「貴公も私も、そういった『隠された掟』を知らない。私達は嫡男ではないからな」どれだけ階級が上がろうと権勢を誇ろうと、アルツァー・メディレン大佐もリトレイユ公ミンシアナも女である。それゆえ、男社会での秘められた決まり事を教えてくれるものはいないし、存在そのものを知らないので訊ねることも調べることもできない。
シュワイデル帝国は分裂しつつある中、ミルドレール家が敵国ブルージュとの内通の容疑でリトレイユ公を密かに告発する。味方を混乱させ、後ろから撃ち、その繰り返しで敵を蹴落とし呑み込むことで勢力を拡大させてきたリトレイユ公だが、正面から告発し捕縛するにはその保持する戦力は大きく、皇帝も及び腰だ。
かくしてリトレイユ公逮捕の勅命が、平民出身で一介の参謀にすぎないユイナー・クロムベルツ大尉に降りてきたのだが……。
ウェブ版も読んでたけど、リトレイユ公の退場は意外と早いなあと思いましたが、姦雄の退場から雪山の逃亡劇、皇帝行方不明から帝都奪還の開始までと波瀾万丈。テンポ良くて面白いけど、イラストの掲載バランスがおかしくて残念。すべてのイラストが前半に集中していて、そのすべてが大佐のバストショットばかりというのは工夫がないなあと思いました。皇帝を追い詰める三公爵、リコシェの救出、検死に立ち会うクロムベルツ大尉、雪中での戦列歩兵と傭兵の戦い、湯治とイラストのつけ甲斐のあるシーンはありますでしょうに。ほぼアルツァー大佐のピンナップ集。
検死シーンがかなりしっかり書き込んであって、どんな人間でも死んだら人権はなくなるんですね……という話でした。あの節だけでリトレイユ公への同情票が出ました。
【マスケットガールズ！～転生参謀と戦列乙女たち～３】【漂月】【sakiyamama】【ＰＡＳＨ！ブックス】【小説家になろう】【コーヒー】
