付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「メアリー・アニングの冒険」 吉川惣司&矢島道子

2007-08-29 | 伝記・ノンフィクション
「肩書きがあれば 人はもっと綴ることができる」

 古生物学が博物学の中で一躍脚光を浴びるようになった19世紀初頭。紳士階級が生命の歴史を語ろうと躍起になっている頃、イギリス南部の観光地で1人の少女が誰をも驚かせる化石を掘り当てた。それこそが生命界のミッシングリングともなる化石であり、この少女こそ貧しい家具職人の娘、メアリー・アニングであった……。

 ということで、『メアリー・アニングの冒険~恐竜学をひらいた女化石屋』を読了。ヴィクトリア朝において地位も教養もない女性がいかに化石採取人として活躍し、学者や貴族、果ては大英博物館と丁々発止の取り引きを繰り広げ、いかに古生物学の発展に貢献していったかを、彼女の生活や地位や名誉に対するモノの見方を交えながら描いた作品。
 共著者の1人が古生物学者なのは当然として、もう1人が僕らの世代ではおなじみの吉川惣司。『装甲騎兵ボトムズ』や『未来少年コナン』の脚本、あるいは『ルパンvs複製人間』や『星のカービィ』の監督で見知った顔。虫プロの『鉄腕アトム』以来アニメ業界に浸かっていた人です。
 意外というか当然というか。なんにせよ、アカデミズムの世界に食い込んだ女の生き様が面白かったです。

【メアリー・アニングの冒険】【吉川惣司】【矢島道子】【朝日選書】【働く女性】【化石】【博物学】【フランス軍中尉の女】
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「ステンレス・スチール・ラット諸君を求む」 ハリィ・ハリスン

2007-08-29 | 宇宙・スペースオペラ
 ハリスンの代表的なシリーズに『ステンレス・スチール・ラット』があります。『ステンレス・スチール・ラット』『ステンレス・スチール・ラットの復讐』『ステンレス・スチール・ラット世界を救う』『ステンレス・スチール・ラット諸君を求む』『ステンレス・スチール・ラット大統領に』の5冊。短期間で潰れてしまい、古書店でもプレミアがつくサンリオSF文庫から出ていたので、古書店で調子に乗ってバカ高い値段が付いてたりしますが、まあ、200円くらいで普通に手に入る程度の本です。パラグラフタイプのボードゲーム『ステンレス・スチール・ラットの帰還』なんてものも付録ゲームで作られたとか。

 遙か未来においても鋼鉄の都市を縦横無尽に暗躍する泥棒は存在していて、<するりのジム>ことディグリッツもその1人。しかしついに年貢の納め時。特殊部隊によって捕らえられてしまう。
 なぜ、特殊部隊はこんなに簡単に犯罪者を追い詰めることができるのか。それは特殊部隊は捕らえられ、転向または洗脳された犯罪者によって構成されているからだ(……ってワイルド7みたい)。
 <するりのジム>も特殊部隊の一員となり、凶悪な女性殺人鬼を追いかける任務を与えられるのだが……。

 個人的には『ステンレス・スチール・ラット 諸君を求む』の冒頭、主人公の妻の誘拐から寄宿舎から息子たちを連れ出しての大攻防までの展開が忘れられません。みんな、そんなに税務署を嫌うなよ……☆

【ステンレス・スチール・ラット 諸君を求む】【ハリィ・ハリスン】【泥棒】【詐欺】【殺人鬼】
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「宇宙兵ブルース」 ハリイ・ハリスン

2007-08-29 | 宇宙・スペースオペラ
 ハリイ・ハリスン(Harry Harrison)といえば、思いっきり世の中を斜に眺めているドタバタSF作家というイメージがあります。んでもって、『宇宙兵ブルース』とか『銀河遊撃隊』とか、単なるパロディではなく、題材となった作品が触れていない裏の部分までつつき回したあげく、ちゃんと自分の作品にしてるんです。

 たとえば『宇宙兵ブルース』では、ハインラインの『宇宙の戦士』をネタにして「強力なパワードスーツも用兵を間違えればただの鉄の棺桶だぞ」とか、アシモフの『銀河帝国の興亡』をネタにして「銀河帝国の帝都みたいな巨大世界のゴミ処理とか官僚組織なんかひどいもんだぞ」とか、当てこすり的な部分が目立ちます。だから昔の藤子不二雄のカバーイラストみたいに、表紙が重いと読後感まで重さに引きずられてしまうんじゃないかなあ。

 『銀河遊撃隊』もそう。天才科学者による偶然の発見で、銀河宇宙に飛び出した主人公たちが宇宙防衛組織を作って巨大な敵と戦うという、『宇宙のスカイラーク』と『レンズマン』を足したような話ですしね。こちらは今風のイラストで再販されましたが、新しい方が良い感じですねえ。やはりハリスンの作品には思いっきりライトで明るいカバーイラストが必要だと思います。

【宇宙兵ブルース】【ハリイ・ハリスン】【藤子不二雄】【横山えいじ】【ハヤカワ文庫SF】【天才科学者】【機動歩兵】【ご都合主義】【ホモ】【トランター】【ゴミ処理】【官僚主義】
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「惑星カレスの魔女」 ジェイムズ・H・シュミッツ

2007-08-29 | 宇宙・スペースオペラ
 ウィンダムやラインスターと同じ時期の作家でありながら、いまだに同じ本が、装幀も変えずに新刊書店に並んでいる作家がいます。ジェイムズ・H・シュミッツ(James Henry Schmitz)。1987年に新潮文庫から刊行され、1996年にはまったく同じカバー絵で創元SF文庫から刊行され、未だに新刊書店で(時には平積みで)並んでいるのは『惑星カレスの魔女』。だって表紙が宮崎駿だから……。
 でも、確かに面白い。歴史に残るような斬新なアイデアはないけれど、値段分はしっかり楽しめる冒険SF。確かにカバー絵も、不運続きの宇宙船長と小生意気な魔女の旅という内容にマッチしてます。
 でも、この人の他の作品と比べて特に優れているという気はしません。『悪鬼の種族』や『テルジーの冒険』も同じくらい面白い冒険SFだったと思います。それでも『惑星カレスの魔女』だけが残るのは……やはりイラストの力による相乗効果なんでしょうね。
 ああ、『テルジーの冒険』のカバーは伊達誠。悪くはないけど、宮崎駿には勝てなかったようです。

【惑星カレスの魔女】【ジェイムズ・H・シュミッツ】【宮崎駿】【魔女】【超能力】【交易】
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「トリフィド時代」 ジョン・ウィンダム

2007-08-29 | 破滅SF・侵略・新世界
 『青い海の怪物』と『海竜めざめる』という同じようなテーマの作品を同じ時期に買ったせいか、高校生の頃はラインスターといえばウィンダムというくらいワンセットで意識してました。実際どちらも小中学生向けのSF全集では定番作家でしたしね。
 ジョン・ウィンダム(John Wyndham)の作品に直接触れたのは、テレビで日曜の昼過ぎにでも放映していた映画『人類SOS』かな。これの原作が『トリフィド時代』でした。人類破滅ものの名作。

 その流星群を見た者はすべて失明した。世界の大半の人間の視力が失われた世界に、植物油の採取用に栽培されていた動き回る植物トリフィドが野放しになり、逆に人間を狩り始める……。


 映画は怪植物と人間が戦うB級モンスター映画になっていましたけれど、小説の方は怪物をどうこうするというより、突然の災厄によって崩壊した人類文明と社会秩序に対してどう向きあうのかというテーマが重視されていました。
 あとの作品では2回に渡って『光る眼』のタイトルで映画化された『呪われた村』(The Midwich Cuckoos)が有名でしょう。舞台となるミッドウィッチ(またはミドウィッチ)は菊地秀行の作品に登場するなど、「怪事件が起こった村」の代名詞みたいになっています。

 あと、天文学用語でトリフィド星雲というのもあるのだけれど、こちらとは無関係。あちこちの解説にわざわざ「TriffidとTrifidは無関係」と特記してあるところを見ると、関係を疑う人は多いみたい。

【トリフィド時代】【トリフィドの日】【ジョン・ウィンダム】【創元推理文庫SF】【災厄】【文明崩壊】【動く植物】
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「青い世界の怪物」 マレイ・ラインスター

2007-08-29 | 怪獣小説・怪獣映画
 昔はマレイ・ラインスター(Murray Leinster)といったらSFのアンソロジーとか全集にかならず入っている作家だったのに、ハミルトンとかE.E.スミスといったスペース・オペラの大御所と、アシモフやハインラインといった重鎮に挟まれ、今ではなかば忘れられかけている気もします。
 でも、いかにもSFらしい作品を生み出した作家の1人です。創元推理文庫などでときどき 『地の果てから来た怪物』や『ガス状生物ギズモ』などに復刊がかかるので、まだ幸せなんでしょうか?
 1954年の『最初の接触』はファースト・コンタクトものの原点ともいうべき(というかタイトルそのまま)作品ですけれど、個人的に好きな話は『青い世界の怪物』
 フィリピン近海を舞台にして、海で起きる怪現象と宇宙よりの侵略者との攻防を描いた作品で、なにげない日常から始まって、実はすぐ近くで異常現象が起きていることに気づかされ、前後して曰くありげなヒロインが接触を図ってくる……と。イメージは…………そうだなあ、東宝あたりが「侵略SFの傑作をついに映像化!」とかいって何億かかけて映画化すると『決戦!南海の大怪獣』みたいになっていて、ちょうど志の大きさと特撮のチープさ加減がぴったり来る感じ?

【青い世界の怪物】【マレイ・ラインスター】【深海の敵】【侵略】【大烏賊】【大渦巻】
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「式神の城 Gunsmoke Witch」 海法紀光

2007-08-29 | その他SF(スコシフシギとかも)
「絵を描きたい人間が描くべきだ。それを助けるのが自分の仕事だ」

 写真集『JUGEND UM HITLER』の同人版を購入。日本語訳すれば『ヒトラーおじさんと子供たち』という感じ? 彼がワイマール共和国の首相に就任して1年目に刊行された本ですね。
 今でこそヒトラーと彼の宣伝相となったゲッベルスの宣伝活動はそれほど独創的ではないのではないか、効果を上げていなかったのではないかという指摘もされることはありますが(「宣伝は効果を上げている」という主張そのものがプロパガンダであったとか、ヒトラーに政権を取らせた国民、取られた野党の言い訳にすぎないのではないのか等)、いち早く映画やラジオなどメディアを駆使したのは確かですし、こうしたプロモーション用写真集を出す政治家など他に例を見ないのではないでしょうか。
 とはいえ、この写真集だけ見ていると、本当に気の良いおじさんという感じで、『ガンスモーク・ウィッチ』に登場する亡国に導く危険な指導者の別の一面……というのもアリと思えてしまいます。

「それでも天が味方することがあれば、いつか、また絵を描こう」

 没落貴族の末裔オゼット・ヴァンシュタインは、運河の辺で絵を描いているところを1人の小男から声をかけられた。絵に行き詰まっていたオゼットは、男からの助言やアドバイスを楽しむが、別れ際に男は言った。絵を描きたい人間が絵を描くべきで、それを助けるのが自分の仕事なのだと。
 やがてオゼッタは誰とも知らない者の支援で美術学校に進むが、間もなく時代は戦争へと突入する。
 彼女は軍に志願するが、理由の分からないまま空軍へと転属させられる。集められたのは彼女だけではなく、またいずれも飛行機操縦の経験などまったくない少女ばかりだった……。

 この作品での役回りは、なんというか主人公である少女オゼットを陰から見守り支援する紫のバラの人? ときどき電波が入って言動がおかしくなるけど。

「式神の城 Gunsmoke Witch」★★★★★

【ナチス】【魔女】【絵描き】【壬生屋】【万能執事】【空戦】
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「懐古的洋食事情」 市川ジュン

2007-08-29 | 食・料理
 市川ジュンといえば、『懐古的洋食事情』も挙げておかねばなりません。
 主婦とコロッケ、華族の初めての西欧風晩餐会、港のパン屋とジャズ、西洋野菜と画家等々、日本人と洋食をめぐるエピソードの数々を、明治維新前夜から太平洋戦争後まで時代を変え登場人物を変え、ユーモアありペーソスありで描いていく連作集。読んでいてホッとして、ときどきくすりと笑える作品。
 でも、この作品、最初は『陽の末裔』の外伝だったのですね。それが人気があったらしく、あれこれ関連作品が発表され、いつの間にか独立したシリーズになってしまってました。ですから、登場人物は原則として『陽の末裔』に脇役として登場していたり、その関係者だったりします。
 ということは……たとえ、ほのぼのした恋の物語でも「この人がパトロンに孕まされたあげく夭逝しちゃうわけね」とか「この後、海難事故で戻ってこないんだ」とか、先の運命までが見えてしまうのが寂しいですね。
 『陽の末裔』とどちらを先に読んでもいいですが、そのプロローグとか後日談的な話も多いので、こちらがあとの方がいいのかな。

【懐古的洋食事情】【市川ジュン】【洋食】【鹿鳴館】【モガ】【コロッケ】【ライスカレー】
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「陽の末裔」 市川ジュン

2007-08-29 | 時代・歴史・武侠小説
 元始女性は太陽であつた

 市川ジュンは女性の自立をテーマにした作品を描くマンガ家です。恋愛ベタベタではなく、それでいてユーモアもあり、絵柄も柴田昌弘タイプで男性にも取っつきやすいものなので、昔からよく読む作家です。
 意識し始めたのは、マタハリの娘を主人公にした1975年発表の『暁の目の娘』からかも。1980年代になると発表の場を「別冊マーガレット」から「YOU」へ移したので、もっぱら思い出したように単行本を買うだけです。

 代表作は『陽の末裔』。寒村から女工として都会へ連れてこられた2人の少女がたどる流転の人生を、昭和初期から太平洋戦争終結にかけて描いたもの。1人は資本家に見初められブルジョワジーへの道を歩み始め、1人は社会主義運動に巻き込まれながらも女性の自立を訴え続けていく……。

 同じく昭和初期の女性弁護士の奮闘を描いた『この星の夜明け』も面白かったですね。いろいろ左右に振れながらも、ちゃんと法律家としての活動に主眼が置かれていますから(エセ弁護士ものを読んだ後のリカバリー用ですね)。

【陽の末裔】【この星の夜明け】【市川ジュン】【女性の自立】【栄枯盛衰】【社会主義】
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「白洲正子自伝」 白洲正子

2007-08-29 | 伝記・ノンフィクション
 『白洲正子自伝』を読む。
 年代順に語っているわけでもなく、時代も場所も頻繁に飛ぶし、本人いうところのつまらないこと(イヤなこと)は無視するんで、自伝というより日本文化の語りべとして知られる著者の回想録。だって、本当に結婚以後の自分のことって何も書いてないもんなあ。
 そういうわけで、ほとんど書き飛ばしている白洲次郎との結婚以後の(おおよそ)後半より、示現流の薩摩隼人の家に生まれ育った少女が見た、樺山資紀(日清戦争での海軍軍令部長)と川村純義(海軍大将・昭和天皇の養育係)という2人の祖父の素描の方が興味深い。
 黄海海戦は海軍軍令部長自らが殴り込みをかけるような戦いだったのですか?

「白洲正子自伝」★★★

【日本文化】【日清戦争】
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「悪魔のミカタ」 うえお久光

2007-08-29 | 学園小説(ミステリ)
 近代の博物学者じゃないので、ジャンルを区分しただけでは良いことはありません。でも、ライトノベルにおける小説部分とイラスト部分の役割と比重の推移は、きちんと調べたら面白いかも。
 少なくともイラストが「挿絵」の時代があり、そのマンガ家やアニメーターの新作イラストを見られることが嬉しく、小説の中身との関係など二の次のような本がたくさん刊行された時代があり、逆に今はイラストが小説の中身を補完し強化するような作品(言い様によっては作者とイラストレイターの合作)すらあたりまえに見られる時代となりました。
 特に電撃文庫にその傾向が顕著かな。うえお久光の『悪魔のミカタ』とか成田良悟の『バッカーノ!』とか、巻頭イラスト部分が独立した物語になっていて、それがなおかつ本編を補完していますよね。

 『悪魔のミカタ』を最初に読んだのは、番外編『ストレイキャット ミーツガール』『ストレイキャット リターン』。本編のキャラが小学4年生だった過去のエピソードを連作短編の形式で展開したもの。まあ、本編でいきなり死んでしまったヒロイン日奈が本当にスゴイ人間で、他の者にとって必要な存在だったのだということを読者に納得させるための物語。
 女子小学生たちがパジャマでお泊まりしながら繰り広げる千夜一夜ばりの物語の宴は、封印より解き放たれ世界を滅ぼそうとする創世神との対決なのだ!って、女子高生が枕投げで宇宙からの侵略者に立ち向かう以上だね。

 なんにせよ、イラストの重要性は誰の目にも明らかな時代です。それが、「挿絵」の時代との最大の違いかな。たとえばジュブナイル版で『失われた世界』や『80日間世界一周』を考えた場合、イラスト担当が誰であろうとそれなりに売れたと思います(はまり役であるかないかは別として)。でも、今の富士見ファンタジア文庫や電撃文庫のヒット作はイラスト無しとかイラストレイターが違っていたら、売れ行きもずいぶん違ったんじゃないでしょうか。
 それがジュブナイル小説とライトノベル最大の違いだと思います。真鍋博の『マリみて』とか柳柊二の『月姫』とか……あ、見てみたいかも。

【悪魔のミカタ】【ストレイキャットミーツガール】【ストレイキャットリターン】【うえお久光】【藤田香】【創世神】【千夜一夜】【兄弟殺し】【異能】
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「蘭剣からくり乱し」 菊地秀行

2007-08-29 | 時代・歴史・武侠小説
 菊地秀行の『蘭剣からくり乱し』を読む。
 剣豪総登場☆で、あいかわらず手堅く面白い。ホンモノそっくりに動く人形を操る流浪の傀儡使いをめぐる物語。
 一時期は菊地秀行の作品を全部追いかけていたけれど疲れてしまい、買うシリーズを絞っても追いつけなくなりました。でも久々に読むと面白いです。気軽に、適当な作品をつまみ食いするのが合っているようです。

【蘭剣からくり乱し】【菊地秀行】【光文社文庫】【傀儡】【剣豪】
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「葉緑宇宙艦テラリウム」 夏緑

2007-08-29 | 宇宙・スペースオペラ
 夏緑の『葉緑宇宙艦テラリウム』を読む。テーマとあらすじに惹かれて買い、読んでちょっと期待はずれ……とは、前に同じ作者の『風水学園』を読んだときと同じ感想。う~ん、この作者とは相性が悪いみたい。
 読者との同時代性でウケるのかもしれないけれど、遙かな未来(たぶん5000年くらい先)の話なのに、登場人物たちが20世紀末の感覚で南極探検の苦労を語ったり、青いネコ型ロボットやライフポイントが残りハート半分…みたいな会話をするところがどうにも馴染めない。通貨単位が宇宙ドルってところなんか、いかにもスペースオペラですけどね。
 ストーリーもあれこれ詰め込みすぎて、ここを書き込むとすごく面白くなりそう!って箇所をさらっと流すので、1つ1つの描写が軽くなり類型的に見えて損してると思います。

【葉緑宇宙艦テラリウム】【夏緑】【MF文庫J】【宇宙船】
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「OZ」 樹なつみ

2007-08-29 | 破滅SF・侵略・新世界
 買おうか買うまいか悩んでいるうちに店頭から消えてしまうのが豪華愛蔵版。たいていの本は見つけたときが買い時、一期一会で次はない!が信条なんですが、財布の中身にも本の置き場所にも限りはあるんです。あたりまえですが。
 樹なつみの『OZ』もその1つ。

 荒涼たる世界と化した地球。その紛争地帯を旅する少女とそれを護衛する"軍曹"と"19"の戦い。伝説の研究都市OZに秘められたものは何か……。

 単行本未収録の短編やカラーページを完全収録し、書き直しも入っているというから、買わずばなるまい……って、どうして青年コミックの棚に並んでますか? これは『おまけの小林クン』とかと並ぶべきものであって、決してかわぐちかいじや『ナニワ金融道』の間に挟まるべきものではありません……。
 少女マンガでアクションやメカ描写というと、どうしても甘くなりがちだけれど、ならば青年コミックが完璧かというと『沈黙の艦隊』のようなヒット作でさえマニアの目には穴だらけ。そういうことなら、総合的に面白ければ多少のことは気にすべきではありません。
 でも、通常版を持っているんだよなあ……。

【OZ】【樹なつみ】【科学都市】【最終戦争】【軍曹】
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「女戦士エフェラ&ジリオラ」 ひかわ玲子

2007-08-29 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
 今でもライトノベルは読むけれど、性分とか感覚の差で、人気はあるらしいのにどうしてもついて行けない作品は多い……って、またかい。
 以前に、はざましゅんいちくんに「CLAMP、嫌いですよね」とズバリ指摘されてしまいました。うーん、絵は好きで商業誌単行本デビューから追いかけてたけど、いつの間に読まなくなったかな……。CLAMPとか高河ゆんとか読まなくなりましたねえ……。

 なんの文脈でそういう話になったかというと、エフェラ&ジリオラ絡みで「他の人がどうなろうと自分さえ良ければいいんだよ!」という「全体より個を優先する話は嫌い」という話をしてたんですよね。『女戦士エフェラ&ジリオラ』っていうのは、1人はおちこぼれ魔導師、1人は帝国の皇女という女冒険者が主人公のファンタジーなのだけれど、結局「国が1つ滅びるかもしれないけど、それを防ぐために自分の一生を棒に振るのはごめんだよ」という主人公の主張を肯定する話なんですね(解釈が違っていたらごめんなさい)。
 自分勝手なキャラはキライ。でも、なら「みんなのためにあんたが犠牲になれ!」という多数決的民主主義によるエゴの押しつけも嫌いなんですよ。
 なら、何が良いのかというと、倉田英之の『R.O.D』に登場する読子・リードマンのように「どっちも助ける。方法はわからないけど何とかする」という気持ち。無責任な考えなのかもしれないけれど、壮大な物語の主人公だったら、それくらいの大言壮語を吹いて欲しいですねえ。「個を捨てて全」とか「全より個」のサンプルなら現実に幾らでも転がってるんだから……。

【女戦士エフェラ&ジリオラ】【ひかわ玲子】【米田 仁士】【大陸ノベルス】【幻狼ファンタジアノベルス】【自分が大事】【女2人組】
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