おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
愛媛県の松山に来ています。
昨日(8月21日)は、9月1日に研修を行う専門学校の副校長と事務局長とお目にかかり、研修の打ち合わせ、その後は、 アドラー心理学ベーシック の愛媛(松山)コースに関し現地でご活躍の 小出智子さん のご案内で松山城、道後温泉に行ってきました。
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(愛媛県庁越しに見る松山城)
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(松山城での小出さん)
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(ロープウェイで降りる際)
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(道後温泉)
ところで、松山に来る道中(地下鉄、モノレール、飛行機の中)、又吉直樹氏の芥川賞受賞作『火花』を読みました。
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火花 |
又吉 直樹 |
文藝春秋 |
私は構成、表現力の両面でも今まで読んでいた芥川賞受賞作品の中でも高評価を与えられる作品だと思いました。
いきなりこんな表現から始まります。
大地を震わす和太鼓の律動に、甲高く鋭い笛の音が鳴り重なり響いていた。熱海湾に面した沿道は白昼の激しい陽射しの名残りを夜気で溶かし、浴衣姿の男女や家族連れの草履に踏ませながら賑わっている。
主人公の徳永は漫才芸人。
通り過ぎる人から注目されることもなく無力感を覚えた後に、長年の師匠(神谷さんという、売れない漫才師)を得ます。
それからの、徳永との個性がまるで違う神谷さんとの10年間の交流を綴ったものです。
借金を重ねる神谷さんは、徳永とお酒を飲むときも決して支払わせようとせず、しばらく姿を消して後、最後は想像を超える風貌になって徳永の前に現れます。
その時の表現も又吉氏らしいです。
相変わらず風景に溶け込めない神谷さんに引き摺られ、僕達はその場から切り取られた空間の中で・・・・・10年を越える季節を思い、ぼやけた焦点の定まらない視界のまま、一瞬とも永遠とも思える間、周囲を憚らずに咽び泣いていた。
アドラー心理学の立場からすると、面倒見がよく、ハチャメチャ性格傾向のある第一子キャラの神谷さんに対して、畏敬と共にかすかな軽蔑心を込めて観察し続ける徳永の末子資質が強く印象づけられました。
強くお勧めです。
<お目休めコーナー> 8月の花(15)
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