見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

江戸絵画、探検中/大倉集古館

2006-05-15 22:39:01 | 行ったもの(美術館・見仏)
○大倉集古館 『播磨ゆかりの江戸絵画-応挙・蘆雪・若冲を中心として-』

http://www.hotelokura.co.jp/tokyo/shukokan/

 なぜ播磨なのかは、結局よく分からなかったが、応挙・蘆雪・若冲などが出ているらしいので、見に行った。はじめに、小さな水墨画『百合図』があって、曾我蕭白だというので驚いた。筆を使わず、指で描く指頭画という技法で、たどたどしい描線が可憐である。その横に、妙に美形の羅漢図があって、若冲だというので、また驚いた。現代のマンガみたいにはっきりした線で輪郭を描き、まわりを薄墨で塗りつぶしたヘンな絵である。

 それから、田能村直入(田能村竹田の養嗣子らしい)が明治に描いた『万里長城図巻』というのがあった。考えてみれば、万里の長城って、中国でも日本でも、近代以前は絵画の素材になっていないなあ。それなのに、この作品は、どうして出来たのだろう?とちょっと興味深く思った。

 1階展示室の見ものは、長澤蘆雪の『方広寺大仏殿炎上』であろう。ふーん。蘆雪って、こんな作品も描いたのか。時事性もあり、かつ芸術的完成度の高い不思議な作品だ。解説に言うように「極限まで絞られた彩色筆致」が見事である。よく見ると、炎上する建物部分は、墨色と朱色の配置が緻密な計算で成り立っており、対照的に、大きく立ち上がった炎と煙は、即興に任せている。上記のサイトに一応、写真があるけれど、これは原寸大で見ることを推奨する。

 2階にあがると、いかにも蘆雪らしい虎の絵(跳ね起きて、画面から飛び出しそうだ)、いかにも若冲らしい鶏と鶴(このデフォルメはすごい)、それから白隠らしい布袋などが待っている。

 そのほか、森徹山、森狙山、高橋草坪、福田半香、木下逸雲、鉄翁祖門など、気になった画家の名前をメモしてきた。私にとって、江戸絵画の探検は、まだまだこれから。
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