一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

杉本八段、不運の降級

2025-03-09 23:26:02 | 将棋雑記
5日の第83期B級2組順位戦で、前代未聞の出来事があった。もう大多数の将棋ファンが知っていると思うが、5勝5敗の成績を取りながら、降級してしまった棋士がいた。杉本昌隆八段である。
今期のB級2組は、参加26名。B級2組は4人に1人降級点が付くので、今期は6名に付く。数年前だったら「5人に1人」だったから、降級点は5名だった。たった1人増えただけだが、されど1人だ。B級1組で羽生善治九段が3人目の降級になったのと同様、数年前の規約改正が、まさかのドラマを生むことになる。
杉本八段は前期降級点を取り、開幕前は順位最下位。この後4勝5敗で、最終戦を迎えた。この時点で26名中21位。最終戦で自身が勝つのは絶対として、自身より上位の4勝5敗者は7名いる。この7名全員が勝つとは思えぬから、自身が勝てば、今期の降級点は回避となる。ふつうはそう思う。
そして杉本八段は勝ったが、何と上位の7名も全員勝ってしまい、杉本八段は降級点2回で、降級となってしまったわけだった。
だがちょっと待て。順位戦は、指し分けでは降級点は付かないのではなかったか?
でも付いちゃったのだから、そんな規定はないのだろう。
だとすると、だ。今期は降級点持ちの鈴木大介九段が、5勝5敗ながら順位の差で、辛くも降級点を免れた。
その鈴木九段が来期も5勝5敗だったら? ふつうは「2期連続指し分け」で降級点消去になる。だけど他者の勝敗によって降級点を食らったら、今期の杉本八段のように、降級してしまうのか?
それで日本将棋連盟の規約のページを見ると、「指し分け以上でも、降級点に該当すれば、そちらが優先だれる」旨の一文があった。つまり、降級してしまうのであった。
いや、これはかなり厳しい規約である。
そもそもB級2組は(ほかのクラスもだが)むかしから実力伯仲で、かつては桐山清澄九段や飯島栄治八段が、4勝6敗の成績で降級点を取ったこともある。
今期は稀にみるダンゴ状態で、全10局終了の結果を見ると、5勝5敗が13名もいた。実に26名の半数である。そして、0勝が1名、1勝が1名と、負け数が特定の棋士に集中し、負け越しの棋士が少なかったのも異例だった。杉本八段は運がなかったというほかない。
杉本八段、「連載エッセイのネタができた」と苦笑いする気も起らないだろう。ともあれ当ブログとしては、来期のC級1組は、杉本八段を応援したい。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 最近見た夢(2025-02-20、21... | トップ |   

コメントを投稿