一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第2回宴会将棋(後編)・ためになる植山解説

2015-08-12 10:44:59 | 宴会将棋
Hon氏、今日はいつになく積極的である。もっともこの宴会将棋は、彼の出資なのだ。ゆえにHon氏には、どんどん将棋を指してもらわねば困る。
Hon氏の先手で、▲7六歩△3四歩▲6六歩△8四歩▲6八銀。先手がFuj氏なら矢倉確定だが、Hon氏はここから三間飛車に振ってくるに決まっている。△6二銀▲5六歩△5四歩▲7八金、と進んでもその確信は揺るがず、私は△4二玉と上がった。植山七段が苦笑いした。
果たしてHon氏は、▲5七銀�・▲6七金から三間飛車に振ってきた。さらに▲1八香・▲1九玉から、▲2八銀と上がらず▲3八金。これでHon流変態三間飛車穴熊の完成である。
私はさっきの将棋を参考に、△5三銀左から棒銀に出た。棒銀は私の好きな戦法である。

(図でHon氏の持駒は「歩」、一公の持駒は「歩2」に訂正します)
第1図から、△5六歩▲同銀△6六歩▲5五歩△6四銀▲6六角△7七歩▲同金△7五銀右▲5七角△7六歩▲6七金△6五歩▲9七香△7四飛…と進んだ。
この辺り私の指し手は植山悦行七段を大いに刺激したらしく、まずは△7七歩を褒めてくれた。でも冷静に見ればただ歩損しただけで、それほどでかしていない。
△6五歩~△7四飛辺りは顕著で、「うぅ~ン、うぅ~ン」と唸りっぱなしだった。「なるほど△6五歩と控えてねえ…。△7四飛は△7三桂と跳ねる準備ですか。うう~ン!!」
私は大した手を指していないのだが、これじゃホントにホメ殺しである。
しかし局面は47:53ぐらいで私が不利。右銀がここにいては使えないと△5三銀と引いたが、Hon氏に気持ちよく▲5四歩と突きだされ、△6二銀と凹んだ形は後手が辛すぎる。
さらにHon氏は▲3四銀~▲4五角。小気味いい歩使いで角を成られ、また形勢が開いた。この辺り、私は全然自信がなかった。
Hon氏は飛車取りに馬を寄った(第2図)。

第2図以下の指し手。△6三金▲6八歩△8四飛▲9一馬△2八歩▲同玉△5六歩▲5五歩△5七歩成▲5四歩△5八馬▲5三銀△6七と▲4二銀成△同玉▲5三香△3八と▲同銀△3九銀
まで、一公の勝ち。

飛車を逃げ回っているようでは勝負にならぬと見て、私は△6三金と上がった。対してHon氏の▲6八歩が弱気だった。ここで冷静に局面を見ると、△8四飛と馬取りの逆先で受ける手がある。それで、ひとつ横によろけた。Hon氏は▲9一馬と香を取るが、これがどのくらいプラスになっているか。
私は△5六歩が楽しみだが、その前に△2八歩が際どい利かし。先手はどう応じても味が悪いが、Hon氏は▲同玉と取った。1歩の犠牲で玉を引っ張りだしたから、これは後手のヒットである。
そして私は△5六歩。Hon氏は▲5五歩と攻め合いにきたが、私が△5七歩成として、一手早い。
以下は私が手順に銀を入手して、△3九銀までHon氏の投了となった。
さっそく植山七段の解説に入ったが、それは論理的でとてもためになった。しょせんアマの将棋だから植山七段も突っ込みどころは満載のはずだが、そこに目をつぶってくれるのがプロの優しさである。ただ、第2図での△6三金、この手だけは疑問手の烙印を捺された。
私の読みは、▲6四馬△同金▲2二飛~▲2一飛成には△5二玉とし、さらに△6三玉と逃げ越す順だ。しかし植山七段は▲2二飛で▲7三歩を指摘した。
なるほどこれがシビレる歩で、△7三同銀は▲7一飛。捨て置けば▲7二歩成で、この左右挟撃は先手が勝つ。
その変化に気づかず私が△8四飛と逃げた時点で、形勢が逆転したようだ。
逆に褒められたのは、やはり△2八歩だった。この手が入っていなかったら、こうはスンナリ勝てなかった。まさに手筋の威力だが、この手はプロの実戦譜を並べていた時に覚えたものである。
先日の島井咲緒里女流二段との指導対局で私が▲7三歩成と指せたのも、かつてNHK杯の米長邦雄永世棋聖―中村修九段戦で、中村九段が▲7三歩成と決め手を指して快勝したことがあったのを、記憶に留めていたからである。
このように、プロの実戦譜を並べることは意外なところで効果が出るのだ。
「有段者らしい将棋でした」
と植山七段が締めて、これで今日の宴会将棋は終了。繰り返すが植山七段の解説は論理的で、とても勉強になった。また、披露される手順は歩の手筋が多く、歩の重要性を再認識した。
時刻は午後10時半を過ぎており、10時退席が定跡のHon氏にしては、珍しいことだった。会計は個人で計算して、Hon氏に渡す。しかし植山七段への謝礼はHon氏持ちなので、これでは私たちがお世話になりっ放しだ。Hon氏には多めに渡したが、それでもHon氏の出費は多い。次回は均等に払いましょう。

※本日午後から、沖縄に旅行します。かなり迷ったけど…。
コメント (2)
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