見もの・読みもの日記

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今様オランダ風説書(4):アムステルダム、国立美術館

2008-03-15 23:24:21 | ■オランダ風説書2008
 3/6(木)、アムステルダム。スケジュールどおり仕事が済み、午後2時頃で自由になった。遅い昼食のあと、国立美術館に向かう。私は内心、小躍りしたい気持ちだったが、日本からの同行人は、特に美術に興味はなさそうなので、同意してくれるかな?と、ちょっと心配する。しかし、出発前に彼の直属の上司も「『夜警』だけは見てきたほうがいい、と言っていた」そうで、一緒に行くことにする。

 そう、アムステルダムの国立美術館の見もの(呼びもの)といえば、何をおいてもレンブラントの『夜警』なのだ。しかし、まずは館内に入ろう。同行人とは、また出口で落ち合うことにして、さりげなくバラける。



 1885年に開館した国立美術館は、アムステルダム中央駅と同じ、ペトルス・カイパース(P.J.H. Cuypers)の設計。確かに、赤レンガの壁面を引き締める白い帯、灰色の屋根というデザインがそっくり(もっとも、この色づかいは街の至るところに見られる)。純粋にミュージアムのみの目的で建てられたヨーロッパ最初の建物だそうだ。新教国のオランダらしい。ちなみに、辰野金吾の東京駅がアムステルダム中央駅をモデルにしたという説は、現在、否定されているそうだ(→Wikipedia)。

 1階は、銀器、木工品、ドールハウスなどの工芸品が中心。私が心を奪われたのは、デルフト焼きの陳列である。白地に青い染付の、清楚で可憐な姿は、東洋の青花磁器に似ている。それもその筈、現在のデルフト焼きは、17世紀、東インド会社がもたらした中国や日本の磁器の強い影響を受けて成立したものなのだ。展示品の中には、中国磁器を巧妙に「真似た」作品がいくつも見られた。植物文様や山水風景は、よく出来ている。けれど人物表現は、どこか変。中国人の顔に見えない。かといって、西洋人の顔でもないところが、かなり珍妙である。先だって、京博の特別展『憧れのヨーロッパ陶磁』で、オランダには伊万里写や景徳鎮写があることを初めて知って、興味深く思ったのだが、実はこんなふうに、ごろごろ転がっているシロモノだったとは。

 もちろん、デルフト焼き特有の独創的な作品もある。いちばん驚いたのは、仏塔のミニチュアのような、2メートル近くもある巨大な磁器。各層の四方に筒状の突起が飛び出している。なんだか中国の明器(副葬品)みたいだなあ、と思った。用途が全く分からなかったのだが、下記↓のサイトを見つけて、やっと判明した。なんと、チューリップ専用の花瓶だという。えええ~何考えてるんだ、オランダ人!

■ツアコン・モバイル通信:オランダの伝統・デルフト陶器
http://www.nta.co.jp/ryoko/tourcon/2003/031105_2/index.html

 私は、このデルフト焼きコレクションに関するカタログを入手したくて、ミュージアムショップを一生懸命物色したが、めぼしい本やグッズはなかった。残念。陶磁器が絵画に匹敵する芸術品であるという認識がないのかなあ、オランダには。

■アムステルダム国立美術館(英語)(※音が出ます)
http://www.rijksmuseum.nl/index.jsp?lang=en
コメント
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