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付け焼き刃の覚え書き

 開設してからちょうど20年。はてなにお引っ越しです。https://postalmanase.hateblo.jp/

「空の中」 有川浩

2007-08-27 | 怪獣小説・怪獣映画
 電撃文庫でデビューした有川浩の第2作は、メディアワークスからハードカバーで出版されました。青空を意匠したシンプルな表紙です。一般文芸書と並んで遜色がない装幀で、推薦文が橋本大二郎と恩田陸です。本当に、一般文芸の棚に並んでいたら電撃小説大賞を受賞した作家の第2弾とは気づかないでしょう。今までも一般文芸などで活躍しているライトノベル出身の作家はいましたけれど、今回の真っ向勝負には「ライトノベルでも一般文芸なんかに負けないぞ」という、編集部の意気込みと自信を感じました。
 確かに読み始めたときの感覚は、昔、井上ひさしの『ドン松五郎の生活』とか『吉里吉里人』なんかを始めて読んだときと同じもの(同じようなタイプの話というんじゃなくてね)。
「大人向けの小説だけど、子供でも読めるし面白い」

 この作品、高度2万メートルで発生した2件の航空事故から始まるドラマですが、それが『大空の恐怖』を連想させました。とってもイタイ少年少女が出てくるけれど、脇を固める大人がしっかりしているので気持ち的にフォローできました。面白かった。『大空の恐怖』で始まって『遠い海から来たクー』かと思ったら『ガメラ3~イリス覚醒』になっちゃった……というような雰囲気の話。厚くてもサクサク読めました。

【空の中】【有川浩】【航空機】【自衛隊】【怪獣】【ふわふわ】
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「鬼切り夜鳥子3 みちのく血煙慕情」 桝田省治

2007-08-27 | 時代・歴史・武侠小説
 時は平安、平家の時代。源頼政の屋敷から名刀2本を盗み出した陰陽師、鬼切り夜鳥子を追って2組の追っ手が送り出された。1つは頼政の手下である猪早太の一党。もう1つは、源氏再興のため牛若丸に名刀を与えたいと考える鞍馬寺の天狗が送り込んだ青年僧。
 彼らはみちのくの地で夜鳥子と出会い、その全身に刻まれた入れ墨の力を目の当たりにすることとなる……。


 シリーズ第3作はぐーっと過去に戻って、今まで憑依霊扱いだった夜鳥子さんの生前のお話しなので、この巻から読んでも大丈夫。というか、この巻から読んでください。でも、まあ、1巻に続く話なので、突き抜けるようなハッピーエンドにはなりませんのであしからず。
 全身の入れ墨に封じた式神を駆使し、人に憑く鬼を退治していく夜鳥子。しかし夜鳥子の技では取り憑かれた人を救うことはできない。もろとも斬り殺すのみ。けれど彼女が雪の山中で遭遇した、求道は鬼だけを封じる技を持っていたけれど、そのやり方では命が幾つあっても足りないのだ。そんなこともあって2人で鬼退治の旅をすることになるのだけれど、ここに半人前の式神使いの舞が加わって、逆どろろになった、てなもんや三度笠だか素浪人月影兵庫みたいな話が始まるわけです。佐島真実のイラストも良い感じで、今年のオススメ伝奇ですねえ。テンポは軽く、ストーリーは重く。

「鬼切り夜鳥子3」★★★★★

【式神】【妖怪】【ぽろり】【珍道中】
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「大空の恐怖」 コナン・ドイル

2007-08-27 | 怪獣小説・怪獣映画
 コナン・ドイルといえば『シャーロック・ホームズの冒険』に代表される探偵小説、『ロストワールド』に代表されるSF小説、『勇将ジェラールの冒険』に代表される歴史小説のそれぞれに傑作を残しました。本人がいちばん書きたかったのが歴史小説で、いちぶん売れたのがホームズものというのも、よくある話です。ま、晩年はオカルト方面に走りかけ、『ロストワールド』のチャレンジャー教授を主人公にした『霧の国』なんて作品も書いてますが、短編を見ていると意外にオカルト・ホラーっぽいものが多いです。SFやミステリというよりホラーに近い作品。密林から這い寄る恐怖を描いた『樽工場の怪』とか高空に挑む飛行機が片っ端から叩き落とされる『大空の恐怖』とかね。これにもう少し生理的嫌悪感と人種差別的恐怖が付け加わるとクトゥルフ神話になりそうです。

【大空の恐怖】【コナン・ドイル】【樽工場の怪】【飛行機】【這いうねるもの】」 
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「ガンパレード・マーチ 5151小隊熊本城決戦」 榊涼介

2007-08-27 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 『ガンパレード・マーチ~5151小隊熊本城決戦』の中に、こんなやりとりがありました。

「戦場で友と呼ぶべき存在を見出すのは芝村の伝統でもある」
「友達と思ってるんだ」
「向こうはどう思っているか、わからんがな」

 好きなやりとりの1つなのだけれど、既視感のあるシーンでもありました。
 森脇真末味の『緑茶夢』の中から、アマチュアロックバンド<スラン>のボーカル安部が、ドラムの雅子に「おれの友達」を紹介すると喫茶店に連れて行くものの、相手の姿を遠くから見るだけの場面。

「話しかけないの? かくれてるみたいで変だわ」
「それはムリだよ。あいつは自分がおれの友達だってこと、知らないんだもの」

 ああ、空気が同じだね。他人がどうだろうと自分の気持ちは気持ちだと貫く強さと、その自分の気持ちを他人に押しつけないところが(それを強さと解釈するか弱さと解釈するかは別として)。
 ところで、バンド名のスランはA.E.ヴァン・ヴォクトの「スラン」がモトネタです。昭和55年にバンド名で<スラン>だもんね! 読心能力や天才的な知覚力を持った新人類スランの誕生による人類文明の崩壊と、人類とスランとの対立、スラン内部での対立を描いた新人類テーマの傑作であり、日本のSF小説や少女マンガに大きな影響を与えたと思われる1冊。

【ガンパレード・マーチ】【5151小隊熊本城決戦】【榊涼介】【ミリタリー】【ロック】【末期戦】【超能力】
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「ネペンテス」 清水マリ子

2007-08-27 | 学園小説(不思議や超科学なし)
 人の弱みが解る少女、勝てばどんな願いでも叶うけれど負ければ一生その願いが叶わなくなるゲーム、現実でないところへ行ってしまった少女、色覚と心を失う眼病、そんな不思議なキャラクターや事件が幾人も幾つも主人公の高校生の前に現れ、その多くは真相や真実がまったく見えないままに消えていきます。ファンタジーとかホラーというより奇譚。
 『終末の過ごし方』とかゲームのノベライズも多くやっている人ですか? この痛さは自分が読めるギリギリかも。

「ネペンテス」★★★★

【奇譚】
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「怪人フー・マンチュー」 サックス・ローマー

2007-08-27 | ミステリー・推理小説
 レトロな怪人の代名詞といえば、日本なら二十面相であり、フランスならファントマ、そしてイギリスやアメリカだとフー・マンチュー(FU Manchu。アメリカのロックバンドに非ず)になるのでしょうか? 『ドラキュラ紀元』にも登場していますね。
 原作はサックス・ローマーの『怪人フー・マンチュー』なのだけれど、どちらかというと小説より映画の方が有名。天才的な頭脳を持つ謎の中国人であり、アジア人の暗殺者集団や猛獣、検出困難な毒を携えてイギリスに潜入。科学者の誘拐から要人暗殺までを繰り返し、密かに白人優位の社会を崩壊に導こうと画策していきます。その動機は小説版でははっきりと判りませんが、映画版では「ジンギスカンの再来として世界征服するため」であったり「義和団事件で列強の軍隊に殺された家族の復讐をするため」だったりします。ローマー自身は義和団事件に影響を受けて書いたようですが、どちらにしても「欧米列強に抑圧されているアジア人には何をされるか判らないぞ」という無意識の認識を「何を考えているか判らないアジア人は何をするかわからないぞ」にすり替えているような気がします。それが当時の欧米人に受けた理由かも。
 ……などと思い出したのは、プレミアム・リマスター版DVD『ジャイアント・ロボ』を観たから。十傑衆<命の鐘の>十常寺が、先行したコミック版や初期設定では二つ名が<天才悪魔>になっていたからですが、それはまたフーマンチュー博士の代名詞でもありました。

【怪人】【東洋】【天才】
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「スパイラル・ゾーン」 伊藤和典

2007-08-27 | その他SF(スコシフシギとかも)
 伊藤和典の『スパイラル・ゾーン』(1989)も設定的には似ていますが、もともと模型情報の冊子に掲載されていたこともあり、こちらはアクション中心の異常地帯もの。輸出用アニメにもなっていますし、玩具展開もしたはずなのに忘れられた作品です。きちんとまとまったものを読んでいないので、これは宿題。
 それからアニメ『ラーゼフォン』(2002)も異次元からの侵略者が東京を侵入不可能な障壁で覆い、Tokyoジュピターと呼称されるようになったその内部では時間の進みが緩やかになっていましたから、このジャンルに組み込んでもいいかもしれません。
 ただ展開が難しく、視聴者が解釈しなければ部分も多いので、流し視には不適当かな。「首都消失」と「勇者ライディーン」を足して割るとこんな感じかな。ただ思い出だけが残る寂しくも救われるエピローグが印象的でした。

「ラーゼフォン」★★★★

【ゾーン】【ウラシマ効果】
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「時の果てのフェブラリー」 山本弘

2007-08-27 | その他SF(スコシフシギとかも)
「何が真実か分からないと、何が正しいことなのかも分からないんじゃないか?」
 だから、守るべきものは正義と真実とアメリカン・ウェイだとアラン・ドレイク少尉。

 山本弘の『時の果てのフェブラリー』(1990)は『ストーカー』に触発されたものらしい。知性体の正体が判らないまま進む話もいいけれど、解明して接触する展開になってもいいじゃないかという意図で書かれたものだとか。
 エリア内部の重力異常現象の解明、内部に取り残された/侵入を試みる者たちの心理、世界に対して人間とは異なる認識をもっている知性体との接触……。こうした要素をきちんと押さえているところがさすがです。そして、そんなハードな物語の主人公を、特殊能力があるとはいえ11歳の美少女にやらせるとはお見事です。というか、単なる冒険SFではなくハードSFにおいて、そういう主人公を設定できるのは日本の作家くらいかもしれません。同じようなストーリーは書けても、海外の作家……たとえばJ.P.ホーガンにはロリロリな主人公は書けないだろうて。
 ところで徳間デュエル文庫から2001年に刊行された改訂版のイラストは主人公が可愛くないし、イラストとしての出来映えもよろしくないので、自分用には角川スニーカー文庫の90年版の表紙をスキャンして自作してみました。

【時の果てのフェブラリー】【赤方偏移世界】【山本弘】【結城信輝】【ゾーン】【恒星間飛行】【モノポール】【オムニパシー】【時間の流れ】【悪魔の証明】【チョムスキー文法】【人類に残された最後の開拓地】
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「蒼のサンクトゥス」 やまむらはじめ

2007-08-27 | 異世界結合・ゲート・ゾーン
 海洋冒険SFコミックの『蒼のサンクトゥス』ですが、読んで思ったのは、「これはゾーンものだろ?」ということ。
 ファーストコンタクト・テーマの1つの亜流に「異常地帯もの」と区分した方がいいんじゃないかと思える作品群があります。異世界より高度な知性体が地球を訪問するのだけれど、一見人間には何の興味がないかのごとく、ある一定の地域を障壁で覆ってしまい、接触を阻むというパターン。
 これが単に物理的に壁を作ったとかエネルギー・バリアを張っただけというなら『地球防衛軍』のミステリアンと同じなわけですが、この場合は一帯が通常の物理法則が通用しない世界となり、しかも相手の知性体は人類との接触を拒む(または無視する)のですね。
 このパターンはたぶんA&B・ストルガツキーの『ストーカー』(1972)が最初。原題が「路傍のピクニック」とあるように、来訪体は地球を訪問し、6カ所のゾーンと呼ばれる物理法則が狂ったエリアを生み出すと、またどこかへ立ち去ったらしいという設定。人間がピクニックした跡に残された食べ屑やゴミに虫が群がるように、人間は危険なゾーンで知性体の残したゴミをあさっていきます。知性体と直接に接触するでなく、その異常な空間に挑む人間の変化を描写するものです。
 ファーストコンタクトには違いないでしょうが、かならずしも「直接コンタクトするとは限らない」というのと、それ以前に「なぜ彼らはこれを作ったのか。どうしたらこれに対処できるのか」という課題が提示されているところが特色です。

【蒼のサンクトゥス】【やまむらはじめ】【ゾーン】【海】【異星人】
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「ペンチャーワゴン」 パラマウント映画

2007-08-27 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
 『Paint Your Wagon』という映画があります。邦題はそのまま『ペンチャーワゴン』。リー・マーヴィンとクリント・イーストウッドという、「この2人が出ていて戦争映画じゃないのかよ!?」的な西部劇ミュージカル・コメディ。中学の頃に字幕も吹き替えもなしで一回観たきりなのに、何故か心に残っている一本。

 ゴールド・ラッシュの時代。西へ西へと向かう幌馬車隊が偶然に金鉱を発見し、瞬く間に町が誕生します。名づけてノーネーム。そこはまさしく大西部のソドムとゴモラ。
 そこで偏屈な山師ベン・ラムソン(リー・マーヴィン)と流れ者のパードナー(クリント・イーストウッド)が、1人の女性をめぐって三角関係となり……。

 ふとしたことから発見された金鉱に群がる人々の色と欲の物語。
 ラストのスペクタクル・シーンも含めてシニカルなギャグの数々が満載だったのだけれど、日本での評判は悪く、歌のシーンも退屈と酷評されています。記憶が美化されているのか、別の作品と覚え違えているのか……ということで、ヤフオクで落札してきました!
 やっぱ、これだよ! 面白いけれどくだらなくて冗長。飛ばし観すると最高!

【ペンチャーワゴン】【黄金】【開拓】【災厄】【地下坑道】
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「トップをねらえ!2」 ガイナックス

2007-08-27 | 巨大ロボット
 みんなで『トップをねらえ!2』の第1話を観る。
 たぶん、居合わせたメンバーは『トップをねらえ!』の第1話と第2話を1988年のSF大会の上映会で観た口だろう。そして感想も同じ。

「面白いけど、全6話終わらないと判らんなあ……」

 『トップをねらえ!』も第5話と第6話がなければ、ただの良くできたSFパロディにすぎなかったし、『天地無用!』だって第1話を観たときは『うる星やつら』の焼き直しくらいの認識しかなく、買ったソフトを人にくれてやり、第5話と第6話を観てから慌ててLDで揃え始めた口。
 主人公が一途で情熱的というのを通り越しただのバカになっている『トップをねらえ!2』も、今はただの熱血ロボット活劇。願わくば、このままヒートアップしますように……。でもいづなよしつねのメカデザインは昔から好きなので、素直に嬉しい(いづな版ジャイアントロボとして観れるかも)。

……と書いたのは、2004年10月18日のこと。
 あれからトップ2も完結し、すべて揃って傑作となったのでした。めでたしめでたし。
 『トップをねらえ!』や『不思議の海のナディア』もそうなんだけれど、パロディだかオマージュだか本歌取りだか満載でいながら、それに振り回されず、ちゃんとオリジナルのストーリーを完結させているのが見事。
 でも、こういう作品は、作り手側だけでなく、受け手の側にも「元ネタを知っていて、その上で新作を面白がる」教養と酔狂さが要求されるんだよね。少なくとも人前で、明らかなパロディを「すばらしいオリジナリティ」と絶賛して恥をかかないように。パロディを楽しむには教養がいるんだ。なんの教養かは知らないけれど。

【トップをねらえ!2】【宇宙怪獣】【時間】【超能力】
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「エル・ドラド」 監督ハワード・ホークス

2007-08-27 | 時代・歴史・武侠小説
 ハワード・ホークスという映画監督がいて、巨匠と呼ばれるくらいであらゆる映画会社を渡り歩き、マリリン・モンローからロバート・ミッチャムまで有名スターを使いこなし、西部劇から歴史大作まで撮りまくりました。
 その監督の撮った西部劇の中に、俗にリオ・ブラボー三部作と呼ばれる作品群があります。
 これを初めて意識したのはテレビ放映のとき。何気なく観ていて、「この映画、観たことあるけど、役者が違うな……」と思ったのがきっかけ。実際、それは別の作品で、1つは『リオ・ブラボー』、もう1つは『エル・ドラド』。

 『リオ・ブラボー』は、メキシコ国境近くのリオ・ブラボーの町を舞台に、ジョン・ウェイン演じる保安官が、凄腕だがアル中の保安官助手、まだ若い未熟なガンマン、口の悪い老人を仲間に、金に飽かせて何人ものならず者たちを手なずけた悪いボスと戦う話。

 『エル・ドラド』は、メキシコ国境近くのエル・ドラドの町を舞台に、ジョン・ウェイン演じるガンマンが、凄腕だがアル中の保安官、まだ若い未熟なガンマン、口の悪い老人を仲間に、金に飽かせて何人ものならず者たちを手なずけた悪いボスと戦う話。

 じっくり比較してみれば、細かなエピソードは違うけれど、エピソードがカットされたテレビ版をちらちら観ている分には区別がつきません……。
 これに『リオ・ロボ』を加えて三部作になるらしいのだけれど、『エル・ドラド』がいちばん好きかな。どれもユーモアあふれる西部劇で、少人数のパーティーが優勢な敵と戦うパターンなのだけれどね、強いけど弱点がある、弱点があるけど強いっていうキャラ作りが魅力。早撃ちガンマンだけど半身不随、凄腕だけど手が震える、ナイフ投げは達人だけど射撃はへたくそ……。
 でも「リオ・ブラボー三部作」って誉め言葉?

【エル・ドラド】【リオ・ブラボー】【ハワード・ホークス】【西部劇】【少数精鋭】
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「面白南極料理人」 西村淳

2007-08-27 | 食・料理
 西村淳の『面白南極料理人』を読みました。第38次越冬隊に調理担当として参加した著者の回想録です。極端に寒くて、気圧も低い南極高地での調理には本当に苦労したようですし、倉庫に備蓄されたままの豪華な食材には羨望すら覚えます。
 そうかあ、菌がいなけりゃ賞味期限なんか関係ないよなあ……。

 第38次越冬隊といえば『不肖・宮嶋 南極観測隊ニ同行ス』もこの越冬隊なのですが、こちらのあとがきに書いてあった「一部よりは大変なお叱りも受けた」の叱った方の口なんでしょう。なんか宮嶋さんに怒ってます。怒ってますが、一読者としてはどちらも同じです。
 読む方は『不肖・宮嶋……』の内容は(宮嶋カメラマンの格好良さも越冬隊員のおふざけも)割引して読んでいますが、『面白……』の方はそのまんま掛け値なしに読みますので、そうすると「どっちもどっちだよねえ」になっちゃいますねえ。

【面白南極料理人】【西村淳】【極地探検】【料理】【閉鎖空間】【レギオン襲来】【南極ドーム基地】
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「満州鉄道まぼろし旅行」 川村湊

2007-08-27 | エッセー・人文・科学
 ちょっと大連まで行ってきた。はっきり行って行きたくなかったけれど、つきあいだ。
 でも行ってしまえばいろいろ成果があり、面白かった。大連は美人ばかりで、交通整理の婦人警官はその中でもとびきりで、婦人オートバイ部隊を目撃できなかったのが残念……ではなく、とりあえず写真は『二〇三高地』にまとめてみました。
 持って行った本は文春文庫の『満州鉄道まぼろし旅行』。当時の資料から昭和12年の大連や旅順への旅を再現しようというもの。街路もルートはほとんどそのままだったし、現存する建物も多く面白かったですね。

「満州鉄道まぼろし旅行」★★★

【満州】【鉄道】【旅】
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「まぶらほ~もっとメイドの巻」 築地俊彦

2007-08-27 | その他SF(スコシフシギとかも)
 第3回IFCON賞を受賞した『まぶらほ~メイドの巻』の続編です。

 そもそも『まぶらほ』というのが、魔法をどのくらい使えるかが社会的ステイタスとなっている世界での、恋愛感情に鈍感で優柔不断な主人公と自己中心的で思いこみの激しいヒロインの物語。主人公は魔法の潜在能力は桁外れに巨大なのですが、表面的にはぜんぜんパッとしないオチコボレ。それに対して、世間的にはエリートな魔法娘であるヒロインがベタ惚れで、同じようにどこがいいか判らない主人公に群がってくる他の女性キャラクターを排斥して回るというのが基本プロット。
 こういうの、苦手なんだよねえ。あまりにも男性向けラブコメの典型なんで、ちょっと読んでいて辛いのですね。話は都合良いし、ヒロインはバカだし、なんか背後に忍び寄って、ナイフで喉笛をかき斬ってやりたくなることもあります。

 ただ、このメイド・シリーズはまだ読めます。
 なんでかというと、うざったいヒロインがどちらかというと敵役に位置づけられているもので。
 中心となるのは、どこが良いか判らない主人公を新たなご主人様と認め、彼に使えるべく上陸してきた第五装甲猟兵侍女中隊を中核とするメイドさんたち。ええ。メイドさんというのは、料理・洗濯から対戦車戦・塹壕戦までなんでもこなせるものなのですよ。この献身的な働き者のメイドさんたちが、彼女らを追い出そうとするヒロインたちと戦闘を繰り広げることになります。

【ミリタリー】【メイド】
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