ヘンリー・ビーム・パイパーの『異世界の帝王』ってのは、一時期まですごく大好きな話で、今でも好きな話で、古本屋で見つけるたびに買ってしまう作品。復刻・再販してくれれば嬉しいけれど、そのときはきっとイラストは総とっかえだろうなあ。
神学の勉強をしていたのに、いつの間にか歴史にのめり込んでいて、「歴史と戦争は切り離せない」という信念を持つ教授の下で戦争を勉強してしまったカルヴァン・モリスンが主人公。彼はその後兵役で朝鮮戦争に参加し、今はペンシルヴァニアで警察官。ところが任務中に平行警察の移動事故に巻き込まれ、いまだ剣と弓で戦っているパラレルワールドに飛ばされてしまいます。
そこで才覚を認められ、とんとん拍子で出世していくわけですが、その大きな要因の1つが「この世界は戦争は盛んだけれど戦争技術の発展は遅い」ということ。その陰には火薬技術を独占する教団の陰謀があるわけですが、それゆえに元の世界での歴史マニアには初歩的ともいえる、部隊移動とか補給とか諜報とかのテクニック、剣や大砲に加えたちょっとした改良が大きな成果を上げることになります。
敵は火薬製法のすべてを独占し、それによって各勢力の争いを陰で操るスティポーン家。そして敵か味方か、モリスの行動をひそかに見守り続ける時間警察……。
問題は、日本人イラストレイターの描いたハヤカワ文庫SF版のイラストがフラゼッタ(アメリカのファンタジーアートの大御所ですね)に似すぎているってことですね。ちなみに画像データ左がフラゼッタの「指輪物語」から、右が「異世界の帝王」の中イラスト。カラー口絵も危険なくらい似ています。その方は今も現役でハヤカワ文庫とかで活躍されていて、こちらもファンなんですが……。
パイパーの作品の邦訳は多くありません。長編はこの『異世界の帝王』、知的生命体の定義を巡り法廷闘争と陰謀が繰り広げられる『リトル・ファジー』、宇宙年代記の一片である『スペース・ヴァイキング』の3本。短編はこのテーマの古典となった、高度の知性をもつ宇宙人と地球が遭遇する『創世記(夜明けの惑星)』、そして『オムニリンガル』(雑誌掲載のみ。未読)の2本。
でも作品は邦訳されたものばかりではありませんからね。
パイパーの長編には、2つの流れがあります。1つはテラ=ヒューマン連合シリーズ。もう1つが平行時空警察シリーズ。
『スペース・ヴァイキング』がテラ=ヒューマン連合シリーズで、他に『ウラー蜂起(Uller Uprising)』『4日間の惑星(Four-Day Planet)』『ガラクタ惑星(Junkyard Planet)』『連邦(Federation)』『帝国(Empire)』など。愛くるしいモコモコな異星人が登場する『リトル・ファジー』もその外伝。
『異世界の帝王』は平行警察シリーズの代表作で、あと『最後の敵(The Last Enemy)』『平行時空(Paratime)』があるそうです。
僕が生まれた翌年に亡くなられた作家なので、かなり古い人。でも、最近でもアンソロジーが編纂されたりしていて、2001年には『まるまる平行警察(The Complete Paratime (Ace Science Fiction))』なんて本が刊行されているので、日本でも翻訳を期待したいですね(無理だろうけど)。
【異世界の帝王】【ビーム・パイパー】【火薬】【宗教】【平行世界】
神学の勉強をしていたのに、いつの間にか歴史にのめり込んでいて、「歴史と戦争は切り離せない」という信念を持つ教授の下で戦争を勉強してしまったカルヴァン・モリスンが主人公。彼はその後兵役で朝鮮戦争に参加し、今はペンシルヴァニアで警察官。ところが任務中に平行警察の移動事故に巻き込まれ、いまだ剣と弓で戦っているパラレルワールドに飛ばされてしまいます。
そこで才覚を認められ、とんとん拍子で出世していくわけですが、その大きな要因の1つが「この世界は戦争は盛んだけれど戦争技術の発展は遅い」ということ。その陰には火薬技術を独占する教団の陰謀があるわけですが、それゆえに元の世界での歴史マニアには初歩的ともいえる、部隊移動とか補給とか諜報とかのテクニック、剣や大砲に加えたちょっとした改良が大きな成果を上げることになります。
敵は火薬製法のすべてを独占し、それによって各勢力の争いを陰で操るスティポーン家。そして敵か味方か、モリスの行動をひそかに見守り続ける時間警察……。
問題は、日本人イラストレイターの描いたハヤカワ文庫SF版のイラストがフラゼッタ(アメリカのファンタジーアートの大御所ですね)に似すぎているってことですね。ちなみに画像データ左がフラゼッタの「指輪物語」から、右が「異世界の帝王」の中イラスト。カラー口絵も危険なくらい似ています。その方は今も現役でハヤカワ文庫とかで活躍されていて、こちらもファンなんですが……。
パイパーの作品の邦訳は多くありません。長編はこの『異世界の帝王』、知的生命体の定義を巡り法廷闘争と陰謀が繰り広げられる『リトル・ファジー』、宇宙年代記の一片である『スペース・ヴァイキング』の3本。短編はこのテーマの古典となった、高度の知性をもつ宇宙人と地球が遭遇する『創世記(夜明けの惑星)』、そして『オムニリンガル』(雑誌掲載のみ。未読)の2本。
でも作品は邦訳されたものばかりではありませんからね。
パイパーの長編には、2つの流れがあります。1つはテラ=ヒューマン連合シリーズ。もう1つが平行時空警察シリーズ。
『スペース・ヴァイキング』がテラ=ヒューマン連合シリーズで、他に『ウラー蜂起(Uller Uprising)』『4日間の惑星(Four-Day Planet)』『ガラクタ惑星(Junkyard Planet)』『連邦(Federation)』『帝国(Empire)』など。愛くるしいモコモコな異星人が登場する『リトル・ファジー』もその外伝。
『異世界の帝王』は平行警察シリーズの代表作で、あと『最後の敵(The Last Enemy)』『平行時空(Paratime)』があるそうです。
僕が生まれた翌年に亡くなられた作家なので、かなり古い人。でも、最近でもアンソロジーが編纂されたりしていて、2001年には『まるまる平行警察(The Complete Paratime (Ace Science Fiction))』なんて本が刊行されているので、日本でも翻訳を期待したいですね(無理だろうけど)。
【異世界の帝王】【ビーム・パイパー】【火薬】【宗教】【平行世界】