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どの巻も背の高い黒髪の美少女と小柄な少年の2人だけが表紙イラストなので、『とらドラ!』みたいな学園ラブコメかと思うとちょっと違って、どちらかというと『涼宮ハルヒの憂鬱』寄り。
つばさ先輩は美人で頭が良いけれど性格が悪くて変わり者。でも、そんな先輩を優しくて料理上手な後輩のはじめは大好きで、なんのかのといってもいつも振り回されてばかり。ところが聖夜のデートに誘われたら深夜のUFOウォッチングで、あろうことかUFO召喚に成功したあげくにアブダクションされてしまう。すぐに地球に帰したもらったものの、宇宙人のミスから脳みそが入れ替わってしまって「もしかして私たち……」「もしかして俺たち……」「「入れ替わってる~!?!?」」 という「先輩がぼくでぼくが先輩で」という状況に。
つまり表紙イラストの女の子がぼくで、男の子が先輩ですね。それでたぶん、性格的にも容姿でも“ぼく”の方がヒロイン・ポジかもしれないけれど、それでもあえてつばさ先輩をヒロイン認定。
つばさ先輩はいわゆるマッドサイエンティストの傾向があって、基本的に恋愛どころか人としての感情が欠落しているタイプ。男女入れ替わりも戸惑ったり抱え込んで苦しむのではなく、客観的に自分自身を観察対象として愉しんでしまいます。思春期の女性の身体に脳みそが入ってしまった常識人の山城はじめの方が気の毒かもしれませんが、まあ、そんな先輩を好きになったのが不幸というものでしょう。
ただ、つばさ先輩も、はじめが自分に好意を抱いていることを分かっていて、自分自身に恋愛感情なんてものがカケラもないことを知っていて、その上でなんとか報いてやりたいと、あえて自分自身にリスクの大きい方法をとってもはじめを助けようとしてしまうあたり無私の愛といえるかもしれません。