付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「黒蝶は檻にとらわれる 彩雲国物語」 雪乃紗衣

2008-12-19 | ヒロイックファンタジー・ハイファンタジー
「どんなことでも、悩み抜いて出した答えに、間違っていることは何もないんだよ」
 娘に贈る紅邵可の言葉。

 こんな地味な話に人気が出るものかと思っているうちに、あれよあれよという間にコミック化されるは、NHKでアニメ化されるはと順風満帆。ファンレターの上限は70代だとか……。
 その最新14巻は、読んだところ、シリーズのターニングポイントかな。
 この巻では話の流れ的に御史大獄、つまりメインキャラである李絳攸の処分についての査問会というか裁判が開かれるということで、法廷劇で話が進むと思っていたら、そんなものはサクサクッと終わって二転三転の宮廷内外の抗争が果てしなく続く上に、さらに大きな陰謀の存在が示唆されます。裏表紙のあらすじでは「王の官吏・秀麗の活躍は止まらない!!」とあるけれど、確かに活躍しているけれど、周囲の状況はそんな大活躍ではなんともならんところまできてるんですが……?

 あいかわらずコミカルなキャラのやりとりは健在ですが、行われていることは隙あらば脚を引っ張り合う政争。誰が敵か味方かという面もありますが、基本は「この人はこの局面では味方だけれど、こっちの件では敵」というものなので展開はシビアで、テンポの良い会話の間にも追いつめる者と追いつめられる者が明らかになっていきます。というか、重い展開が前向きな主人公に救われているという感じでしょうか。

【黒蝶は檻にとらわれる】【彩雲国物語14】【雪乃紗衣】【罷免】【軍師】【偽造】【職務放棄】【物価高騰】
コメント
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