私は特急に乗ることにした。窓口で特急券を所望すると、券売機を勧められた。それなら私でも操作できるが、駅員さんが手助けしてくれる。Suicaも使え、精算後は11208円が10458円になった。
11時32分発の特急ソニック24号に乗る。JR九州の在来線特急に乗るのはかなり久しぶりだ。車内は先進的なデザインで、さっきは普通列車の座席にケチをつけたが、JR九州の特急列車のデザインは、JRグループ一だと思う。
それなのに、特急ソニックは自由席でも閑散としていた。平日のこの時間は当然か。車内は静かで、普通列車でゴトゴトした同じレールの上を走っているとは思えない。
この快適さなら小倉まで乗っていたいが、それだとべらぼうな特急料金になってしまう。私は予定通り、中津で下車した。
中津は鶏の唐揚げが有名で、駅を出ればチキン南蛮を食べさせる店がたくさんある。しかしここで時間を取っては、時間を短縮した意味がなくなってしまう。10分の待ち合わせで、普通列車に乗り換えた。
列車のシートはまたも片側6席だ。私は座らず、適当に席が空いた吉富で座った。
タイム1時間8分で小倉着。きょうは小倉も観光したいが、我が切符は北九州市が終着となっている。それなら細かいことだが、行けるところまで行くのがよい。すなわち、すぐに門司港へ行くのがよい。
待ち時間は20分ある。駅構内に立ち食いそば屋があったので、食す。ごぼ天うどんかしわ入りは570円で、私の立ち食いそば限度額から外れるが、それを頼んだ。なおここでもSuicaが使え、チャージ額が10450円から9888円になった。
ごぼ天うどんは美味かった。九州でうどんを食べるなら、ごぼ天は欠かせない。
小倉からはタイム14分で門司港に着いた。門司港近辺は「門司港レトロ」を謳い文句にしているが、その象徴が、この門司港駅である。ところがこの門司港駅、2012年に駅舎の保存修理工事が始まり、完全終了は2019年だった。まったくのお待たせで、それだけに鉄道ファンとしては、その雄姿を一度は拝まなければならない。
門司港駅のホームは、吊り下げ駅名標や駅名板が、昔のままだった。カップルなどが記念写真を撮っていた。ふだんこの類のアイテムとは無縁の人たちが、そこで写真を撮る。それほど、「門司港レトロ」は浸透しているのだ。たぶん、ホームで最もグズグズする終着駅であろう。
旅の初日に新大村で購入した切符とも、これでお別れである。3日間、よう頑張ってくれた。
でも私は改札口を抜けるとき、ダメ元で切符を所望した。すると駅員は快諾し、記念のスタンプを捺してくれた。どうも、同じことを所望する観光客がいるようだ。
コンコースも開業当時を再現していて、東京駅の丸の内口を思わせた。切符売場も再現されているが、さすがにこれは使わない。その脇に自動改札機がある。
コンコースの南側に、横長の侵入口がある。これが関門連絡船の通路跡である。昔はこの先100mを行ったところに連絡船が発着していたらしい。
さて、いよいよ駅舎とご対面である。
駅舎は洋風の味があり威風堂々、九州の玄関口にふさわしい佇まいだ。
写真撮影に専念したあと、海のほうに向かう。門司港といえば焼きカレーで、専門店が連なっている。入ってみたいが、いざ入ろうとすると、店内が見えないところや、入ってもほぼ満席であり、結局入れない。私はビビリなのである。だけど以前門司港を訪れたときは食べなかったので、きょうはどこかで食べたい。
いくつか無料の資料館を回る。赤レンガの美しい旧門司税関は、1階に押収品が陳列されている。中には書籍の中身をくりぬいて拳銃をしのばせたものもあり、映画の世界を見ているようだ。
門司港レトロ展望室はマンションの31階にあり景色がいいのは分かるが、有料(300円)なので入らない。貧乏人はおカネを散財できないのである。
もうひとつ、門司港といえば、関門トンネルの近くまで行く観光列車があるのだが、きょうは運転している気配がない。
一通り観光を終え、カレー店を探していると、一軒見つけた。ケーキなども売っているようだが、こういうパーラー的な店のほうが、美味い焼きカレーを提供してくれそうな気がする。
しかし焼きカレーは1000円で、さっきの2軒より高い。もっともここは、チーズと生卵が載っている。とはいえカレーごときに1000円なあ……。
だが今回の私は、初日の肉肉うどん、2日目のあっさりとんこつラーメン、先ほどのごぼ天かしわうどんと、私の許容範囲を越えた額のおカネを支払ってきた。今回もその流れで、食べる。
店に入ると、道路に面するテーブルを案内してくれた。、私は基本の焼きカレーを注文する。でも前述の通り、チーズと生卵はオンしている。
出てきたカレーはグツグツしていて、いかにも美味そう。一口食べると、美味い。生卵をくずして食べると、また美味い。皿が厚いので、ドリアを食べているようにも思える。なるほどこれが本場の焼きカレーか。これで1000円は、高くないと思った。
気持ちよく会計となる。…あれ? ひょっとして……!?
(つづく)
11時32分発の特急ソニック24号に乗る。JR九州の在来線特急に乗るのはかなり久しぶりだ。車内は先進的なデザインで、さっきは普通列車の座席にケチをつけたが、JR九州の特急列車のデザインは、JRグループ一だと思う。
それなのに、特急ソニックは自由席でも閑散としていた。平日のこの時間は当然か。車内は静かで、普通列車でゴトゴトした同じレールの上を走っているとは思えない。
この快適さなら小倉まで乗っていたいが、それだとべらぼうな特急料金になってしまう。私は予定通り、中津で下車した。
中津は鶏の唐揚げが有名で、駅を出ればチキン南蛮を食べさせる店がたくさんある。しかしここで時間を取っては、時間を短縮した意味がなくなってしまう。10分の待ち合わせで、普通列車に乗り換えた。
列車のシートはまたも片側6席だ。私は座らず、適当に席が空いた吉富で座った。
タイム1時間8分で小倉着。きょうは小倉も観光したいが、我が切符は北九州市が終着となっている。それなら細かいことだが、行けるところまで行くのがよい。すなわち、すぐに門司港へ行くのがよい。
待ち時間は20分ある。駅構内に立ち食いそば屋があったので、食す。ごぼ天うどんかしわ入りは570円で、私の立ち食いそば限度額から外れるが、それを頼んだ。なおここでもSuicaが使え、チャージ額が10450円から9888円になった。
ごぼ天うどんは美味かった。九州でうどんを食べるなら、ごぼ天は欠かせない。
小倉からはタイム14分で門司港に着いた。門司港近辺は「門司港レトロ」を謳い文句にしているが、その象徴が、この門司港駅である。ところがこの門司港駅、2012年に駅舎の保存修理工事が始まり、完全終了は2019年だった。まったくのお待たせで、それだけに鉄道ファンとしては、その雄姿を一度は拝まなければならない。
門司港駅のホームは、吊り下げ駅名標や駅名板が、昔のままだった。カップルなどが記念写真を撮っていた。ふだんこの類のアイテムとは無縁の人たちが、そこで写真を撮る。それほど、「門司港レトロ」は浸透しているのだ。たぶん、ホームで最もグズグズする終着駅であろう。
旅の初日に新大村で購入した切符とも、これでお別れである。3日間、よう頑張ってくれた。
でも私は改札口を抜けるとき、ダメ元で切符を所望した。すると駅員は快諾し、記念のスタンプを捺してくれた。どうも、同じことを所望する観光客がいるようだ。
コンコースも開業当時を再現していて、東京駅の丸の内口を思わせた。切符売場も再現されているが、さすがにこれは使わない。その脇に自動改札機がある。
コンコースの南側に、横長の侵入口がある。これが関門連絡船の通路跡である。昔はこの先100mを行ったところに連絡船が発着していたらしい。
さて、いよいよ駅舎とご対面である。
駅舎は洋風の味があり威風堂々、九州の玄関口にふさわしい佇まいだ。
写真撮影に専念したあと、海のほうに向かう。門司港といえば焼きカレーで、専門店が連なっている。入ってみたいが、いざ入ろうとすると、店内が見えないところや、入ってもほぼ満席であり、結局入れない。私はビビリなのである。だけど以前門司港を訪れたときは食べなかったので、きょうはどこかで食べたい。
いくつか無料の資料館を回る。赤レンガの美しい旧門司税関は、1階に押収品が陳列されている。中には書籍の中身をくりぬいて拳銃をしのばせたものもあり、映画の世界を見ているようだ。
門司港レトロ展望室はマンションの31階にあり景色がいいのは分かるが、有料(300円)なので入らない。貧乏人はおカネを散財できないのである。
もうひとつ、門司港といえば、関門トンネルの近くまで行く観光列車があるのだが、きょうは運転している気配がない。
一通り観光を終え、カレー店を探していると、一軒見つけた。ケーキなども売っているようだが、こういうパーラー的な店のほうが、美味い焼きカレーを提供してくれそうな気がする。
しかし焼きカレーは1000円で、さっきの2軒より高い。もっともここは、チーズと生卵が載っている。とはいえカレーごときに1000円なあ……。
だが今回の私は、初日の肉肉うどん、2日目のあっさりとんこつラーメン、先ほどのごぼ天かしわうどんと、私の許容範囲を越えた額のおカネを支払ってきた。今回もその流れで、食べる。
店に入ると、道路に面するテーブルを案内してくれた。、私は基本の焼きカレーを注文する。でも前述の通り、チーズと生卵はオンしている。
出てきたカレーはグツグツしていて、いかにも美味そう。一口食べると、美味い。生卵をくずして食べると、また美味い。皿が厚いので、ドリアを食べているようにも思える。なるほどこれが本場の焼きカレーか。これで1000円は、高くないと思った。
気持ちよく会計となる。…あれ? ひょっとして……!?
(つづく)