おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨晩(8月14日)のニュースでは、安倍総理による「戦後70年談話」がさかんに報道されていました。
また、今日は終戦記念日でもあります。
私は、そのことに関して論評することを差し控えますが、戦争のことをもう一度捉えなければならない事態だと思っています。
そんな時期に読んだのが『おじいちゃん 戦争のことを教えて』(中條高徳著、小学館文庫、571円+税)でした。
この本はもともと1998年12月に致知出版社から出ていて、かなり読まれていた本ですが、2002年9月から小学館文庫に収められている本です。
ニューヨークの高校に通う孫娘から軍人を志した祖父に太平洋戦争のことを教えてほしいとの手紙が届き、それ対して陸軍士官学校にも通っていた祖父(その後はアサヒビール副社長、アサヒビール飲料会長などを歴任)が質問に答える形式の本です。
著者のスタンスは、「戦争は人類の敵であり、永遠に起こってほしくないものだし、また、起こしてはならない、ということだ。これは絶対的な前提である」という点と「日本の国益にとってどうだったかという視点を欠いたまま、近現代史を論じることが非常に多い。それでは歴史的事実を認識するのに、リアリティを欠くというものだ」というところです。
戦争に至る長期的要因は、明治から大正、昭和にかけての日本の政策、国家としての行動の核がソ連(ロシア)の南下政策の脅威であって、朝鮮併合も満州国独立も、この文脈の中で理解されなければならないとしています。
この情勢で起こったのが1937年7月の支那事変。盧溝橋で日本軍と中国の軍隊が衝突、戦争に発展します。
著者は、戦争に突入していったっことについて「傲慢」と指摘、「日本が中国大陸に戦線を拡大し、戦争に突っ込んでいったのは、やはり軍部の責任」と言い、「軍部が突出して拡大方針を推進した」と述べています。
しかし、中国大陸への戦線拡大がアメリカに対する敵視政策をとらせることになったのをABCDライン(アメリカ、イギリス、中国、オランダ)の包囲網を皮切りにし、その挙句がアメリカのハル国務長官による「ハル・ノート」によって戦争の選択を迫られたことにも触れています。
話は戦後に入りますが、連合国軍最高司令官だったマッカーサーがアメリカに帰国後に上院議会で「日本が戦争の道に進んだのは自衛のための戦争であった」と述べたことにも触れています。
その他にも日本人の心にも言及していて、この時期だからこそ読んでほしい本としてお勧めします。
<お目休めコーナー> 8月の花(9)
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