○アートディレクション:高岡一弥、選と文:高橋睦郎、写真:与田弘志『和の菓子』 ピエ・ブックス 2003.9
この本、東京国立博物館の地下にあるミュージアムショップで見つけた。なぜ、博物館に和菓子の本? ぱらぱらとページをめくって、すぐ納得した。これは間違いなく、日本のアートの一分野である。
同類の本はいくらもあるが、本書は、とにかく写真の質が抜群にいい。薯蕷饅頭のふかふか感、道明寺のつぶつぶモチモチ感、錬り切りのしっとりした重量感など、素材の触感&食感が、きちんと伝わってくる。
1ページに1種類が基本だが、菓子によって、単体でその表情をとらえたり、あるいは1つ2つ、3つ4つなど、並べたり、散らしたり、立たせたり、寝かしたり、ページをめくるたびの変化が楽しい。100字程度の説明が添えられているが、全て4行形式で、詩のようだ(詩人の高橋睦郎さんが書いている)。
冬(11月、12月)から春へ、2ヶ月ずつ進んでいくのだが、たとえば、今の季節なら、「夕涼み 八月/暑い夏も日暮れがたになると/涼風が立って しのぎやすくなる。/縁側や屋外に出ての夕涼みの風情を/白と水色のそぼろで表現した。/とらや」「団扇 七月/どこか改まった感じの扇に対して/団扇はいかにもくつろいだ感じ。/菓子の団扇ではあおぐわけにいくまいが/くつろいでほしい主(あるじ)の心は伝わってくる。/笹屋伊織」など。取り立てて必要な情報を伝えているわけでもないところも、奥ゆかしくてよい。「挨拶」を基本機能とする、日本の定型詩の伝統に忠実である。
撮影協力は、川端道喜、亀屋伊織、とらやの三店舗。いちばん数が多いのはとらやだと思う。私は羊羹くらいしか知らないが、とらやのホームページを見ると、季節限定の生菓子を半月単位で売り出しているようだ。いいなあ、私もそろそろ、ジャンクスイーツから足を洗って、こういう和菓子をたしなむ大人になりたい。
※和菓子にみる京「とらや」
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/wagashi/w-02.html
年1回の社内公募で新作を発掘し、見本帳に追加していくそうだ。

同類の本はいくらもあるが、本書は、とにかく写真の質が抜群にいい。薯蕷饅頭のふかふか感、道明寺のつぶつぶモチモチ感、錬り切りのしっとりした重量感など、素材の触感&食感が、きちんと伝わってくる。
1ページに1種類が基本だが、菓子によって、単体でその表情をとらえたり、あるいは1つ2つ、3つ4つなど、並べたり、散らしたり、立たせたり、寝かしたり、ページをめくるたびの変化が楽しい。100字程度の説明が添えられているが、全て4行形式で、詩のようだ(詩人の高橋睦郎さんが書いている)。
冬(11月、12月)から春へ、2ヶ月ずつ進んでいくのだが、たとえば、今の季節なら、「夕涼み 八月/暑い夏も日暮れがたになると/涼風が立って しのぎやすくなる。/縁側や屋外に出ての夕涼みの風情を/白と水色のそぼろで表現した。/とらや」「団扇 七月/どこか改まった感じの扇に対して/団扇はいかにもくつろいだ感じ。/菓子の団扇ではあおぐわけにいくまいが/くつろいでほしい主(あるじ)の心は伝わってくる。/笹屋伊織」など。取り立てて必要な情報を伝えているわけでもないところも、奥ゆかしくてよい。「挨拶」を基本機能とする、日本の定型詩の伝統に忠実である。
撮影協力は、川端道喜、亀屋伊織、とらやの三店舗。いちばん数が多いのはとらやだと思う。私は羊羹くらいしか知らないが、とらやのホームページを見ると、季節限定の生菓子を半月単位で売り出しているようだ。いいなあ、私もそろそろ、ジャンクスイーツから足を洗って、こういう和菓子をたしなむ大人になりたい。
※和菓子にみる京「とらや」
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/rensai/wagashi/w-02.html
年1回の社内公募で新作を発掘し、見本帳に追加していくそうだ。