一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第49期棋王戦第4局

2024-03-19 22:20:39 | 男性棋戦
さて17日のもう一局、第49期コナミグループ杯棋王戦第4局である(主催:共同通信社、河北新報、下野新聞、千葉日報、山梨日日新聞、新潟日報、信濃毎日新聞、静岡新聞、北日本新聞、北國新聞、京都新聞、山陽新聞、中国新聞、日本海新聞、山陰中央新報、愛媛新聞、高知新聞、長崎新聞、佐賀新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、沖縄タイムス、日本将棋連盟)。
ここまで藤井聡太棋王の2勝1持将棋。挑戦者・伊藤匠七段との総合対戦成績も9勝0敗で、伊藤七段には悪いが、もう藤井棋王の防衛は確実。問題はどの局で決めるか、だった。
将棋は伊藤七段の先手で、相掛かりっぽくなった。しかし藤井棋王が角道を開けないので、変則的な序盤になっている。
藤井棋王は5筋の歩を突く。これ、将棋フォーカスで先日紹介されていた、村田顕弘六段創案の「村田システム」ではあるまいか? 藤井棋王は居飛車党だが、作戦は多彩だ。
ところでこれでは、2筋歩突きから5筋の歩を取られてしまうが、現代は歩損より駒の効率が重視されている。
それを知ってか伊藤七段は大人しく飛車を引き、のちに銀交換に成功した。ふつう攻めの銀と守りの銀の交換なら攻めているほうに分があるのだが、藤井棋王が素直に応じたということは、これでも悪くないと見ているのだろう。
果たして藤井棋王は3筋の歩取りに銀を打つ。ここで昼食休憩になり、テレビ視聴者は、藤井NHK杯選手権者が負けたことを知った。年度最高勝率の更新がなくなり、これで残る興味は、藤井棋王のストレート防衛なるかどうかになった。
3手後、伊藤七段もこの歩を守るべく銀を打ったが、この銀はちょっとつらい。むかし二上達也九段や加藤一二三九段が、大山康晴十五世名人の振り飛車に棒銀で挑み、うまくいなされてニッチもサッチもいかなくなったことがあった。本局はその再現を見るようだった。
局面は進み、藤井棋王に敵玉を受けなしにする変化が生じる。これなどは駒数が少ないもので、藤井棋王が的確に駒を働かせているかが分かる。
藤井棋王、敵陣に角を2枚打つ。いつも不思議なのだが、藤井棋王は、とくに難しい手を指すことなく、敵玉を寄せていく。
そして6筋に金を出た手が、作ったような好手。藤井棋王の将棋には、この類の「魅せる」手がよくある。
最後は金打ちでフィニッシュ。藤井棋王、盤石の棋王防衛、八冠堅守劇だった。
伊藤七段は無念。強いのだが、どうしても藤井棋王に勝てない。

……というところで、伊藤七段は本日、第9期叡王戦の挑戦者決定戦に勝ち、今年度三たび、藤井竜王・名人に挑むことになった。
打たれても打たれても立ち上がる力石徹か、米長邦雄永世棋聖のようだ。この展望については、またの機会に。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする