付け焼き刃の覚え書き

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「ザ・ホワイトハウス シーズン2(1)」 NBC

2020-09-19 | その他フィクション
「(負けるのが)好きなわけがないだろ!? 一度も勝ったことがないだけだ」
 トビー・ジーグラーの反論。

 アメリカの大統領選で候補者指名争いのニュースが増えてくると視たくなるのが「ザ・ホワイトハウス」のシーズン2、第1話と2話の「正義は死なない」前後編。
 シーズン1のラストで演説会の帰りに大統領が狙撃された直後から始まります。
 狙撃され、手術室に運び込まれながらもつまらないジョークを飛ばし、自分より部下や市民を気遣い、全身麻酔にかかる前に思いつく限りの指示を出すバートレット大統領。皆、手術の進みを気にしながらも、閣議と国家安全保障会議を召集し、証券取引所が停止され、警察から沿岸警備隊まで動員が掛けられていく合衆国の一夜が語られる一方、合間合間に回想として最初の大統領選挙の民主党候補者指名争いの様子が挿入されていきます。
 ありふれた週末の夜が一変して緊迫した状態に陥ります。中東ではなぜかイラク軍が動きだし、ベストを尽くしたはずが大きなミスが出てくるし、報道記者たちはそのミスに気づいて記者会見で質問を浴びせかけてきます。自分も大統領になりたかったのに、いざとなるとそのプレッシャーに身じろぎする副大統領。あと、カメラワークがすごいよね。あの流れるような、縦横無尽の視点の移動はCGかな。
 回想編は劣勢だったバートレット陣営に、優れた能力があり高い理想を持ちながら、既存の組織では疎まれ、なにもなしえなかった人々が集められ、選挙戦を盛り返して指名受諾するまで。こういう埋もれた有能な人材が少しずつ集まり、ぶつかり合いながらもやがて一致団結して大きな力となるプロセスはいつも胸アツです。

 このシリーズの面白さっていうのは、チートは無敵じゃないというあたり。
 信仰心厚く、智慧があり、アメリカ合衆国という世界最大の国の最高指導者という立場にあり、つまり世界の誰よりも大きな力を持ちながら、それでも世の中が思うように動きません。中間選挙は勝てないし、銃禁止法案も核実験禁止条約は通らないし、環境問題には手をつけられないし、過激派を取り締まることもできないし、人格的に問題のある教育長が当選してしまう。政府を倒そうとする市民すら守らなくてはいけないのが民主国家。「敵も勝つことがあるのが民主主義です」「民主主義はしんどいな」という登場人物の言葉が作品のテーマです。言いたいことを言えず、やりたいこともやれず、自信がなくても逃げちゃいけないのだ。
 「あたし、大統領のサインができます。本物とそっくりに書けるんです」「15分でマットから立ち上がれ」「どうして人がいれば、あたしが叫ばないと思ったんですか、補佐官!!」とか名言も迷言もたっぷりです。

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