見もの・読みもの日記

興味をひかれた図書、Webサイト、展覧会などを紹介。

お盆旅行(2):松尾寺~京都大文字送り火(鳥居形)

2009-08-19 22:06:44 | 行ったもの(美術館・見仏)
■西国第二十九番 青葉山松尾寺(京都府舞鶴市)

 この旅行、初日(8/15)の夜は奈良で春日大社の万燈籠と東大寺の万灯会を見ること、2日目(8/16)の夜は京都で大文字を見ることが目的だったので、昼間の予定は全く考えていなかった。さて明日はどうしよう、と思っていたら、なんとなくつけていたテレビの『にっぽん木造駅舎の旅』という番組(NHK-BS1)に、松尾寺(まつのおでら)駅が映った。西国第二十九番・青葉山松尾寺の最寄り駅である。よし、明日は松尾寺に行っちゃおう、と決めた。



 翌日(8/16)松尾寺駅に到着すると、木造駅舎の待合室では、気持ち良さそうにネコが朝寝していた。ここから松尾寺までは、徒歩45分。だらだらした登り坂だが、ほとんど舗装道路なので、歩きにくくはない。すでに複数の友人から、無人駅でコインロッカーがないこと、近くにローソンがあることなど、有益な情報を得ていたので、慌てず行動。

 松尾寺のご本尊は、77年ぶりのご開帳だという。金色の馬頭観音像で、かっと開いた口の中は赤く塗られている。頭上には白馬の首。丸顔で、ややお腹の出た体型、座り方もしどけなくて、あまり怖さは感じさせない。失礼ながら、え、ほんとに秘仏なの?という感じ。同山は、国宝『普賢延命菩薩像』など、多数の文化財を有しているが、残念ながら、夏場は宝物殿はお休み。ホームページを見ても、秋はいつから開くのか分からなかったが、松尾寺駅に置かれていたチラシで、9/19~11/23開館予定と判明。また来ようかなあ。天馬をデザインした、ご開帳記念TシャツをGETする(友人とお揃い)。

京都・五山送り火(鳥居形)20:20点火

 京都に戻り、ホテルにチェックイン。今夜は五山送り火(いわゆる大文字)である。五山全部を見るのは、なかなか難しいらしい。それでは、どれか1つに絞ろうと思い、いちばん位置が低くて遠方から見えにくいという鳥居形に決めた。夕闇の中、JR嵯峨嵐山駅から、清涼寺~大覚寺(どちらも閉門)前を通って、広沢池に向かって、ぶらぶら歩く。このあたりに来るのは十数年ぶり。大覚寺~広沢池の間に、タイムスリップしたような、気持ちのいい田園風景が残っていることに驚く。京都市中の街明かりが、すぐそこに見えるのに。



 広沢池には多数の灯籠が、星のように浮かぶ。湖畔のお堂からは、信者さんたちのおつとめの声。やがて、夜空に浮かぶ黒い山肌に鳥居形が浮かび上がった。十二分に堪能して、そろそろ帰路に着くことに。すると、広沢池を離れても、けっこう、住宅の間や交差点など、各所で鳥居形が見え続けることに気づく。あっと驚いたのは、「六道の辻」の石塔が立つ、大覚寺門前の交差点(五叉路?)。歩いてきた道の先に、人が通れそうなほどの大きさで、いきなり、鳥居形が立ち現れたのだ。「地獄の門」のようだった。ちょうどそのとき、薪が燃え尽きて、巨大な「地獄の門」は暗闇に吸い込まれるように消えてしまった。あとで調べたら、ここは「小野篁が冥府からの帰路に使ったとされる井戸があった場所」だというのも、妙に符牒が合っている。

 それにしても、関西のお盆の行事はいいなあ。こうやって何世代にもわたって、京都市中を挙げて、壮大な供養をされ続ける死者たちは幸福だなあ、と思った。
コメント
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