付け焼き刃の覚え書き

 本や映画についての感想とかゲームの覚え書きとかあれこれ。(無記名コメントはご遠慮ください)

「シャーロック・ホームズの不均衡」 似鳥鶏

2016-07-15 | ミステリー・推理小説
「黙っているだけでお前を求めてくれる人間などいない。生きている価値のある人間になりたいなら、誰かに求められるのを待つな」
 自分の価値は自分で守れと御子柴辰巳。

 一般人は知りもしないことだが、世界には名探偵の遺伝子群を持つ人間が存在し、その推理力・問題解決能力を手に入れようと国際的な争奪戦が繰り広げられていたのだ。
 長野山中のペンションで不可能犯罪を解決した天野直人と七海の兄妹は、謎の組織に負われることとなる。知られてはいけないのはホームズ遺伝子を持つのは謎を解決した直人ではなく、言葉を話せない妹の方だということだった……。

 ミステリ小説での密室殺人というのは、ほとんどの場合、パズル以上の意味はありません。他に誰も出入りできない状況で人が死んでいたとして、自殺や事故でなければ殺人であり犯人がいるはずですから、犯人や凶器が出入りした理由が分かろうが分かるまいが捜査には何の問題もありません。リアルなら、まず怪しい人間を取り調べてからトリックを自供させるだけなのですから。
 この話はその矛盾を逆手に取ります。不可能犯罪は犯人が逃げ切るために仕掛けるのではなく、興味深い謎を提示して探偵の遺伝子を持つ人間を焙り出すためにやるのだというのです。
 そういうわけで密室殺人やらなんやらが連続殺人ではないのに連続します。
 そして悪の走狗の講談社! いいのか、これ?

【シャーロック・ホームズの不均衡】【似鳥鶏】【丹地陽子】【講談社文庫タイガ】【名探偵獲得競争】【金のガチョウ】【戦闘メイド】【北斗の拳】【CIA】
コメント
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