おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
2014年6月25日に公布された労働安全衛生法に一部改正の法律により、50人以上の従業員を抱える企業は、今年の12月から従業員に対してのストレスチェックと面接指導の実施などが義務づけられることになりました。
この背景には、自殺者、うつなどのメンタルヘルスに関わる労働災害などが増え続けている現実があります。
そんな時期に読んでほしい簡易な本が『なぜあの人は、仕事中だけ「うつ」になるのか』(香山りか、PHP文庫、533円+税)です。
ただし、本は絶版になっていて、中古あるいはKindle版でのみ入手可能です。
テレビなどにもよく登場する香山りか先生が、最近よく話題に上る「新型うつ」あるいは「ディスチミア親和型うつ病」と言われる、30代を中心とした若者層に多いタイプのうつ病を「30代うつ」という名前をつけて書いています。
香山氏は、うつ病の全体像を描いた後で「50代を中心にした壮年期、初老期に多い」「発病してかなり時間がたってから受診」「仕事も仕事以外のことも何もかもできなくなる」「周囲の人への罪悪感、自責の念が強い」「早く職場復帰したいと、休職期間の短縮を望む」などの特徴を持つ、いわゆる「メランコリー型うつ」と対比して、「30代うつ」の21の特徴をケースや精神医学の学説を交えながら紹介しています。
また、「30代うつ」の症状を持つ人に対しての家族や職場の仲間の接し方についても書かれているのは、文庫本でありながらとても親切です。
最後の第6章の「『30代うつ』は病気か否か」では、「30代うつ」が精神医療の対象であることを述べつつ、落ち込みに原因探しをしすぎる風潮の警告を発しています。
それは、競争主義、成果主義が席巻する現代社会では、「プラス思考」「前向き思考」が重視されすぎ、「人生に落ち込みや憂うつはつきもの」と思えず、「落ち込みなどのマイナスな気分はあってはならないもの」とする、という今の社会の価値観が関係していることを指摘してのは香山氏らしいところです。
まとめると、この本は、香山氏が「仕事はできないが、(レジャーを含めた)私生活はOK」のタイプのうつの社会の問題を考え、彼らが「私も世の役に立っている」という実感を持って生きるために何が必要かを考えるために書いた本のようです。
<お目休めコーナー> 10月の花(6)
