
この言葉が形を変え、終盤でリフレインされるとは思う余地もなかったのである。
小国ファヴェールは存亡の危機に立たされ、病気の王に代わって指揮を執るソアラ王女は頭を抱えていた。周辺を軍事大国に囲まれ、今まさに血船王エイベル率いるオルデンボー王国が攻め込まんばかりになっていた。しかし、臣下たる諸侯は彼我の戦力非も考慮できず、戦はやってみないと分からないと正面決戦を志向するばかり。
そんな王女の前に姿を現したのは、現代日本から異世界転移してしまった数学者のナオキだった……。
数学理論で戦略を練る異世界戦記。理論や理屈だけで戦えると思うなよという部分はきっちりちゃぶ台返しを食らうけれど、それでぐちゃぐちゃになった状況を立て直すのもやはり数学理論なのだ。
荒唐無稽で強引な無双によるハッピーエンドではなくて、ストーリーの流れそのものはオーソドックスで、つまりは小国にとってシビア。けれど、しっかり足場を固めて終わるので、雨降って地が固まるので今後に期待……という読後感。設定がきちんとした仕事をしていて、印象的な単語や台詞は形を変え、語り手を変え、再登場するあたりの面白さも好き。
【数学で救う!弱小国家】【電卓で戦争する方法を求めよ。ただし、敵は剣と火薬で武装しているものとする。】【長田信織】【紅緒】【電撃文庫】【異世界数学戦記】【おっぱい方程式】【数学は、時を超える】【タカハト理論】【囚人のジレンマ】【ミニマックス戦略】【酒保商人】【無限繰り返しゲーム】【傭兵隊】【輜重隊】【数学は宇宙共通語】