九段である。まったく予期していない手が飛んできたから、呆然としたのは想像に難くない。そして、それまでの永瀬九段の研究が音を立てて崩れた。結果を知っているから書くわけではないが、この瞬間、本局の勝負はついたのであった。
永瀬九段は角道を開けたが、そこで藤井王将が飛車先の歩を突いたら、横歩取りになる。しかし藤井王将は角道を止める。これも作戦の一環である。
以下、双方慎重に時間を使い、陣形整備にとりかかる。いや、これが本来のタイトル戦だと思う。
増田康宏八段との棋王戦もそうだが、挑戦者は中盤まで時間をまったく使わないので、タイトル戦特有の重厚感を感じない。個人的には、それはどうかと思うわけである。だから、藤井王将の作戦の副産物ではあるが、このまったりした進行は、私は満足だった。
2日目に入り、藤井王将の初手は、金を三段目に上がる手だった。これは大方の意表を衝いたらしいが、藤井王将が指したのだから、これが正着。そして空いたマス目に玉を据えた。いわゆる中住まいで、対局場の旧渋沢邸「中ん家」にちなんだわけではないだろうが、藤井王将はこの地点に玉を置くのが好きだ。
対して永瀬九段は金銀四枚でがっちり固めるが、進展性がないようにも思える。事実、58手目に藤井王将が飛車を2筋に転回したところでは、藤井王将大優勢に見えた。
実は、大野八一雄七段との指導対局で、私はこの形をよく食らっている。飛車先の歩を交換したのを逆用された形で、下手が勝ったことがない。
永瀬九段は左金を出動させぎりぎり受けたが、後手からすれば、その金を狙えば自然に勝ちになる。
しかし永瀬九段も全力で受けに回り、簡単に土俵を割らない。否、1筋は破っているし、永瀬九段にもじゅうぶん楽しみがある局面に思えた。
というところで、藤井王将が7筋の歩を突いたのが、私にはまったく浮かばなかった好手(たぶん)。
なるほど、ここと思えばまたあちら、か。藤井王将の指し手は本当に勉強になる。この歳で勉強になってもしょうがないが。
永瀬九段、飛車取りに金を打つ。これには藤井王将が利かせるだけ利かせて、敵の金とバッサリ刺し違えた。
これが藤井王将の得意技で、この類の手が出たら、100%藤井王将の勝ちである。
続く歩の連打で、永瀬九段投了。飛車取りに打った金が取り残され、痛々しかった。
この両雄は来月からの名人戦でも激突するわけだが、もし佐藤天彦九段が名人戦に登場していたら、本局は2手目に藤井王将が角道を開けていただろうか。もうちょっと温めていたと思うのである。
いっぽう永瀬九段としては、2手目にこの手があることで、対策量が膨大になってしまった。これは永瀬九段にとって、小さくないディスアドバンテージとなる。
藤井王将は会心の勝利で、王将4連覇。通算タイトルは28期となり、谷川浩司十七世名人の27期を抜き、単独5位となった。まったく信じられないスピードだが、ただ昨年のこの時期では、1年後に谷川十七世名人の記録を抜くだろうと、ほとんどの将棋ファンが思っていた。
そして今年の秋には、通算タイトルが32期になり、23歳にして渡辺明九段の記録を抜くのだろう。
誰も藤井竜王・名人を止められないのか!? 誰か出てこい!!
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杉本八段、不運の降級

2025-03-09 23:26:02 | 将棋雑記
5日の第83期B級2組順位戦で、前代未聞の出来事があった。もう大多数の将棋ファンが知っていると思うが、5勝5敗の成績を取りながら、降級してしまった棋士がいた。杉本昌隆八段である。
今期のB級2組は、参加26名。B級2組は4人に1人降級点が付くので、今期は6名に付く。数年前だったら「5人に1人」だったから、降級点は5名だった。たった1人増えただけだが、されど1人だ。B級1組で羽生善治九段が3人目の降級になったのと同様、数年前の規約改正が、まさかのドラマを生むことになる。
杉本八段は前期降級点を取り、開幕前は順位最下位。この後4勝5敗で、最終戦を迎えた。この時点で26名中21位。最終戦で自身が勝つのは絶対として、自身より上位の4勝5敗者は7名いる。この7名全員が勝つとは思えぬから、自身が勝てば、今期の降級点は回避となる。ふつうはそう思う。
そして杉本八段は勝ったが、何と上位の7名も全員勝ってしまい、杉本八段は降級点2回で、降級となってしまったわけだった。
だがちょっと待て。順位戦は、指し分けでは降級点は付かないのではなかったか?
でも付いちゃったのだから、そんな規定はないのだろう。
だとすると、だ。今期は降級点持ちの鈴木大介九段が、5勝5敗ながら順位の差で、辛くも降級点を免れた。
その鈴木九段が来期も5勝5敗だったら? ふつうは「2期連続指し分け」で降級点消去になる。だけど他者の勝敗によって降級点を食らったら、今期の杉本八段のように、降級してしまうのか?
それで日本将棋連盟の規約のページを見ると、「指し分け以上でも、降級点に該当すれば、そちらが優先だれる」旨の一文があった。つまり、降級してしまうのであった。
いや、これはかなり厳しい規約である。
そもそもB級2組は(ほかのクラスもだが)むかしから実力伯仲で、かつては桐山清澄九段や飯島栄治八段が、4勝6敗の成績で降級点を取ったこともある。
今期は稀にみるダンゴ状態で、全10局終了の結果を見ると、5勝5敗が13名もいた。実に26名の半数である。そして、0勝が1名、1勝が1名と、負け数が特定の棋士に集中し、負け越しの棋士が少なかったのも異例だった。杉本八段は運がなかったというほかない。
杉本八段、「連載エッセイのネタができた」と苦笑いする気も起らないだろう。ともあれ当ブログとしては、来期のC級1組は、杉本八段を応援したい。
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最近見た夢(2025-02-20、21、25、26、27、28、03-04、05、08)

2025-03-08 22:33:49 | 
最近見た夢を記しておこう。
まず2月20日に見た夢。
私は八重山諸島を旅行していた。たぶん西表島だったと思うが、港の近くにユースホステルがあり、私はそこに宿泊した。
だが私は、港から遠く離れたユースホステルに予約を入れていたのだ。
そこを振って平気でほかのユースホステルに泊まってしまう自分に呆れてしまった。

続いて21日に見た夢。
私は友人(たぶん私も入れて3人)と、関西を旅行していた。
そのうちひとりが東京に帰ることになり、私は大阪から東京までの切符と新幹線券を用意してやった。厳密に言うと、もっと安く買える切符があったようだが、私が気を吐いた。
続く22日は、たぶん弟だと思うが、電車でどこかへ行く夢を見た気がする。
どうも最近、どこかへ行く夢が多い。これは現実的に、私がふどこかへ行きたい(逃げたい)からだろう。

続いて25日は、私が某高校生の大型クイズ番組の予選を通過して、本戦に出場している夢を見た。
私がこの世で最も嫌いな番組の夢を見るとは、皮肉だ。

続いて26日に見た夢。
私は誰かと旅行をしていた。電車に乗ると、ここに電車が走るのか、という細い通路を電車は通っていく。
私の乗っている西武電車は、ビルと空き地の狭間にある塀の脇を通っていった。そこは線路が敷かれておらず、その中空を電車が通った。
鄙び駅舎に私たちはおり、テーブルにが氷づけの豪華な食事が出ていた。それを同行者の松本伊代が、美味しそうに食べていた。

続いて27日に見た夢。
私はたぶん、友人と鉄道旅行をしていた。
ある半島へ行き、ある地点のところで引き返せば13時台の特急で帰れる。
だがその先のエリアまで行っちゃうと、15時台の特急になり、当日中に家へは帰れないのであった。

続いて28日に見た夢。
私は新潟県の雪山に行った。そこで尿意で目が覚め、寝直した。
私たちはあるイベントに参加していた。若い女性があっちとこっちにおり、あっちはミニ電車に若い女性が乗っていた。
こっちにも何かあり、私はまずこっちに来たのだが、女性らは「あっちへ行くのが本当だ」と言う。
それであっちに行き、私はミニ電車の先頭に座り、彼女らと向い合わせの形になった。
だけど彼女らは、「あなたはこっちじゃない」と言った。
私は「じゃあどっちに行けばいいんだ」と憤慨した。
場面変わって、私たちはウルトラマン兄弟の着ぐるみを着て、スポーツの試合を行った。バスケットボールだった気もするがはっきりしない。
対戦相手もウルトラマンの着ぐるみを着ていたが図体が大きく、しかも反則プレイが多かった。
それで私たちのチームは負けた。試合後、アメリカ人のオーナーが私たちに、
「ウルトラマンやウルトラセブンの着ぐるみが人気なので、あなた(たち)は帰ってきたウルトラマンの着ぐるみを着て、よく頑張った」
と言った。それで私は、試合前のミーティングを思い出した。私たちが着た着ぐるみは目の周りが黄色くなっており、手の部分は肌が剥き出しになっていた。
そこでアラームで起こされた。

続いて3月4日に見た夢。
私はウルトラ警備隊の類の隊員だった。ほかに隊員が3人いて、うちひとりは俳優の松田悟志の気もしたが、よく分からない。そんな私たちには秘密があった。必殺仕事人の仕事もしていたのだ。
その連絡は隊員間の電話で行い、基地内のパーテーションの隅に、三角に切り込まれた電話ボックス内で受けていた。
ある日も連絡を受けていたが、それを上司に見られたような気がした。

続いて5日に見た夢。
マイナビ女子オープンの打ち上げかなにかで、堀彩乃女流初段と、韓国料理の店に行った。ほかには上田初美女流四段がいた気がしたが、よく分からない。
店内はこたつ仕様で、韓国人の家族が10人ほどいた。私はそこのお父さんに話しかけたが、お父さんは日本語が分からず、私はもどかしくなった。

7日の夢は、モノレールのような特急列車に乗った気がするのだが、詳しいことは忘れてしまった。

続いて8日に見た夢。
私は友人らと、ある旅館に泊まっていた。そこは木造で風情があった。
私は角部屋に泊まった。戸はなぜか洋風のドアで、除き穴から廊下が望めた。そこからなら人の出入りが分かって面白いし、逆に訪ねられても、居留守を使えばよい。
ところがしばらく経ってドアの横を見ると、そこには観葉植物があったのだが、その隙間から、部屋に行き来できるのだった。すなわち、自室がフリーパスで、私はゾーッとした。

だいぶ夢を書いたので、この辺で上げておこう。
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羽生九段、B級1組最終戦で敗れる

2025-03-07 14:27:42 | 将棋雑記
きのうは将棋界で衝撃的な結末があった。いうまでもないが、第83期B級1組順位戦最終戦・羽生善治九段VS大橋貴洸七段戦で羽生九段が敗れ、B級2組への降級が決まってしまったことだ。

きのう、ABEMAで放送があったかどうか分からぬが、先日のA級順位戦プレーオフで朝日新聞社がYouTubeで配信をしてくれたことから、今回もあるのではとフンだら、ビンゴだった。これ、いままでの私が勉強不足だったのかもしれないが、だいぶ前から朝日新聞社(毎日新聞社も)は、こうしたサービスを行っていてくれたのではあるまいか。けっきょく、情報弱者は損をするのである。
朝日新聞社のYouTubeは、棋士の解説はなかったが、両対局者の対局姿と、盤面はもちろん、形勢バーの表示もある。これで十二分である。
将棋は羽生九段の先手で、矢倉。大橋七段は雁木から中住まいに構える例の形で、昭和の将棋の「私からすると、戦型からすでに、先手に勝ってもらいたい形になった。
将棋は中盤まで難しい形だったが、1時間半ほど席を外して戻ってくると、羽生九段が銀桂交換の駒損になっていた。しかも羽生九段はその桂をすでに手放している。これは羽生九段がマズいのではないかと思った。
対して大橋七段は渋い。早めに底歩を打ったり、玉を安全地帯に引いたりと、実に落ち着いている。勝ち急がない姿勢というか、これが勝利への近道ではと思わせるものがあった。
羽生九段は不利ながらも、これから最善を続ければ、まだ楽しみがある。だが羽生九段は微妙に疑問手を重ね、徐々に差が開いていった。
最後は大橋七段に5手一組の好手が出て、羽生九段投了。まさかの降級となったのだった。
今期、羽生九段は立ち上がり2連勝。これはA級復帰もと期待できたが、以降がダメだった。せめて降級が2名だったら免れたのだが、これも規則だから仕方がない。
さて問題はこれからである。羽生九段は今後の動向に即答せず、「年度末まで考える」と回答を濁した。
私はこのブログでさんざん述べているが、棋士は順位戦を指すことに意義があると思う。実力者がフリークラスに転出することにまったく意味はない。B級2組に落ちたらB級1組に上がり、さらにA級に上がればいいだけの話だ。
羽生九段VS谷川浩司十七世名人の対決も夢がある。羽生九段には冷静な判断をお願いしたい。
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室谷女流三段は、女優の水川あさみに似ている

2025-03-06 23:34:39 | 似ている
きょう3月6日は、室谷由紀女流三段のお誕生日。おめでとうございます。
その室谷女流三段は、女優の水川あさみに似ていると思う。
水川あさみは、1983年7月24日、大阪府生まれの41歳。1998年、映画で女優デビューを果たした。
以降、シリアスな役からコミカルな役まで、幅広い役をこなす。個人的には、2023年にNHKで放送された連続テレビ小説「ブギウギ」で、主人公・福来スズ子の母親を演じた、花田ツヤ役が印象に残っている。水川あさみも母親役をやるようになったんだな、と思ったものだ。
室谷女流三段と水川あさみは、目元と背が高いところ、性格がサッパリしているところが似ていると思う。
室谷女流三段は昨年、第一子を出産した。もちろんこれまで通り女流棋士を続け、最近はNHK杯の司会もこなすなど、いまいちばん幸せなときであろう。
問題はこれからである。家庭に染まって矢内理絵子女流五段型になるのか、出産から復帰後も連戦連勝、出産前より強くなっている福間香奈女流五冠型になるのか。
個人的には、1回ぐらいタイトル戦に出てほしいと思っている。
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