おはようございます。アドラー心理に基づく勇気づけの研修(外部研修も)とカウンセリングを行う ヒューマン・ギルド の岩井俊憲です。
昨日(10月2日)は、ヒューマン・ギルドで10月開催の アドラー心理学ベーシック・コース の2日目を行っていました。
講座のメインは、(1)アドラー心理学の基本的な考え方、(2)ライフスタイル、(3)不適切な行動の4つの目標、でした。
討議・演習を交えながら進めていったのですが、講義の中で「アドラー心理学の目的論の部分で目的・目標の違いがわからず講座を行っていたり、本を書いている人がいることを残念に思う」と受講者に伝えました。
例えば、「不適切な行動の4つの目標(Four Goals of Misbehavior)」を「不適切な行動の4つの目的」と書いてある本があります。
私は、「目的(英語でpurpose)」は「何のために」の問いに答えるもの であり、「目標(英語でgoal)」は「どこに向かって」の問いに答えるものだと説いていて、次のような図表を使うことがあります。
覚えておかなければならないことは、「目的」の方が「目標」よりも上位概念なのです。
ところで最近、GLOBIS 知見録 「目的」のもとに「目標」がある (村山 昇キャリア・ポートレート コンサルティング 代表)を読んでいたら、日頃私が言っていることと同じでうれしくなりました。
図解もわかりやすいので、是非目を通しておいてください。
私は、これから出版されるある雑誌に、アドラー心理学の目的論を経営と絡めて次のように書いていました。
箇条書きにすると、下記のとおりになります。
1.心理学理論としてのアドラー心理学の【目的論】は、アドラー以前の心理学からすると、天動説を述べていた時代に地動説を唱えたコペルニクスの学説くらいの衝撃がありました。
2.アドラー以前の心理学では、物理学や生物学での現象のように「人間の行動には必ず原因がある」と考えていたのです。
ところがアドラーは「個人心理学(注:アドラーが自分の心理学を称した言葉)は、人間の精神のすべての現象を、1つの目標に向けられているかのように見なすのである」(『人間知の心理学』、1927)と言ったのです。
アドラーは、自然科学の影響下にあった人間の行動を捉える尺度として過去の原因よりも人間の意思に基づく未来に向けての目的・目標を重視したのです。
3.1931年発刊の『人生の意味の心理学 上』では、次のように書いています。
「すべての人を動機づけ、われわれがわれわれの文化へなすあらゆる貢献の源泉は、優越性の追求である。人間の生活の全体は、この活動の太い線に沿って、即ち、下から上へ、マイナスからプラスへ、敗北から勝利へと進行する。しかし、真に人生の課題に直面し、それを克服できる唯一の人は、その〔優越性の〕追求において、他のすべての人を豊かにするという傾向を見せる人、他の人も利するような仕方で前進する人である」
4.ここでアドラーが語っていることは、下から上へ、マイナスからプラスへ、敗北から勝利へと進行する優越性の追求こそが人間の動機づけの源泉であるということであって、過去の何かの原因によって突き動かされることとは趣を異にしています。
5.経営上目標を時間軸で捉えて「短期目標」「中期目標」「長期目標」と言うことがあります。
また、それぞれの関係は「中期目標」は「長期目標」の中に含まれ、「長期目標」のための具体的な手立てが語られなければなりませんが、「究極目標」になると「どこに向かって」の行き着く先で、概念的には「目的」に近いものになっていきます。
<お目休めコーナー>10月の花(3)
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