一公の将棋雑記

将棋に関する雑記です。

第74期王将戦第3局

2025-02-07 23:42:13 | 男性棋戦
今晩、北海道から無事帰京した。しかし愛用していた手袋を紛失してしまい、消沈している。
私はモノに愛着を持つ方で、ややもすると、ゴミさえ持ち帰ってきてしまう。今回の件でも、毎日いっしょにいた我が子を北海道に棄ててきてしまった、くらいの気持ちになっている。冬の旅行のお友だったのに……。
つらい……。

   ◇

第74期王将戦第3局(主催:日本将棋連盟、毎日新聞社、スポーツニッポン新聞社)が5日、6日と、東京都立川市で行われた。ここまで藤井聡太王将の2勝。永瀬拓矢九段は実質的に後がない。
立川市は「達人戦立川立飛杯」の主催者であり、最近将棋の町として注目されている。タイトル戦詣でが好きな東京在住者は移動の交通費があまりかからず、立川市は貴重な存在だと思う。
将棋は永瀬九段の先手で、角換わりになった。いささか食傷気味だが、居飛車党の両者が戦えば戦型も限られるし、やむを得ない。
藤井王将は右玉に構える。永瀬九段の研究量は凄まじく、ふつうに追随していたら作戦負けになる。同じ作戦負けなら右玉でのらりくらりと指したほうがベター……と藤井王将が考えるわけもないが、近いところはあるのではないか。
藤井王将は馬を作り、好調に見える。銀交換のあと、じっと飛車を引く。私だったら△3五銀で飛車を殺しニンマリしているところだが、それだと▲1七角の切り返しがあるのか。
結局永瀬九段はその馬を角と交換し、AI52%の形勢となった。しかし藤井王将に勝つにはまだ一山も二山もある。藤井王将に勝つのは本当に大変だ。
藤井王将は飛車角交換を果たし、桂取りに飛車を下ろす。実は本局、私がいちばん感心したのはこの手である。ここ、ふつうは△2八飛と金桂両取りに打ちそうなものではないか。そこをじっと桂取りのみに打つとは、私は一生考えても浮かばない。
永瀬九段は攻めに転じるが、なんとなく強引っぽい。攻めているのに「疲れ」を感じるのである。
藤井王将は桂打ちから反撃に出て、「底香」を崩しにいく。これは永瀬九段の攻めに比べて分かりやすく、労力も少ないように思える。むろんこの攻めできっちり一手勝ちとの裏付けは済んでいる。
最後は永瀬九段の突撃にじっと歩を受け、永瀬九段が息切れで投了した。けっこう珍しい投了図で、この勝ち方もまた凄まじい。
これで藤井王将は七番勝負を3勝0敗とするとともに、通算成績も21勝7敗とした、ことに直近の11局は10勝1敗と、完全に圧倒している。
永瀬九段からすると、どんなに優勢でも最後はひっくり返されるような、疑心暗鬼に陥っているのではないか。
だから第4局も永瀬九段が居飛車でいったら、負けると思う。思い切って振り飛車はいかが。
コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする