板前がやめて50日、思った以上に残った二人のサブの成長が著しい
あまり期待していなかったので、その驚きは200%、人は頼りにされると責任感が倍増する
私は事あるごとに二人を励まし、力づけ、感謝の言葉を言う
そういえば私も学生の頃から自身の無い子で、少しも前に出ることができなかった
ただ足が速かったので運動会やマラソン大会が唯一優越感をかんじることができる場だった
それ以外は引っ込み思案で全くダメ
高二の時、教師から不良のレッテルを貼られていたMと知り合って、バンド結成に誘われた
もう一人、落第して一年くっていたけんかっ早いTくんもドラムで参加していた
同じ中学校の一年先輩で、中学時代から怖キャラだったから、ちょっと後ずさりもしたが
結局メンバーに加わった。
あとでわかったがMもTと同じく1歳年上で、中学卒業と共に家を飛び出して社会で働いた
経験があった、教員だった義父が拝み倒して高校くらいは卒業しなさいと呼び寄せた
帰ってきて入学したけれど、親元にはいないで市内で下宿していた
彼らは活発で物怖じなんかしないし、教師にだって手加減せずに言うことは言う
校長室に物言いをつけに押しかけたこともある
だから彼らにしてみれば私がなぜうじうじしているのか理解出来ない
事あるごとに私を表に引っ張り出そうとしていた
あるときは彼女を誘えとけしかけてきて私は仕方なく告白して、その結果
フラれて消沈した事もあるが、その夜2人はわが家に押しかけてきて「元気出せ」
と何度も言って一緒に風呂に入って頭から湯をかけたりして慰めてくれた
その上、宴会場をしているわが家だったから酒が当然あって、奴らはそれを飲んで
帰ったから、やはり停学を何度も食らう人間はやることも違うと思った
だが染まることは無かったが、だんだん私にも何かできそうな気がしてきた、それは
彼らのむってっぽうな元気に感化され刺激を受けたからに他ならない
初めて自立した気分で、彼らの世話になること無く、好きな女子と擦った揉んだを
できるまでに成長した
それは彼らが「おまえはできる」と何度も暗示をかけてくれたからだ、そして男の
生き様も教えてくれた
あれから50年経ったが、今でも彼らと毎年一回同級生旅行をしている
特にMくんは同級生結婚した奥さんと共に、遙々名古屋から参加してくれる
この二人には感謝感謝だ、今の私を作ってくれた数人の中の2人だ