おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(8月23日)も一昨日に続いて松山で アドラー心理学ベーシック を行っていました。
受講者の中には、かなり年齢差のあるご夫婦(河原田加奈子さん、河原田健さん)もいました。
とても仲の良いこと!
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再受講で、アドラー・カウンセラー養成講座 も修了している加奈子さんは、共催者の 小出智子さん (エンカレッジサロン愛媛代表)と共にヒューマン・ギルドの設立30周年を祝って今治タオルをプレゼントしてくださいました。
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ところで、 アドラー心理学ベーシック の中味に話題を移します。
2日間のうちにかなり本質的な質問が出て、講師としては張り合いがありました。
ところで、質問の中に『嫌われる勇気』(岸見 一郎,古賀 史健、ダイヤモンド社)の中に書かれている「トラウマは、存在しない」について質問した人がいました。
私は、『嫌われる勇気』の大部分に賛同できるが、岸見さんの独断と思われる内容が数点あることを述べた上で、スライドを使って「トラウマは、存在しない」の見出しは、内容を忠実に反映しない、衝撃を与える出版社側の意図があるとの推測を示しました。
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以前にもブログに書いたことがありますが、徹底を図る目的で再度書いておきます。
『嫌われる勇気』では、「トラウマは、存在しない」のように言い切った見出しの表記が用いられています。
このことは、内容を忠実に反映していないのです。
例を示しましょう。「トラウマは、存在しない」の中で、岸見さんは「いかなる経験も、それ自体では成功の原因でも失敗の原因でもない。われわれは自分自身の経験によるショック ― いわゆるトラウマ― に苦しむのではなく、経験の中から目的にかなうものを見つけ出す。自分の経験によって決定されるのではなく、経験に与える意味によって自らを決定するのである」と、アドラーの言葉を引用しています。
アドラーは、経験それ自体を認めているわけですし、岸見さんも「大きな災害に見舞われたとか、幼いころに虐待を受けたといった出来事が、人格形成に及ぼす影響がゼロだとはいいません。影響は強くあります。しかし大切なのは、それによってなにかが決定されたわけではない、ということです」と語っているにもかかわらず、見出しには「トラウマは、存在しない」と表記されるのです。
私はペルグリーノ博士をお迎えして7月末に開催した「アドラー派のカウンセリング&セラピーの基本」のワークショップが開かれている中で『嫌われる勇気』で岸見一郎さんが「トラウマは、存在しない」と書いていることに対するペルグリーノ博士の見解をお尋ねしました。
博士は、2000年の11月の来日中に最愛のリサ夫人を突然喪い、そのトラウマにより自分の教え子や、オタワにいる専門家のセラピーを受けた体験をもとに、博士にも大きなトラウマが存在したことをお話しされました。
個別に博士にお尋ねした際も、「トラウマは、存在しない」説を「ナンセンス」と否定し、アドラー心理学の定説として明確に否定されました。
また、アルフレッド・アドラー自身に第一次世界大戦のトラウマが存在していたことも語られました。
◆詳しくは、このブログ「アドラー心理学ブームについて :トラウマを巡って」(2014年 3月29日、30日、31日)に私の見解を書いていますので、お読みください。
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