
星貴族を父とするスタイア荘園のキンカー・ス・ラッドは、混乱に乗じた叔父との荘園奪取の争いから逃れるため、猛禽類のヴォークンと、使役獣であるシムと共に荒野へと旅立った。
その目的地は、まだ地球に帰還していない星貴族の集合地点である。彼らは地球への帰還を選ばず、けれどもゴースに留まることも望まない人々であった……。
勝手に植民地に入植しておいて、さんざん影響を与えた後で「やっぱり、我々はこの世界に介入すべきではなかった」と急に良心の呵責に呵まされて撤退するなんてのは、現地の人にとってはどっちにしろ迷惑な話だというのは、地球の歴史を振り返ってもいくらでも例の見つかる話。『スタートレック』あたりでも「原始的な文明との接触は、当該文明の正常な発展を妨げるため厳禁」というのはセオリーですが、それに途中から気づいてしまった例ですね。
ただ、主人公の仲間がまず動物たちというあたりは、「ビースト・マスター」などを書いているアンドレ・ノートンらしさ全開です。これで「孤独で過酷な冒険」と「信頼できる仲間たちとの物語」が両立するんですから。
【スター・ゲイト】【アンドレ・ノートン】【岡野玲子】【ハヤカワ文庫SF】【ネオ・ヒロイック・ファンタジイ】