見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

《厨子当官》大団円

2004-10-07 00:29:26 | 見たもの(Webサイト・TV)
○連続電視劇《厨子当官》30集

http://www.jiaodong.net/gd/text/text_detail.asp?No=44474&lanmu_id=1709

 このところお気に入りだった中国のTVドラマ「厨子当官」が終わってしまった。

 最終回の少し前に、私のひいきだった傅巡検こと傅天仇が死んでしまった。殺人犯の嫌疑をかけられるが、実は親友の安全を守るために打った芝居と判明。栄禄大人の放った刺客と激しい一騎打ちになり、巻き添えになりかかった妹をかばって、最期まで男らしく、死ぬ。

 このドラマ、善人と悪人とを問わず、よく人が死ぬなあ、とは思っていた。でも、(日本の娯楽時代劇の原則からして)主役の石竹香夫妻と準主役クラスまでは残るだろうと思っていたので、30集で終わりにせず、続編も作ってくれないかなあ、なんて、呑気なことを考えていた。

 そうしたら、傅巡検が死に、最終回で、もうひとりの重要な準主役キャラ、小太監(宦官)の小寇子も死んでしまった。西太后の怒りを買って死罪を命じられた石竹香を救うべく、身代わりを願い出たのだ。さらに、石竹香を兄と仰ぐ青年貴公子、黄岩剣鋒は、手かせ首かせをはめられて、寧古塔への流罪に処せられ、若くて聡明な妻の栄秀も夫に従って、京城を去る。

 なんだかもう、踏んだり蹴ったりみたいな大団円だった。主人公の石竹香夫妻を除くと、ほかの愛すべき登場人物は、ことごとく、死ぬか、京を放逐されてしまったのだ。でも、その辛口というか、後味の苦さが、不思議と不愉快ではない。

 小寇子の処刑前日、石竹香は心尽くしの手料理を携えて、獄中を訪ねる。郷里の名物料理に歓声をあげ、満面の笑顔を見せる小寇子。「来世で会おう」と言い交わして、涙を見せずに2人は別れる。そう、どの登場人物も、本質がストイックで男性的なのだ。たぶん私はそこが好きなんだなあ。

 そして、このドラマ、最後まで喜劇の色調を弱めない。「どうせ此の世は踏んだり蹴ったりさ」みたいな苦々しさをわきまえつつ、それでも、それだからこそ、「悲しいほど晴れやかな」祝祭ムードのまま、ドラマは終わる。

 続編は決してないだろうけど。おもしろかった。

 余談。黄岩剣鋒が流される「寧古塔」って、別の清朝ドラマでも出てきたので、どこにあるのかと思ったら、黒龍江省の寧安県だそうで、渤海国の遺址と鏡泊湖で有名...ってことは、私、行ったことがある場所なので、びっくりした。

コメント
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