付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「異世界の帝王」 H・ビーム・パイパー

2007-08-24 | 異世界転移・召喚
 ヘンリー・ビーム・パイパーの『異世界の帝王』ってのは、一時期まですごく大好きな話で、今でも好きな話で、古本屋で見つけるたびに買ってしまう作品。復刻・再販してくれれば嬉しいけれど、そのときはきっとイラストは総とっかえだろうなあ。

 神学の勉強をしていたのに、いつの間にか歴史にのめり込んでいて、「歴史と戦争は切り離せない」という信念を持つ教授の下で戦争を勉強してしまったカルヴァン・モリスンが主人公。彼はその後兵役で朝鮮戦争に参加し、今はペンシルヴァニアで警察官。ところが任務中に平行警察の移動事故に巻き込まれ、いまだ剣と弓で戦っているパラレルワールドに飛ばされてしまいます。
 そこで才覚を認められ、とんとん拍子で出世していくわけですが、その大きな要因の1つが「この世界は戦争は盛んだけれど戦争技術の発展は遅い」ということ。その陰には火薬技術を独占する教団の陰謀があるわけですが、それゆえに元の世界での歴史マニアには初歩的ともいえる、部隊移動とか補給とか諜報とかのテクニック、剣や大砲に加えたちょっとした改良が大きな成果を上げることになります。
 敵は火薬製法のすべてを独占し、それによって各勢力の争いを陰で操るスティポーン家。そして敵か味方か、モリスの行動をひそかに見守り続ける時間警察……。


 問題は、日本人イラストレイターの描いたハヤカワ文庫SF版のイラストがフラゼッタ(アメリカのファンタジーアートの大御所ですね)に似すぎているってことですね。ちなみに画像データ左がフラゼッタの「指輪物語」から、右が「異世界の帝王」の中イラスト。カラー口絵も危険なくらい似ています。その方は今も現役でハヤカワ文庫とかで活躍されていて、こちらもファンなんですが……。

 パイパーの作品の邦訳は多くありません。長編はこの『異世界の帝王』、知的生命体の定義を巡り法廷闘争と陰謀が繰り広げられる『リトル・ファジー』、宇宙年代記の一片である『スペース・ヴァイキング』の3本。短編はこのテーマの古典となった、高度の知性をもつ宇宙人と地球が遭遇する『創世記(夜明けの惑星)』、そして『オムニリンガル』(雑誌掲載のみ。未読)の2本。
 でも作品は邦訳されたものばかりではありませんからね。
 パイパーの長編には、2つの流れがあります。1つはテラ=ヒューマン連合シリーズ。もう1つが平行時空警察シリーズ。
 『スペース・ヴァイキング』がテラ=ヒューマン連合シリーズで、他に『ウラー蜂起(Uller Uprising)』『4日間の惑星(Four-Day Planet)』『ガラクタ惑星(Junkyard Planet)』『連邦(Federation)』『帝国(Empire)』など。愛くるしいモコモコな異星人が登場する『リトル・ファジー』もその外伝。
 『異世界の帝王』は平行警察シリーズの代表作で、あと『最後の敵(The Last Enemy)』『平行時空(Paratime)』があるそうです。
 僕が生まれた翌年に亡くなられた作家なので、かなり古い人。でも、最近でもアンソロジーが編纂されたりしていて、2001年には『まるまる平行警察(The Complete Paratime (Ace Science Fiction))』なんて本が刊行されているので、日本でも翻訳を期待したいですね(無理だろうけど)。

【異世界の帝王】【ビーム・パイパー】【火薬】【宗教】【平行世界】
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「眼下の敵」  D・A・レイナー

2007-08-24 | 戦記・戦史・軍事
 ログを掘り起こしていたら、93年8月のたかまぁ亭から帰ってきたわんだらぁさんが掲示板で「最近のプレイヤーは『眼下の敵』も知らない」と嘆いていました。『眼下の敵(The Enemy Below)』というのは1955年制作の海戦映画の名作で、秘密任務中の独潜水艦とそれを発見した米駆逐艦の一騎打ちの話。
 小説や映画に限らず、有史以来人間の遺した<作品>というのは無数にあるので、そのすべてを把握することは不可能だし、ここ数十年の自分に興味のあるごく狭いジャンルに限ったところで20代そこそこでフォローするのは困難なんですが、知らないよりは知っていた方がいいんで、観てない人は機会があれば観ることをオススメします(ときどき夜間や衛星でやってますね)。
 さて原作かノヴェライズか判らないけどレイナーの小説版は(発刊が1956年だからたぶんノベライズ)、パシフィカとか創元推理文庫とかから出ていましたが、どれも現在は絶版。それに映画は好きだけれど小説版は今ひとつなので持ってません。
 なにがいけないかというと、映画は駆逐艦長を演じるロバート・ミッチャムと独潜水艦長のクルト・ユルゲンスによる互いの技量に敬意を払って……という渋くて格好いい雰囲気の結末ですが、小説版は「てめえ、やりやがったな!」「なんだこのやろ!」という人間くさいというか身も蓋もないオチなんです。順番が逆ならともかく、映画を先に観ちゃったからなあ……。
 それから1982年刊行だからもう20年以上前の話だけれど、斉藤英一朗の『パヴァリア戦史1~亜空間潜艦を撃て』も買って泣いた口。辺境星域で地球連邦のパトロール艦とパヴァリアの亜空間潜艦が一騎打ちを繰り広げる話。レイナー艦長とかいう人も出てくるし、もともと『眼下の敵』がモチーフだとかオマージュではあったらしいけど、発端からオチまでオリジナルそのままで、違いは大西洋の海か宇宙の海かというのは情けなくないか……。
 その後もホラーとかコミックとかであれこれ見聞きはするけれど、とりあえず自分的に時効ということで笑って感想を話せるのはこれくらい。

【眼下の敵】【D・A・レイナー】【創元推理文庫】【クルト・ユルゲンス】【ロバート・ミッチャム】【駆逐艦】【衝角戦】【潜水艦】【潜宙艦】
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「スターウェブ」 PBM

2007-08-24 | 宇宙探検・宇宙開発・土木
 (旧聞ですが)TVではコレクターだとかカードキャプターが顔を出し、RPGだと依頼人役で登場したりしますが、PBMでは意外に注目されていないのが蒐集家。PBM関係でこれを重視してシステムやシナリオに取り込んだり特別なクラスとして用意しているものはほとんどありません。PBM『スターウェブ』にコレクターというクラスが存在するくらいです。
 『スターウェブ』は宇宙艦隊を指揮して版図を広げるマルチゲームですが、プレイヤーが選択したクラスによって勝利条件、というか獲得ポイントとして計算される基準が違うのですね。帝国建設者は支配星系の数がポイントとなり、宗教家は改宗させた信者の数で計算されたりするのですが、コレクターは獲得した美術品の数と種類で換算するのです。
 この勝利条件の違いがあるので、『スターウェブ』はマルチゲームでしたが、RPG的な要素も強くなったんですね。コレクターなら美術品さえ集めればいいのだけれど、そのためにはやはり各星系に派遣したり他プレイヤーへの売り物にする艦隊が必要で、艦隊を生産するための支配星系は多い方がいいのです。逆に美術品にはオーパーツ的にオーバテクノロジーによる恩恵がもたらされたりするため、コレクターでなくても手放したがらないプレイヤーも多いでしょう。
 今考えても面白いよね。ウェブ検索したら英語版はインターネット版で生き残っているみたい。日本語版もどこかで復活しないかなあ。

 まあ、そういう話はともかく、PBMでも、コレクターはもっと活躍できるはずです。シナリオのネタとしてもクラスとしても。

「スターウェブ」★★★★

【星間戦争】【交易】
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「夜桜忍法帖」 遊演体PBM

2007-08-24 | 時代・歴史・武侠小説
 甲斐グランドマスターの『夜桜忍法帖~女神達の黙示録』が終了したとき、オフィシャル誌上に設けられたアンケートがささやかな波紋を呼びました。

設問:シリーズ終了にあたっての感想を。

 1.ちょっと面白かった。
 2.普通に面白かった。
 3.結構面白かった。
 4.かなり面白かった。
 5.とても面白かった。
 6.とてつもなく面白かった。
 7.甲斐甲賀に一生ついていく。

 自信があるといえば、あるんでしょうねえ……。当時はこれに怒った人、笑った人、呆れた人とさまざまで、普段なにげに無視されがちなオフィシャルのアンケートがこれほど注目されたことはなかったかもしれません……。
 自分としては面白かったとは思うけど、システムの不備やマスターとの相性で不満もかなりありましたから、とても「一生ついていく」とは言えませんでした。1か2ってとこかな。

「夜桜忍法帖」★★★

【忍者】【怪人】【破滅】
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「パイレーツ・オブ・カリビアン」 

2007-08-24 | 冒険小説・旅行記・秘境探検
「面白ければいいじゃないか」
 小説やゲームにおいては、これがいちばん大切だと思います。論文やノンフィクションではないのであれば、細かい設定や時代考証にとらわれすぎては物語の面白さが損なわれてしまいます。
 ただ、逆に面白さが損なわれてしまうような設定や考証無視もいただけません。たとえば映画『パイレーツ・オブ・カリビアン』はカリブ海の海賊活劇ですが、そこで「当時、あんな町は存在しなかった」とか「軍の編成や装備がおかしい」とかいうツッコミは野暮です。もともと幽霊船の出てくる時代不明のファンタジーなんです。しかし大きな帆船は1人や2人では動かせないという常識は忘れていないからこそ、船のキャプテン・ジャック・スパローの仕掛けたトリックや、船員集めのエピソードが活きてくるわけです。
 リアリティには拘らない。でもできるだけそれっぽくしておいて、その上で荒唐無稽な活劇を繰り広げるから面白くなるんでしょう。映画について1つ文句をいわせてもらえば、ヒロインの幼少時が可愛くないね。それだけ。

「パイレーツ・オブ・カリビアン」★★★★

【海賊】
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「ファントマ」 スーヴェストル&アラン

2007-08-24 | ミステリー・推理小説
 怪盗!といえばアルセーヌ・リュパンとくるのが自然。でもときどきファントマ!……と言いたくなることもあります。あのデビット・ニーヴンが映画『ピンクの豹』で演じたのが、キザな英国紳士のファントマ。宝石<ピンクの豹>をめぐってクルーゾー警部と渡り合う怪盗です。
 でも、最初にこの映画を見たとき「怪盗ファントマって他にいたよな?」と思いました。雰囲気は全然違うのですが、『ファントマ 危機脱出』というフランスのアクション・コメディがあり、その敵役の怪人がファントマだったのです(ちなみにこの作品にも登場するミレーヌ・ドモンジョがタイムボカンのドロンジョの元ネタとか)。
 この映画がけっこう気に入っていたものですから、たまたまハヤカワ文庫NVから出ていたスーヴェストル&アランの『ファントマ』を買って読んで、その雰囲気の違いに愕然。いや、確かに原作ではあったらしいのだけれど、江戸川乱歩でも『陰獣』と『少年探偵団』くらい違います。どちらかというと犯罪ホラーなんですよね。

「ファントマ……」
「なんて言った?」
「ファントマさ」
「それはなんだい?」
「何ものでもないし……すべてでもある!」
「……なんだよ、それは?」
「誰でもないし……誰かがそうかもしれない」
「それで、そいつは何をするんだ?」
「恐怖をもたらすのさ!」

 すべての犯罪者の支配者にして、あらゆる犯罪の黒幕。疫病をもたらす鼠を客船に放ち、列車を爆破し、銀行を襲撃、あとに残される無数の死体……。そんな話が1911年から32編も書かれ、1913年にはフランスで、1920年からはアメリカでもサイレント映画が制作されることになります。さらにトーキーも作られ、1960年代にはリバイバル・ブームで『ファントマ危機脱出』を含めて3本が制作。1979年にはヨーロッパでテレビシリーズが始まるのですが、実は『ピンクの豹』も元々はファントマ映画の1つのつもりだったという話もあります。(少なくとも主役はファントマだった)
 アメリカやメキシコでコミックにもなっているようですし、ときにはホラー、ときにはコメディと、何十年も親しまれているところに怪人二十面相との共通点を感じてしまいます。
 しかし仏サイレント版のファントマって、ニンゲンモドキみたい……。影響を受けてるかもしれませんね。

【ファントマ】【スーヴェストル&アラン】【ハヤカワ文庫NV】【犯罪】【怪盗】
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「こみっくパーティー」 Leaf

2007-08-24 | 学園小説(不思議や超科学なし)
「人生は一度きり 女は一生もん」

 猪名川由宇の言葉。
 まったくその通り。ときめきシナリオやラブコメ・シナリオでも、その有り難みをかみしめつつプレイするなら、打算的だったりおざなりなアクションはかけられないはず。

【同人誌】【名言】
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「対訳 ブレイク詩集」 ウィリアム・ブレイク

2007-08-24 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「狐は自分をさしおいて罠をとがめる」

 幻視者とも呼ばれた19世紀の詩人にして銅版画家、ウィリアム・ブレイクの言葉。
 自分のマヌケを棚に上げて、他人を責める光景は、この世界においてもマスター相手や他プレイヤー相手によく見られる。自分もときどきやるが、別に自分のマヌケさとかズルさとかを認めないわけではない。それらをみんな認めた上で、なおかつ相手が聖人君子ぶるのが我慢ならないだけなのだ。

 ブレイクの詩は神秘的であり、独自の神話に彩られています。
 詩集もいろいろ読んだけれど、面白いと思ったのはブレイクだけですねえ。もともとはアルフレッド・ベスターのSF『虎よ、虎よ!』はブレイクの詩がモトネタと聞いて興味が出ただけなんだけどね。

「対訳 ブレイク詩集」★★★

【神話】【幻視】【名言】
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世界の半分

2007-08-24 | 雑談・覚え書き
「私は世界の半分の人に愛されたい。そして残る半分の人にも『……けれども、あいつはよくやっているよ』と言われたい」

 サミー・デイビスJr. の言葉。
 世界のエンタテイナーと讃えられた彼ですら全ての人に好かれることまでは期待していなかった。けれども自分を支持しない人にも、その努力は認めてもらいたいと願うのだ。PBMはコミュニケーションのホビーなだけに、この言葉をなおさら噛みしめる。

【名言】
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「優しい侵略者」 キース・ローマー

2007-08-24 | 破滅SF・侵略・新世界
 余計な御世話というヤツである。
 ある日ある時、突如空から宇宙船で降りてきた「モニター」と自称する人々は、世界中すべての政府機能の停止を宣言した。地球侵略完了、であった。反抗の余地もない。
 しかし、占領された世界は理想郷であった。正体も目的も不明なモニターのテクノロジーの前に、混乱することなく秩序は維持され、高度な知識すら与えられ、平和で完璧な社会が誕生しつつあった。
 だが、それに真っ向から立ち向かう男があった!
 彼の名はブロンデル。彼が立ち向かう理由はただ1つ。
「人に何かを指図されるのが大嫌い」

 この作品のオチに不満を持つ人もいるみたいだけれど、自分的にはこれでOK。壮大な話をすとんとカラ振りさせて落とすのって好きだから。だいたいドタバタSFのキース・ローマーに何を求めているんだ!?

【優しい侵略者】【キース・ローマー】【人間そっくり】【侵略】【取引】
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「第二次大戦回想録」 ウィンストン・チャーチル

2007-08-24 | 戦記・戦史・軍事
 かつて『レーベンスラウムLF』のプライベがあり、そこでいろいろ語り合っていて面白いと思ったのは、同じ状況でも人によって見方がぜんぜん違うということでした。
 この架空戦記PBMの場合、原則として戦闘の勝敗はシミュレーション的に数値ではっきり判定され、その元となる数値は敵味方双方が知っているはずです。あとは個人のアクションによっては多少の修正はあるかもしれませんが、他の多くの戦争を題材にしたPBMと異なり、1人の英雄の大活躍で戦況が左右されるということはありません。そこまで戦況が数値ではっきりしていながら、敵と味方が同じように「自分の方が有利だ(=勝てる)」と見ているんですね。
 この場合は自由陣営と共産陣営の戦いでしたが、共産陣営は「2週間あれば自分らの勝ちは決まる」と考えているようですし、自由陣営は「このままでも互角以上の戦いができるし、3年あれば底力のある自分らの勝ちだ」と考えているようです。
 同じ戦力表を見ているはずなのに、不思議ふしぎ……。

 史実にも似たようなところがあります。教科書問題でもそうですが、もっと限定した期間の話でもそうですよね。たとえば第二次大戦。
 まず英国の偉大なる戦争指導者チャーチルの『第二次大戦回想録』は政治や外交の面から世界大戦を描き、ノーベル文学賞まで取った作品です。
 一方、アメリカの軍人が書いた回想録、ヴェデマイヤーの『第二次大戦に勝者なし』。参戦以前からアメリカの戦争計画の立案に参画していた将軍の回顧録で、アジア方面が中心になっていますが、チャーチルの「全部ワシがやった」的な自慢話にたいしてこちらは「最初からの私の言ったとおりにしていれば……」という後悔口調なのが特色。
 既に結果の出ている同じ戦争を同じ陣営で戦った者の間でも、いろいろニュアンスが違ってくるわけで、そりゃ現在進行形のゲームの解釈が違うのも仕方がないですね。みんな好き勝手に書いていているのを、いろいろ本当のところを疑いながら読むのも面白いでしょう。

【戦略】【外交】【第二次大戦回想録】
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「コンサイス人名辞典(日本編)」

2007-08-24 | エッセー・人文・科学
 現実世界、あるいは現実に存在した世界を舞台にしたPBMを作ったり参加する場合、ある程度資料をそろえ、調べておく必要はあるでしょう。しかし、これは完璧でなくても仕方がないし、完璧である必要もありません。そもそも歴史書や事典の類だってけっこういい加減です。
 たとえばコンサイス人名辞典(日本編)を見てみましょう。Dさんは他の研究書では88歳で死亡とされていますが、辞典の生没年は「1549~1631」となっています。計算があいませんね。GさんはDさんの著作Aの注釈本Bを書いた人ですが、辞典の記述ではGさんが書いたのはAということになっていました。こういうポカミスに加え、ベースとなった資料の違いとか学術上の解釈の相違とか加わるともうたいへん。
 専門書、歴史書だってこんなもんです。研究者やファンの多い超メジャーな人物ならいざ知らず、あまり細かいところまで気にする必要はないでしょう。三流架空戦記のように、プレイヤーのやる気をそぐほどムチャクチャでなければいい…くらいに考えましょう(もちろん、とことんこだわるならそれもよし)。
 ただ年表や実在の人物の行動などを照合させていくと、いろいろ創造の余地が広がることは指摘しておきます。
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「バウワウ!」 成田良悟

2007-08-24 | 日常の不思議・エブリデイ・マジック
 佐渡と本土を結ぶ大橋の土台として建設された島にできた無法地帯で繰り広げられる、「楽に手に入る自由なんざ何一つない」って話。
 スラムと化した人工都市の話ではあるけれど、魔法も超能力も超科学も錬金術も無いギャング・アクション。でも、これもジャンル分けに困る作品だよね。
 SFでもなし、ファンタジーでもなし、吸血鬼や不死人や幽霊が登場しないからといってバットマンやスパイダーマンみたいなアメコミの世界に入り込んでも主役級の活躍ができるに違いない変人奇人怪人ばかり登場する話を一般小説とは呼びたくないしなあ……。

【バウワウ!】【成田良悟】【超能力】【迷宮】
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「海軍艦隊勤務」 近現代史編纂会

2007-08-24 | 戦記・戦史・軍事
 神保町でふらふらと買ってしまった1冊。使うアテもないし、海軍に興味もないので宝の持ち腐れだよなあ……。
 日本海軍の徴兵システムとか教育制度とか日常生活とかあれこれまとめた本。図版も豊富。海軍を舞台にした小説か何かを書くときには使えると思います。少なくとも、帝国海軍が出てくる話を読むときの基礎知識にはなるよね。

【海軍艦隊勤務】【近現代史編纂会】【新人物往来社】【食】
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「江戸時代パラウ漂流記」 高山純

2007-08-24 | エッセー・人文・科学
 旅に出ると、つい普段は買いそうにないものを手に取ってしまいます。
 古書店にふらっと立ち寄ると、つい普段は読みそうにない本を手に取ってしまいます。
 旅に出て古本屋に入ると……

 『江戸時代パラウ漂流記』は冒険小説とかではなく、文政4年に南洋に漂着した漁師が帰国したときの資料から、キリスト教によって土着文化が変質してしまう前のパラウ諸島の民俗風習を発掘しようとするもの。高い。定価で7000円って何?(学術書は仕方が無いよね) せめて半額にして欲しいって、古書店で半額で買ったけどさ。

【江戸時代パラウ漂流記】【新史料の民族誌的検証】【高山純】【三一書房】【江戸時代】【南洋】
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