付け焼き刃の覚え書き

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「メイルゲーム雑記録」 やなせじゃこう

2018-08-10 | エッセー・人文・科学
 まだ、インターネットも普及しておらず、スマホやSNSなんか存在すらしていなかった20世紀末に、ちょっとばかし流行っていたのがメイルゲーム。あるいはプレイ・バイ・メールまたはネットゲーム、はたまたネットワークRPG等々、さまざまに呼ばれていたけれど、つまりは主催者(マスター)と参加者(プレイヤー)、参加者と参加者が主に郵便のやりとりで意思を表明したり情報交換したりすることでプレイするゲームの総称。それ以上、詳しいことを断言できないのは、その「ゲーム」の内容が千差万別で、古くはチェスや将棋の郵便対戦から、ボードゲーム、テーブルトークRPGと、ありとあらゆるものがメイルゲームでやれてしまうから。
 そんなメイルゲームのあれこれを、その始まりからおしまいまで、個人の私感で駆け足で回想し、大雑把ながら資料をまとめたのが、この雑記録です。なぜ私感かというと、そもそものメイルゲームが山ほどある上に、同じゲームでもそのプレイスタイルなどによって受け取る結果がまったく違うものがいくらでもあり、しかも末期になれば資金稼ぎも兼ねて総集編的なデータファイル丸ごと配布とかやったりしたものもありますが、大半は誰がどんな経緯を辿ってどんな結末にたどり着いたか、他人には計り知れないものばかりだからです。
 スポーツならローカルルールはあっても基本やることは同じで、少なくともスコアシートとかをみればだいたいの経緯は想像できますが、メイルゲームの場合は同じゲームでも、1チーム100人でサッカーをやっているかと思えば、反対側では1人で相撲を取っていて、その横で麻雀やらドミノ倒しをしている者もいる……くらいの混沌で、じゃあ、そのゲーム全体としてどう面白かったかとか言えないんです。中にはサッカーも麻雀もつまらなかったけれど、どれにも参加せず酒を呑んでヤジを飛ばしているやつだけ大ウケだった……ということもあり得るのがメイルゲームの世界。「なんでもできる」というのが、ある意味、売りだったんですよね。
 いちばん有名な「蓬莱学園の冒険!」だって、地底世界の探検をしている者もいれば、政治の世界で駆け引きしていたり、血まみれで丘1つを取り合って戦争していたり、哲学論争している者もいれば殺人事件の真相を推理している者、ソフトボールの試合をしている者もいたんですよ。
 そんな混沌の濁流を、とりあえずスターウェブの誕生から数多のオフィシャル団体の立ち上げと撤退までを綴っています。ほんと、いろいろあったよね。ただ、これだけでは全貌がぼんやりとしか掴めませんので、別の著者による証言集的なものも、いつか読めたら良いなと思いました。

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